人文学部
人間関係学科社会学専攻は


生まれ変わります

20244 開設

入学定員95名
取得学位 学士(社会学)

SOCIOLOGY社会学とは

社会学とは、
究極的には
「社会とは何か」を考える学問です。

私たちが暮らす社会で起こるあらゆることが社会学の研究対象になります。それを(社会)現象と言いますが、それがなぜ起こるのか、そのことがどのような意味を持つのかを、調査(データ収集・サーベイ)をとおして分析・考察します。この場合のデータになるのは、人びとの経験です。その意味で社会学は経験科学と言われています。社会学の研究を通して、社会をまなざす視点や社会学的なものの見方や考え方を学ぶことができます。そうした視点や考え方は、これから私たちがどのような社会を作っていくかについての新しい構想をもたらしてくれます。

高校までの社会科との違い

社会学を大学で初めて知る人もたくさんいます。高校までの社会科と社会学は、似て非なるものです。高校までの社会科とは、ある意味で社会についての既存の知識を習得することに主眼が置かれています。そうした知識そのものが(社会的な)規範を形作っている、または(社会的)規範そのものであるといってもいいかもしれません。社会学では、むしろ社会に関する/社会で作られてきた既存の知識を批判的に検討し、これまで「常識」とされてきたものを懐疑的にとらえ、今までとは異なった見方や考え方をとおして社会を分析・考察することに主眼を置きます。
その違いを社会学的に明らかにしてみましょう。

以下の用語は、2022年7月に「社会学という学問をイメージしたとき、思い浮かぶキーワードを三つ以上あげなさい」という問いに対して、社会学専攻で「現代社会論演習」を履修している2年〜4年生(各学年5名、計15名)が回答した結果です(括弧内人数)。

ジェンダー(5)、フェミニズム(2)、マックス・ヴェーバー(2)、構築主義(2)、マイノリティ(2)、性的マイノリティ、感情労働、ハイパーリアリティ、社会的排除、セクシュアリティ、当たり前を問う学問、ラベリング論、フィールドワーク、実証科学、実証主義、構造主義、ポスト構造主義、機能主義、批判理論、滴り理論、差別問題、相互作用、社会的行為、データ分析、生きづらさ、役割期待、相互行為、顕在的機能、逸脱者研究、コミュニティ、普通、ネットワーク、国際、氏か育ちか論争、正解がない

上記の回答をみれば、少しでも社会学という学問にふれた人たちのイメージが、高校までの社会科のイメージと大きく違うことは、分かるでしょう。また、社会学という学問のイメージは、同じ演習を履修している人たちの間でも、実に多様であることも明らかになりました。さらに、社会学に出会ったことがない人たちには、初めて見る専門用語(概念)も多いかもしれません。

社会学が研究対象とする(社会)現象は、何の変化もない静態している常態ではなく、「今・ここ」で生起している生き物のような動態的存在ですから、「今・ここ」にある現実を理解するために絶えず新しい理論・方法・概念が必要となります。

社会の現実を「人々の経験(意識)」にもとづいて理解・説明する学問が社会学という科学です。実社会は異なる価値観を抱いた多様な人間によって複雑な関係で形成されています。複雑な社会をより深く理解しようと試みる社会学を学ぶ人には、「問題を発見する」「多様性を理解する」「実証的調査を行う」「理論的に思考する」「社会を構想し提言する」能力が求められます。多様な人々の経験(意識)を社会調査やデータをふまえて、「今・ここ」にある社会を理論的に分析・考察していくのが現在進行形の学問=社会学です。

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社会学 SOCIOLOGY
リスク社会
ブルシット・ジョブ
パノプティコン
感情労働
文化資本
複雑性の縮減
動機の語彙
ハビトゥス
ディズニー化
社会学的想像力
アノミー
親密圏
ジェンダー
インターセクショナリティ
セクシュアリティ

キーワードをクリックタップすると解説が表示されます。

リスク社会

リスク社会

経済や科学技術の発展による富の社会的生産や政治的変革と並行して、多様で複雑化したリスクが社会的に生産される社会を意味する。現代社会においては、放射能、地球温暖化、テロリズム、犯罪、金融危機、気候変動や生態系の危機など、全ての人々が見えないリスクに曝されている、と言われている。

文献:U.ベック『危険社会』

 

ブルシット・ジョブ

ブルシット・ジョブ

例えば、誰も読まない書類を延々と作ったりするような「クソどうでもいい仕事」を意味する。労働者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害だと考える。現代社会で増殖していることが問題となっている。とりわけても、COVID-19 Pandemic下で注目されたエッセンシャル・ワーカーたちの雇用・労働条件との対比で、比較的高賃金の雇用形態となっているブルシット・ジョブに従事している人間にとって心理的・精神的破壊になる、と問題化されている。

文献:D.グレーバー『ブルシット・ジョブ』

 

パノプティコン

パノプティコン

J.ベンサムが、刑務所の劣悪な環境を改善するために考案した一望監視施設。監視されている囚人が、監視者の姿が見えないにもかかわらず、常に監視されているという意識を抱くことで、自ら進んで規律に従っていくパノプティコンは、M.フーコーによって近代的権力のあり方として示された。

文献:M.フーコー『監獄の誕生』

 

感情労働

カフェの店員さん

カフェの店員さん

感情が労働内容の不可欠な要素であり、特定の感情が適切/不適切とされるなど、法則化されている労働を意味する。肉体や頭脳だけでなく「感情の抑制や鈍磨、緊張、忍耐などが絶対的に必要」である労働は、接客業だけでなく、今や多くの労働場面で増殖している。

文献:A.R.ホックシールド『管理される心』

 

文化資本

市民運動で再建されたカフェ

市民運動で再建されたカフェ(ベルリン)

金銭以外の文化的素養(趣味・知識・習慣・人間関係など)を蓄積することにより、所有者へ社会的地位を付与する資本を意味する。お金以外に、親から子へと継承され、世代が変わっても社会的地位が再生産されていくことを「文化的再生産」と呼ぶ。

文献:P.ブルデュー『ディスタンクシオン』

 

複雑性の縮減

複雑性の縮減

多様な人々が織りなす近代社会で、個人が現実に直面する世界は、他者が行うかも知れないあらゆる可能性(複雑性)にみちている。多様な可能性のある不確実な世界を生きるために、相互にコミュニケーションする社会システムをとおして意味による世界の秩序づけ(=複雑性の縮減)がなされる。複雑性の縮減が高まった社会では、見知らぬ人々の関わりも、相手の行動を予期(信頼)して行うことができる(=複合性の増大)。

文献:N.ルーマン『信頼』

 

動機の語彙

動機の語彙

動機は行為の原動力ではなく、ある行為の結果に対して後に付与する「類型的な語彙」として捉えるべきだ、という社会学の概念。「どうでもいいと思っている相手だからわざと待ち合わせに遅れた」というような真の動機の表明は、相互作用の秩序を破壊するために、人々は動機の語彙(ボキャブラリー)から適切な動機(「急にお腹が痛くなった」「財布を忘れて家へ取りに戻った」など)を選択して用いることで、社会的な衝突を回避している。

文献:C.W.ミルズ「状況化された行為と動機の語彙」

 

ハビトゥス

庶民的カフェ

庶民的カフェのコーヒー一杯の価格 約50円

高級カフェ

高級カフェのコーヒー一杯の価格  約500円

長い年月をかけて無意識に身につけていく言葉使いや考え方、センスや振る舞いなど、人間の中に形成された心的傾向を意味する。もともと富裕層でなくても、お金さえあれば、高価なブランド品を買ったり、一流の料亭や高級レストランを利用することはできるが、富裕層のようにブランド品を自然にまとったり、料亭や高級レストランで今一つくつろげないのは、ハビトゥスが異なるからである。

文献:P.ブルデュー『ディスタンクシオン』

 

ディズニー化

海外の高級ショッピングモール

海外の高級ショッピングモール

ディズニーワールドを想起させるように、施設や商業地を観光客向けに単純化し、管理された「安全」の理想的な虚飾へと変換させていくことを意味する。グローバリゼーションや消費主義的ライフスタイルの急速な浸透を背景として、現代社会では、特有の場所から実質的内容を取り除いて標準化・均質化し、創り出された「新しい道徳」に消費者自らがすすんで従うような「ディズニー化」された空間が拡張していく。

文献:A.ブライマン『ディズニー化する社会』、
G.リッツァ『消費社会の魔術的体系 ディズニーワールドからサイバーモールまで』

 

社会学的想像力

社会学的想像力

個々の人間が抱えている問題や欲望、苦悩や衝動を人間社会という普遍的な文脈に位置づけて理解しようと努めていく知的職人の試みを意味する。C.W.ミルズは、社会学的想像力を「ジャーナリストや研究者、芸術家や公衆、科学者や編集者が切望している」と提唱した。

文献:C.W.ミルズ『社会学的想像力』

 

アノミー

アノミー

社会規範・道徳が弛緩・崩壊することによってもたらされる無規範・無規制状態を意味する。社会の転換期に際して、人々の欲望を制御してきた規範・道徳が機能しなくなり、際限のない欲望が肥大化し、無規制状態におちいることで自己が混乱して、アノミー的自殺や犯罪を招く可能性をE.デュルケームは指摘した。

文献:E.デュルケーム『社会的分業論』『自殺論』

 

親密圏

親密圏

親密圏は、「具体的な他者の生/生命―とくにその不安や困難―に対する関心/配慮を媒体とする、ある程度持続的な関係性を指すもの」と定義される。この内容が意味する社会的単位は、従来「家族」が想定されていたが、そうした社会的関係や単位は家族のみに収束するものではなく、また家族のあり方そのものも多様化してきた。そのなかで、公共圏とは異なる/対立する/関連する圏域として提起されたのが親密圏/親密性の概念である。

文献:齋藤純一編『親密圏のポリティクス』

 

ジェンダー

ジェンダー

通常セックスが生物学的性別であるのに対して、ジェンダーは社会・文化的性別あるいは性別役割分業を意味している。こうした考え方からは、セックスが変更不可能なものであり、ジェンダーが流動的な、あるいは変更可能なものとして想定されることになる。しかし、ジュディス・バトラーのジェンダー論以降、ジェンダーが生物学的性別をも構築しているとする考え方が受容されるようになってきた。

文献:J・バトラー『ジェンダー・トラブル』

 

インターセクショナリティ

インターセクショナリティ

社会では性別・ジェンダー・セクシュアリティ、人種、社会・経済的階層、障がいの有無など様々なカテゴリーが存在し、それによって差別や抑圧や不利益が生じることがある。そうした差別・抑圧・不利益は、カテゴリーごとで存在しているのではなく、また各差別それぞれの足し算ではその現象や構造を把握できず、カテゴリー同士が重なり合い、関連しあっていることがほとんどである。それは社会における差別構造の交差点(インターセクション)であり、差別をめぐる問題もこうした視点で見る必要があるのだ。このような概念や視角をインターセクショナリティという。

文献:キンバリー・クレンショウ「人種と性の交差点を脱周縁化する:反差別の教義、フェミニスト理論、反人種差別主義政治に対するブラック・フェミニスト批評」

 

セクシュアリティ

セクシュアリティ

人間の性のあり方全般を指す言葉で、そこには性行為や生殖だけでなく、欲望や快楽、観念・幻想、自己表現なども含まれる。したがって、セクシュアリティは、日常生活のあらゆる場面で生起する現象であり、非常に幅広い内容を含む。たとえば、食事の場面であっても、それが行われる文脈では「性的である」ととらえられることもある。このようにセクシュアリティを定義することが難しいことから、人が「セクシュアリティ」と呼ぶものを「セクシュアリティ」とするというようなある種「無定義の定義」とする場合もある。

文献:M・フーコー 『性の歴史 知への意志』

 

STUDY

社会の課題解決力と多様性理解力
そして社会を構想し提言できる能力を携え、
異なる価値観や文化・属性の人々と共存し、
多様な社会・職業領域で活躍できる
人材を育成します。

社会学科で学ぶ、
多種多様な領域

1~2年次 社会学の基礎的知識を修得

自らの興味・関心を喚起し、
視野を広げる

専門科目

  • 専門講義科目
  • 社会学情報処理科目

Point1専門科目

社会学科の専門科目は3科目群に区分されており、社会学の諸領域や理論・方法に関する知識を修得するための「専門講義科目」、その領域の理解をさらに深める科目として「演習科目」、社会調査や社会学を学ぶ上で必要とされる情報スキルを身につけるための「社会学情報処理科目」があります。

2~4年次 社会学に関する専門知識を修得

「専門科目」を通じて、自らの興味・関心を深め、社会学に関する専門知識を修得し、コミュニケーション能力と応用力を鍛錬する

専門科目

  • 演習科目(専門演習科目・特殊演習科目)

Point2演習科目

「演習科目」はゼミナールに相当し、多種多様な領域の中から、異なる教員が担当する複数のテーマを選択することができます。2年次生から4年次生までが一緒に学ぶので、学年を超えたディスカッションを通じて、多角的に専門知識を深めることができます。

4年次 社会学的力を研鑽

社会学を学んだ集大成として「卒業研究」作成を通じて、自らの研究へと邁進し、未来社会を切り開いていく社会学的力を研鑽する

進路

想定される進路

  • マスメディア
  • 金融
  • 公務(行政、警察、消防など)
  • 情報通信
  • 卸売・小売
  • 製造
  • 服飾関係
  • 教育関係
  • 観光
  • 大学院進学 など

資格

取得可能な資格

所定の単位取得(選択制)により、下記の資格・免許状を取得できます。

  • 社会調査士
  • 中学校教諭一種免許状(社会)
  • 高等学校教諭一種免許状(地理歴史/公民)
  • 社会教育士・社会教育主事(任用資格)※1
  • 児童福祉司(任用資格)※2
  • ※1:課程修了者は「社会教育士(養成課程)」と称することができます。
    任用資格を得るには1年以上の実務経験が必要です。
  • ※2:1年以上の実務経験が必要です。
社会学科のカリキュラム等 
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