地方自治体の今を読み解く

国際コミュニティ学部 准教授 山中 雄次(ヤマナカ ユウジ)先生
静岡県立大学 大学院 経営情報イノベーション研究科 博士後期課程修了 博士(学術)
専門分野: 行政学、地方自治論、公共政策
主要研究テーマ: 地方自治体の経営管理
地方自治体の経営管理を研究しています。具体的には役所のカウンターの向こう側の出来事、さらに、地方公務員の皆さんが考えていることに興味を持っています。
私自身が20年間、県外の地方自治体で行政職として勤務し、在職中、大半の期間を役所内部で行われる職員間の厳しい調整や、外部の事業者や住民との折衝を要する仕事に費やしてきました。さらに、地方公務員というと、毎日同じ作業を繰り返す単調な 仕事と思われることも多いようですが、2000年初頭から、様相が一変しています。ルーチンワークの多くは、民間企業に任せる動きが加速。現在は法律やルールを読み解き、対話を重ね、落としどころを探る「難しい折衝」を伴う仕事が多く残っています。
もともと日本は海外と比べ、非常に少ない公務員数で効率的に仕事をしてきました。しかし、2000年初頭、国を挙げて行われた地方自治体の行政改革の中、民間企業に仕事を任せるだけでなく、民間手法の行き過ぎた導入がみられました。さらに、行政機関の統廃合や行政職の大幅削減が行われて現在に至ります。数年前、新型コロナウイルス感染症が拡大した際に、もともと人手不足だった保健所の業務が一層滞ったことで、不安を抱えた陽性者をはじめ多くの市民に迷惑がかかり、初めて役所内部の厳しい職務実態を知った人も多かったようです。
私自身が20年間、県外の地方自治体で行政職として勤務し、在職中、大半の期間を役所内部で行われる職員間の厳しい調整や、外部の事業者や住民との折衝を要する仕事に費やしてきました。さらに、地方公務員というと、毎日同じ作業を繰り返す単調な 仕事と思われることも多いようですが、2000年初頭から、様相が一変しています。ルーチンワークの多くは、民間企業に任せる動きが加速。現在は法律やルールを読み解き、対話を重ね、落としどころを探る「難しい折衝」を伴う仕事が多く残っています。
もともと日本は海外と比べ、非常に少ない公務員数で効率的に仕事をしてきました。しかし、2000年初頭、国を挙げて行われた地方自治体の行政改革の中、民間企業に仕事を任せるだけでなく、民間手法の行き過ぎた導入がみられました。さらに、行政機関の統廃合や行政職の大幅削減が行われて現在に至ります。数年前、新型コロナウイルス感染症が拡大した際に、もともと人手不足だった保健所の業務が一層滞ったことで、不安を抱えた陽性者をはじめ多くの市民に迷惑がかかり、初めて役所内部の厳しい職務実態を知った人も多かったようです。

地方自治体内部の出来事や地方公務員の考えていることは、さまざまな形で外に表現されます。例えば、議会答弁、総合計画をはじめとする各種行政計画、政策評価書に書かれた文言、定期的に公表される報告書や各種データなどがあります。これらを丁寧に読み込み、理論を踏まえた上で一つの形として表現することが私の研究スタイルです。これまでに、地方自治体における行政改革の変容、指定管理者制度の運用、公共部門の評価をテーマに選び、研究を重ねてきました。例えば、かつては、地方自治体が公表した行政改革の実施計画書(行政改革大綱)に、激しい文言が踊っていましたが、時系列で読み込むと、近年では下火になっており、働き方改革やICT活用等の方針が書かれるなど現場を意識した穏やかな内容となっています。地方自治体の文書を数多く読みこむことで、こうした動向が判明しますが、その前提として普段から地方公務員の皆さんとの会話が必要です。ご苦労をされながらも、一生懸命に仕事の話をしてくれる姿は本当に頼もしく感じ、学術と実務の現場を架橋していくことが自身の役割だと考えています。