社会学科
社会学とは、「今・ここ」にある社会を理論的に分析・考察していく現在進行形の学問です。
社会の現実を「人々の経験(意識)」にもとづいて理解・説明する学問が社会学という科学です。社会をまなざす視点や社会学的なものの見方や考え方を学ぶことは、これからどのような社会を作っていくかについての新しい構想をもたらしてくれます。
社会学科(2024年度開設)
4年間の学び
1年次
社会への関心を広げる
社会学の基礎的知識を修得します。
●専門講義科目
専門講義科目は「理論・方法に関する科目」、「社会の諸領域に関する科目」、「社会構想に関する科目」、「社会調査関連科目」の4つに区分されます。「社会調査関連科目」には、社会学的社会調査の方法を体系的に修得できる科目を用意しており、定められた科目の単位修得によって、社会調査士の資格を取得可能です。
●社会学情報処理科目
社会学に必要な情報リテラシーや社会調査に必要とされる情報スキルを学びます。
2年次
研究テーマに取り組む
自らの興味・関心を喚起し、視野を広げます。
●専門演習科目
「理論・方法に関する科目」と「社会の諸領域に関する科目」と連動したゼミナール形式の科目。自らの関心に合わせて複数の演習科目を履修可能で、学年を横断した学生同士の議論を通じて専門知識を深化させます。
●特殊演習科目
「社会構想に関する科目」と連動したゼミナール形式の科目。社会で活躍する方たちと連携し、社会学的応用力を養います。
3年次
専門的知識を深める
社会学に関する専門知識を深め、コミュニケーション能力と応用力を鍛錬します。
4年次
新たな社会を構想する
「卒業研究」で、個人的な関心を一般化・普遍化して課題設定し、根拠に基づいて説明する力と論理を組み立てる力を養います。
●卒業研究テーマ例
資格取得
取得できる資格・免許状
授業での資格取得のほか、多彩なキャリア支援講座やきめ細やかなサポートを実施し、難関国家資格、公的資格、および民間資格の取得を支援しています。
- 中学校教諭一種免許状(社会)
- 高等学校教諭一種免許状(地理歴史/公民)
- 社会調査士※1
- 社会教育士・社会教育主事(任用資格)※2
- 児童福祉司(任用資格)※3
※1:広島修道大学人文学部社会学科は、社会調査協会の教育組織会員です。
※2:課程修了者は「社会教育士(養成課程)」と称することができます。任用資格を得るには1年以上の実務経験が必要です。
※3:1年以上の実務経験が必要です。
特長的な学び
社会調査概論
社会は多様な人から構成されています。自分とは異なる経験や価値観を持つ人もたくさんいます。分からないことだらけの社会について考えるためには、研究対象に関する様々なデータを収集する必要があります。しかし、いい加減な方法でデータを収集しても、社会をとらえることはできませんし、自分の考えを人に伝える時の根拠にもなりません。したがって、社会学の研究を進めるためには、社会調査の方法をしっかりと勉強しておく必要があります。社会調査概論はそのための第一歩として1年生前期に設けられた科目です。
研究 in FOCUS
労働や雇用の現代的変容によって生じる"生きにくさ"を社会問題として提示する
仁井田 典子 准教授
現在の日本社会は、「自分の行動によって生じた結果は自分の責任である」とされる傾向の強い「個人化社会」です。そうした「個人化社会」において、労働や雇用の現代的変容によって生じる"生きにくさ"を抱えている人たちの経験を、「社会問題として捉えるべき」だと提示することを目的とした研究を行っています。
TOPICS
学科 TOPICS
2024年4月社会学科開設
同性婚、闇バイト、カルト宗教、流行、格差、いじめ、少子化、差別、AI時代など日常生活におけるさまざまな出来事を、社会の「仕組み・規範」「人間関係」「意識・価値観」と関連付けて研究するのが社会学です。社会学科では、専門的な理論と方法によって社会現象を総合的に理解する力を身につけます。
社会学科の学びのポイント
感情労働、性、消費、グローバル化、クールジャパン、労働、産業、アニメ、親密性、サブカルチャー……、社会の諸領域を社会学科では学びます。
専門演習科目のテーマ例(一部)
●感情労働論演習(対人労働のスキル)
●親密性の社会学演習(家族と表象をめぐるジェンダー)
●アニメ社会学演習(ネットコンテンツと文化)
●消費社会論演習(モード/ファッション/トレンド/ブーム)
●宗教社会論演習(パワースポットとツーリズム)
●社会問題の社会学演習(個人化社会と自己責任論)
●マイグレーション・スタディーズ演習(移民政策と社会統合)
●感情社会学演習(模倣と変身)
●文化社会学演習(ブラック・ミュージックと抵抗文化)
4年間で成長したこと
4年間における学生の成長の軌跡
2024年度に新設の社会学科には、まだ卒業生がいません。
ここでは人間関係学科社会学専攻の4年間における学生の成長の軌跡について、説明していきましょう。
ほとんどの社会学専攻の学生は、入学して初めて社会学という学問に触れることになりますので、最初は、社会学という学問がどのようなものかはわかりません。1年次に社会学の基礎を学ぶことで、社会学が網羅する領域がきわめて多岐にわたることを知ります。社会で生起する様々な社会問題や社会現象に関心のある人にとっては、社会学という学問を学ぶことによって「何か面白いことができそうだ」と感じることができるでしょう。
2年次になると、専門の講義だけでなく、自身の関心に従って選択した専門演習=ゼミナールでの学びが始まります。ディスカッションなどを通して、演習では、自分と同じ年代の学生でも、多様な社会的・文化的背景をもつ人たちがいることを知り、考え・価値観・意識の異なる「他者」に出会う経験をします。社会というものがいかに多様であるか、また複雑であるかを体感し、自らが追究していく研究テーマの種を見つけます。
3年次には、自身の研究テーマを深め、研究をどのように進めていくかを、講義・演習・調査などの機会を通して考えていくことになります。もし無我夢中になれる研究テーマと出会うことができれば、研究することの楽しさや面白さを実感すると同時に苦労も味わうことでしょう。社会学は、研究対象である他者と向き合いつつすすめていく学問ですが、自分自身について考えることでもあり、「再帰的な学問だ」と言われます。つまり、研究している自分は、同時に研究される対象でもあり、そして社会の一員でもあるのです。社会を考察するということは自分自身を考えることでもあります。これは社会学の醍醐味であると言えます。
そして、4年次には、大学生活のなかで探究してきたテーマの集大成として卒業研究を作成します。個々人の研究テーマは、自身にとって興味関心があるだけでなく、その先の人生につながっていくことにもなります。これこそが学生時代に社会学という学問に触れ、学んだ意味があると言えるのではないでしょうか。
社会学を学んで卒業した人たちの進路は、公務員・金融機関・卸小売・製造・情報通信・運輸郵便・サービス・医療など実に多岐に渡っていて、何らかの形で人々と接していく仕事に就いていきます。これまで社会学専攻の卒業生のなかには、社会生活や人生のなかで困難や障壁にぶつかったときに、「そういえば同じような問題について議論したなあ」と大学で学んだことを思い出して、困難や壁の前に立ち尽くす自分を冷静に眺めている「もう一人の自己」の存在に気づいて、自身の成長を感じる人たちもいます。また、「学生の時、もっと真面目に社会学を学んでおけばよかった、と今さら思う」と言う人たちもいますが、そう思えることこそが社会学を学んだ成果なのです。実社会の荒波に揉まれる中で、自分自身で人生の舵を取り、自ら将来の可能性を切り開いていこうとする際に、社会学を学んだ成果は顕れる、と考えています。
進 路
それぞれが興味を追求
多様な進路の中から、興味のある業界を選ぶことができます。
▼就職実績(2023年度)※人間関係学科社会学専攻の実績
●主な就職先
あいおいニッセイ同和損害保険/アンデルセングループ/イズミ/国立病院機構/国家一般職/全国健康保険協会/TKC/西日本旅客鉄道/広島県/広島県信用組合/広島市Ⅰ種行政/マリモ