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法律学専攻(修士課程)

グローバル化、情報化、規制緩和の進展など複雑化し絶えず変化する現代社会において、司法の役割が今後ますます増大することが予想され、社会の様々な領域で法についての高度な知識と社会変化に対応できる能力を備えた人材が求められています。
法律学専攻は、このような社会的要請を踏まえ、法学諸領域における高度な専門的知識と課題の探求・解決能力を備えた、人間性豊かな人材を養成することを教育理念に、将来大学などの教育研究職に就くための基礎的な研究能力を養成すること、各種公務員、企業法務、司法書士・税理士などの専門職に必要な知識と能力を養成することおよび現代社会を多様に支える高度な法的素養のある人材を育成することをめざしています。
修了後の進路には、公務員や司法書士・税理士などの専門職が多くみられますが、民間企業・団体に進む修了生も少なくありません。

教育の内容

1.多彩な授業科目ときめ細かな指導体制

法律学専攻では、憲法・民法・刑法・商法・訴訟法のいわゆる六法科目に加え、行政法・社会法・国際法・法制史などの科目を設置するとともに、研究指導・演習によるきめ細かな指導を実現しています。
また、学生の学修目的に応じて、修士論文コースと演習コースの2コースを設置しています。修士論文コースは、特定のテーマ研究を重点とするもので、修士論文の作成に向けて研究を行います。演習コースは、法律学の諸領域を幅広く学修することを目的に、修士論文に代わる4本の演習論文の作成に向けて研究を行います。

2.ダブルディグリー制度・長期履修学生制度

標準修業年限を短縮して3年ないし2年で法学および国際政治学、商学または経営学の2つの修士学位が取得できるダブルディグリー制度を設置しています。また、社会人の方が学びやすいように3年または4年の修業年限を選択して計画的に履修することのできる長期履修学生制度も導入しています。

3.公務員・資格取得(CFPなど)への支援体制

公務員をめざす学生のサポートとして、必要な専門的知識が修得できるよう憲法・民法・行政法などの関連科目を設置するとともに、官公庁での研修・実習を行っています。また、司法書士や税理士など法律専門職をめざす学生には、税法・民法などの科目や司法書士事務所などでの実習科目を開講しています。
FP(ファイナンシャル・プランナー)をめざす学生には、日本FP協会のCFP受験資格が認定されるプログラム課程を開設しています。なお、このプログラムで所定の単位数を取得し「提案書課題の作成」講座を修了すれば、AFP資格の登録権利が付与されます。

学位授与

修士論文コースでは、研究指導8単位を含め授業科目30単位以上を修得し、学位論文の審査および最終試験に合格すると修士(法学)が授与されます。
演習コースでは、演習8単位(4つの演習論文)を含め授業科目34単位以上を修得し、最終試験に合格すると修士(法学)が授与されます。
なお、優れた業績を挙げた学生については、1年の在学期間で修士の学位を取得できる1年修了制度を利用することができます。

修士論文

■2022年度修士論文テーマ
  • 暗号資産の所得税法における取扱い
  • 一時所得と雑所得の判断基準の妥当性—馬券等の払戻金に係る所得区分について争われた事例の検討—
  • ギグワーカーの所得の事業所得該当性の検討
  • 内縁関係における配偶者控除の適用について
■2021年度修士論文テーマ
  • 法人税法132条と132条の2の不当性要件の解釈について—経済的合理性基準と濫用基準の異同の検討—
  • 事前通知を欠いた税務調査の課税処分への影響について
  • 「不相当に高額」な役員退職給与に係る判断基準
■2020年度修士論文テーマ
  • 認定賞与に係る源泉徴収義務について
  • 株式有利発行に係る希薄化損失の取扱いについて
  • 贈与による事業用資産の取得に係る贈与税の必要経費該当性
  • 譲渡所得における「取得費」の判断基準
  • 法人税法22条2項による租税回避否認の可否
■2019年度修士論文テーマ
  • 給与所得該当性要件の検討
  • 法人税法132条1項における不当性判断基準についての一考察
  • 債務免除益の所得区分の判断基準
  • 訴訟過程における更正処分の理由の差替えの可否について
  • 相続税と所得税の二重課税についての一考察—大阪地裁平成27年4月14日判決を題材に—
■2018年度修士論文テーマ
  • 日米の刑事訴訟制度と日米地位協定
  • 行為・計算否認規定における不当性要件の解釈について—法人税法132条と132条の2を素材として—
  • 一時所得における「営利を目的とした継続的行為」の意義について
  • 債務免除益にかかる源泉徴収義務について
  • 給与所得該当性の判断基準について—従属性要件の要否を中心に—

取得できる資格

中学校教諭専修免許社会および高等学校教諭専修免許公民が取得できます。

税理士試験科目の一部免除

税理士試験は、税法科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税または固定資産税)から3科目と会計学科目(簿記論、財務諸表論)2科目の合計5科目が試験科目となります。しかし、大学院に進学し特定の要件を満たした修士論文を提出した場合、税法科目2科目と会計学科目1科目の試験が免除される制度があります。
法律学専攻において、「税法に属する科目等」の研究により学位が授与され、国税審議会からの認定を受けた場合、税法の試験科目1科目に合格しているときは残りの2科目が合格したものとみなされ、試験の免除を受けることができます。
また、商学研究科において「会計学に属する科目等」の研究により学位が授与され、国税審議会の認定が得られると、会計学科目1科目の試験が免除されますので、商学研究科とのダブルディグリー制度を利用すれば、修業年限を短縮して3年または2年で税法および会計学に属する試験科目の一部免除を受けることが可能となります。

修了生の声

アチングチュコス ヴァレリィ ソランジさん

私は、学部の頃に履修した国際私法の授業と国際私法ゼミナールで国籍の異なる者の国際問題がどのように解決されていくのかを学び、問題解決のカギとなる個人の国籍に興味を持つようになりました。特に国籍を2つ以上持っている者がどのようになるのか、また国籍を2つ以上持っていることの是非についてぜひ考えたいと思って、大学院へ進学しました。広島修道大学の大学院を選んだ理由は、本学の学部生だったので入学金の一部免除があったこととゼミの先生が指導教員だと知ったので楽しく研究できると思ったからです。本学に入学してからよかったと改めて思ったことはいろいろありますが、ここでは3つのことを皆さんにお伝えしたいと思います。
第一に、勉強できる場所が多いことです。研究室はもちろん、自主学習するスペースがキャンパス内にとても多く設けられているので、学習している学生が多く刺激を受けながら研究することができます。
第二に、学外の人も訪れるほど綺麗で広い図書館があり、研究に必要な文献や資料がとても集めやすい研究環境です。
第三に、少人数制なので学生と先生方、学生同士、職員の方との距離がとても近いことがあげられます。今でも入学当初のオリエンテーションで研究科長に言ってもらえた「今日から君たちも私たち教員と同じ研究者だ。同じステージに立っている。切磋琢磨しよう。」という言葉を思い出します。その言葉の通り先生と議論し、意見交換ができる環境です。学生同士様々な研究をしているので、そのことについて話したりその分野について質問したりととても充実した時間が過ごせています。職員の方たちとも気軽に研究室の改善、行事などについても話すことができます。
修士論文を書くのは簡単なことではないと思いますが、自分の将来にも活かせる経験だと思うのでしっかり楽しみながら全力でやっていこうと思います。

大佐 将人さん

私が大学院を志望した理由は、法律についてより深く勉強したいと思ったことと、税理士試験科目の一部免除制度を利用したいと思ったからです。
私は他大学の法学部を卒業して本大学院に進学してきました。そして、地元である広島に戻って勉強したいと考えて大学院を探していたところ、広島修道大学大学院について知りました。そして、広島修道大学の大学院では、私がめざしている税理士試験のほかに、 CFP受験資格が認定されるプログラム課程もあり、税法をはじめとする幅広い分野の勉強ができるだけでなく、実務的な、資格取得のための制度もとても充実しているところに魅力を感じ、受験しました。
大学院での授業は、学部時代に得た専門知識を更に深めていき、自ら決めた研究課題に取り組む勉強で、自らのやりたいと思っていた研究を中心に授業を履修し、研究を進めています。どの授業も、専門性が高くて大変なこともありますが、先生方が熱心に指導くださるので、とても勉強になって、充実した大学院生活を過ごせていると思っています。
また、学部の講義とは違って大学院の授業は少人数で、先生や他の院生との議論が中心となっています。そして、大学院には、法学部出身ではなくても、社会人など様々なバックグラウンドや興味・関心を持った院生が多くいます。例えば、私のめざす税理士に関しては、税理士事務所での実務経験を持った人がいます。そういった人から、実務の観点からの意見を得られます。これは、学部時代にはできなかった魅力的な、大学院ならではのものだと思います。
私は、本学で専門的な知識、幅広い視点を身につけていきたいと思っています。

田中 雄大さん

私が大学院を志望した理由は、高度な法律的知識を得たいと思ったからです。特に、アメリカ法に関心を持っていたので、それならばアメリカ出身で弁護士経験もある教員から指導を受けたいと思い、広島修道大学を選びました。 入学後は、自分の力不足を痛感する毎日です。自分では万全の準備をして臨んだつもりでも、先生方や他の学生により多方面から指摘を受けます。また社会人の院生の視野の広さにも驚かされています。これは学部時代ではなかなか得られなかったことです。 大学院の授業は少人数制で、先生によってはマンツーマンの時間を設けてくださる方もいます。そのため自分の研究テーマに沿った授業を受けられます。今後は、博士課程への進学を見据え、幅広い視野と共に、しっかりと論文執筆に精を出したいと考えています。

白石 景子さん

私が大学院へ入学したのは、法律の専門的な知識を高めていきたいと思ったことと、税理士試験科目の一部免除制度を利用したいと思ったからです。入学当初、資格取得は税理士試験科目の一部免除制度のみを利用しようと思っていました。しかし、本学は、日本FP協会のCFP受験資格が得られる「CFP認定教育プログラム」が設置されていたので、今は、税理士試験科目の一部免除制度を利用しながら、CFP受験資格も取得したいと考えています。
大学院は、学部の授業とは異なり少人数制なので、自分のやりたい事ができやすい環境にあると思います。そして、目的を持って取り組む事により多くのことが学べます。本学には高い専門知識のある素晴らしい先生方や熱心な職員の方が大勢いますので、より専門的な知識を学ぶことが出来ます。さらに本学には、多くの専門書や法律関係を調べるデータベースも充実しているため、勉強を進めていく上でより良い環境が整えられています。
税理士は、税法に関する高度な専門知識とともに法律全般の知識も必要な職業です。本学で科目免除制度を利用しながら、税法以外の法律の知識を学ぶことにより、より多面的な見方ができるようになると思います。私は、本学で専門的な知識を身につけて実務に役立てたいと思っています。

北原 宗さん

私は税理士になることをめざして広島修道大学大学院に進学しました。数多くある大学院の中でも、広島修道大学大学院を志望した理由は、3年で2つの学位を取得できるというダブルディグリー制度に魅力を感じたからです。
そのダブルディグリー制度を活用して、入学して最初の2年間は商学研究科で、3年目は法学研究科で研究をしてきました。通常であれば、4年かかるものを1年短縮させたので、当然に大学院での勉強はとても苦労が多かったです。具体的には商学研究科在学中からも法学研究科の講義を受け、商学の研究をしながら、法学の勉強も進めなければならず、多くの勉強時間を必要とし大変でした。しかし、税理士という資格には会計と法律の2つの視点が必要だと大学院の授業を通じて学び、商学、法学どちらの分野も一生懸命に取り組んできました。また、どちらの講義も幅広く、また高度な内容でしたので、興味深く学ぶことができました。そのため、大学院生活の中で得た充実感はとても大きかったです。
また、大学院研究室は綺麗で、ひとりずつの勉強スペース、収納スペースが確保されていますので、気兼ねなく自由に勉強できました。さらに、税理士を志す他の大学院生とともに研究をしていくことでの充実感もありました。困った時などは、先生方だけでなく、職員さんも親身に対応してくれましたので、とても充実した大学院生活を送ることができました。今後はこの広島修道大学大学院で学んだことや出会いを大切に、税理士試験合格に向けて精進していこうと思っています。

浅尾 美友さん

私は学部・大学院5年プログラムで大学院の授業を履修したことがきっかけで、大学院進学に興味を持ちました。大学院での授業は、少人数で発表の回数も多く、授業準備には時間がかかりましたが、学部の授業よりも判例や学説などについて深く学ぶことができました。また、院生の年齢層が広く、社会人の方と一緒に授業を受けて様々な意見を聞くことができ、自分の視野を広げることができたと思います。
公務員をめざしていたので、公務員講座を受講して就職活動に取り組みました。研究と並行しての受験勉強なので大変でしたが、試験本番では面接や集団討論で授業での発表経験が自分の意見を上手くまとめることに役立ちました。合格に至るまでの間、指導教員の先生や教学センターの職員の方によく相談に乗っていただきました。教員や職員との距離が近いのも、本学大学院の魅力の一つです。
大学院は一昨年から新3号館に研究室が移動し、より充実した設備のなかで勉強・研究に取り組むことができます。ぜひ大学院でより深く法学を学び、充実した学生生活を送ってください。

上向 輝宜さん

私の志望理由は、大学院に尊敬できる多くの先輩がいたためです。学部の4年時に学部・大学院5年プログラムを履修し、その時に院の先輩方から、学習面だけでなく様々な面で助言をいただきました。広島修道大学の大学院に進学するべきかどうか悩みましたが、助言を受けた先輩方からさらに多くのことを学びたいと考え、進学することに決めました。
入学後は、充実した時間を過ごしました。特に、週1回ですが、授業後に税理士をめざす方達と設けている自主学習の場は、授業の復習とともに、実務の観点からみた生きた法律を学ぶ貴重な機会となりました。また、社会人の院生の見識の深さにも啓発されました。そして、大学院での先生方のきめ細かな指導と院生間での交流のお蔭で当初の目標であった、大学院の博士課程に進むことができました。
最後に、大学院をめざすか迷っている方へ一言だけメッセージを贈ります。広島修道大学の大学院には、すばらしい先生方や職員のみなさん、そして、高い志を持った先輩方が多くいます。絶対に後悔をすることはありませんので、勇気を出して、一歩踏み出してみてください。

松本 千弥さん

大学院を志望したのは、もっと深く法律を勉強したいと思ったからです。3年秋から就職活動を始め、3年の後期試験の時期は、ちょうど就職活動の説明会と試験が重なり、説明会に行きつつ、勉強もしつつと大忙しの日々を過ごしました。4月に内定をもらい、ここで初めて、自分が社会に出ることがやっと現実に感じられるようになりました。就職活動やテストで忙しい日々から解放され、一息ついた時、学部・大学院5年プログラムで大学院授業を履修していたこともあって、進学という道もあるということに気付きました。色々な人に相談する中で、今のうちにしかできないことは勉強のほうかなと思い、進学を決意しました。
本学法学部出身ですが、授業は十分な法的知識があることを前提で進められるので、毎回分からないこと、調べないといけないことが多く大変でした。ただ、大学院で机を並べる院生の方や先生方に支えられて何とかついていくことができました。就職活動をし、内定までもらわないと本当に自分が何をしたいのかが分からなかったのですが、その体験があって、自分がどのような道に進むべきかを発見することができた気がしています。

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