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国際コミュニティ学部 三浦浩之先生

デジタル・トランスフォーメーション(DX)時代の 新たな市民参画によるまちづくり

国際コミュニティ学部教授 三浦 浩之(みうら ひろゆき)先生

関西大学 工学部 土木工学科 卒業
博士(工学)
専門分野:都市・地域デザイン、市民参加、オープンガバナンス、生涯学習、環境システム、環境デザイン
主要研究テーマ:持続可能で幸福度の高い社会の実現に向けての社会システム及び人々の価値観の変革に係る研究

私が取り組んでいるのは、『デジタル・トランスフォーメーション(DX)の時代における新たな市民参画によるまちづくり』です。
DXの本質とは、単なる既存の施策や業務のデジタル化ではなく、「デジタル技術の活用により既存の仕組みを変革」し、「新たな価値創出または課題解決」 を図ることで、「生活の豊かさ」を実現することです。
これを踏まえ、 まちづくりにおいて、データとデジタル技術を活用して、「地域主導のまちづくり」、「データ駆動型まちづくり」を進める方法について研究しています。
前者はオープンガバナンス(デジタルガバナンス)と言われるもので、市民は地域の課題解決に対して自分ごととして取り組んでいくものであり、行政はこのような市民を支えるプラットフォームを用意する、つまり、行政はデジタル時代にふさわしいオープンデータや知識の市民との共有を進める役割を担います。日本における事例としては、バルセロナやヘルシンキなどで使われている、「Decidim(デシディム)」という参加型民主主義プロジェクトのためのオンラインツールを用いた加古川市市民参加型合意形成プラットフォームがあり、そこではJR加古川駅周辺のにぎわいづくり(ウォーカブルなまちづくり)等において市民の意見を計画に反映させていっています。
後者は、まちづくりの各フェーズにデータを積極的に取り入れ、科学的な政策立案を行うものです。EBPM(エビデンスに基づいた政策立案)やKPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator、目標を達成するための取組の進捗状況を定量的に測定するための指標)を用い、データに基づくQoL(暮らしの質)向上への寄与を評価するものです。尼崎市の取り組みでは、Wi-Fiパケットセンサーによる観測調査を実施し、阪神尼崎駅周辺エリアにおける交通・観光流動を把握し、観光施策や地域活性化策の検討に活用しています。
これらを社会に浸透させていくためには、行政側の変革とともに、市民もまちづくりへの意識や関わり方を変革していくことが必要となります。そこで、それを促すための“社会的な学びの場”がどうすれば形成できるのかについて、さまざまな先進的な事例、試行的な事例を分析し、解き明かそうとしています。今、“社会的な学びの場”として着目しているのは、神戸市にあるデザイン・クリエイティブセンター神戸が開催している+クリエイティブゼミです。これは、神戸市における社会的な課題に対して、既成概念にとらわれないアイデアや工夫を採り入れていく+クリエイティブなアプローチで解決する手法を、小グループでリサーチやディスカッションを行いながらゼミ形式で学べるプログラムです。この+クリエイティブゼミでは、解決への方策を導き出すプロセスを通じて、参加者が周りの人たちを巻き込んでいくような社会課題解決を実践する場を生み出しています。

※掲載内容は全て取材当時(2023年3月)の情報です。