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活躍する修大生 Vol.3

日本社会心理学会の2022年度若手研究者奨励賞を受賞した藤川 真子さん
(人文科学研究科 心理学専攻博士後期課程1年)にインタビューをしました! 
人文科学研究科 心理学専攻博士後期課程 1年 藤川 真子さん

  

受賞テーマ

「情報獲得において多数派の行動を過剰に模倣することは適応的なのか?: 多数派同調バイアスの実験的検討」

研究内容

 本研究では多数派の行動を過剰に模倣することは正しい情報を獲得するのに役に立つのかどうかを検討します。例えば、あなたが○×問題に参加しているとします。その時、「ブルガリアの国旗の色は白、緑、赤から構成されている。」という正解が○か×かに迷う問題が出題されました。このような正しい情報が曖昧である状況では、過半数の行動 (○) を過剰に模倣することで正解率が上昇すると理論的に言われています。この過度な模倣のことを「多数派同調バイアス」と言います。私の一連の研究では、○×問題への正誤判断を求める際に、他者の回答を提示し、実際に人がこのバイアスを示すことを明らかにしてきました。ただし、これまでの研究では問題に正解した場合の利益を考慮していなかったため、多数派同調バイアスが正しい情報を獲得するのに本当に役立つかを検討していないという限界点がありました。そのため、本研究では、正しい情報を獲得できた際に金銭的誘因を導入し、多数派同調バイアスが正しい情報を獲得するのに役に立つかを検討します。もしこのことが本当であれば、このバイアスを示す人は、示さない人に比べ、出題された多くの○×問題で正解し、より多くの賞金を得ることができるはずです。

2022年度若手研究者奨励賞受賞コメント

この賞では、社会心理学を専門分野とする他の先生に研究計画を審査していただきます。その結果、この度選出していただけたので、私自身の研究テーマを肯定的に評価していただけていることに大変嬉しく思いました。お忙しい中、ご指導やアドバイスをいただいた中西先生、横田先生、そしてご審査いただいた先生方にお礼申し上げます。

大学院への進学

大学に入学する前から大学院への進学は決めており、臨床心理学を専攻して心理士になることを希望していました。ですが、学部2年生で経験した地方心理学会のポスター発表を通して、当時ご指導いただいた先生に研究の楽しさを教えていただいたことをきっかけに、心理学者になることを目指したいと思うようになりました。そのため、社会心理学を専門とした研究ができる本学大学院に進学しました。

進化論的視点から「こころ」にアプローチする研究

現在の研究分野を選択した理由は、進化論的視点から「こころ」にアプローチする研究ができるようになりたいからです。進化論的視点からのアプローチでは、人間の生存に役に立つ観点から日常生活で観察された「こころ」の働きが備わっている理由の説明を試みます。現在は、このアプローチに基づいて、多数派同調バイアス (「こころ」の働き) が生存に役に立つ正しい情報を獲得するために備わっているかを検討しております。「こころ」にアプローチする方法は他にもありますが、私は、このアプローチを用いて、複数の分野で得られたある現象の研究知見をまとめ、科学的により妥当な知識を提供することができるかどうかに挑戦したいと思っております。

メッセージ

心理学を専攻する修大生になって6年経ちましたがまだまだ分からないことだらけです。大学生活はあっという間です。4年間の学びで物足りなさを少しでも感じたならば、大学院に進学し研究してみるのはいかがでしょうか? 「ああでもないこうでもない」と言いながら研究に没頭する日々には、新たなことを発見できるという意味でとても楽しく面白いことがありますよ。 

国際学会での研究発表写真

※掲載内容は全て取材当時(2023年)の情報です。