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健康科学部 黒飛知香准教授が令和5年度日本食品科学工学会 西日本支部大会「支部奨励賞(一般)」を受賞

10月28日、健康科学部 黒飛知香准教授が令和5年度日本食品科学工学会西日本支部大会「支部奨励賞(一般)」を受賞し、授賞式及び受賞者講演を行いました。

日本食品科学工学会は、食品科学工学に関する研究の発表、連絡、連携および促進をはかり、あわせて研究成果の普及、情報の提供を行ない、もって科学、技術、文化の発展と国民の食生活の向上に寄与することを目的としています。
また、日本食品科学工学会では各支部においても活発に研究活動が行われています。このたび、広島県が含まれる西日本支部にて「食品科学工学分野の進歩に寄与する優れた研究をなしとげ、 あるいは実用的に高く評価される業績を上げ、今後更に発展が期待される西日本支部所属の若手研究者」を対象に「支部奨励賞」が創設されました。今年度は、支部奨励賞(一般)1名に黒飛准教授が選出されました。

このたび表彰の対象となった黒飛准教授の業績「食品のテクスチャーおよび呈味の指標の解明と知覚機序に関する研究」では、人の喫食状態を反映した品質特性を捉えるために固形物を含む状態で精度よく見かけ粘度を測定できる新しい手法(SBE法)を導入しています。さらに、官能評価と機器分析の併用によって食品のテクスチャーや呈味について、市販品の品質特性の客観化からモデル系試料を用いた配合の違いが、これらに及ぼす影響までを網羅的に解明しています。以上の食品の喫食時(官能評価)に対応した指標(力学的特性値)の解明は、食品業界の商品開発などにも有用な知見をもたらすものと考えられています。

受賞講演

業績題目

「食品のテクスチャーおよび呈味の指標の解明と知覚機序に関する研究」

研究概要(要旨一部抜粋)

食品の多くは固形物が含まれており,様々なテクスチャー,さらには呈味の感じ方にも大きく影響している.ジャムを例にすると,果肉が含まれた複合物であり,さらにゲル化に必要なペクチンの種類や濃度がこれらの品質特性に重要な鍵となる.そのため,これらの品質特性に関する研究は官能評価や機器分析にて数多く行われている.しかし,人が評価する官能評価は,精度を問われることが多い.一方,機器分析は高い精度ではあるものの,これらの多くは機器の構造上,固形物を含んだ状態での測定が困難であり,メッシュ掛けなどの前処理を行ったうえで測定されている.つまり,これらの方法では人の喫食状態を反映した特性を捉えることができていない.
そこで,本研究では,試料の喫食状態を反映させた官能評価を行うことが重要であることを示した.機器分析は一般的な機器分析に加え,食品自体の構造だけでなく,口腔内条件(人工唾液添加や口腔内温度)における測定ができるSBE法を用いた.さらに,官能評価値と機器分析値の関連性より,官能特性(甘味,かたさ等)は特性ごとに異なる力学的特性(見かけ粘度など)を指標とし,それに基づいたずり速度等から口腔内状態(唾液の有無,舌の動き,温度)と知覚順序を推測することができた.本研究より,SBE法が人の喫食状態を反映した力学的特性測定に有用であることを示すことができた.さらに,モデル系食品で得られた成果が,市販品にもおおよそ適用できることを示すことができ,これらの知見がジャムの品質特性の指標(力学的特性値)になり得ることが示唆された.

西日本支部 / 公益社団法人 日本食品科学工学会 (atlas.jp)

大学徹底研究 きらり名物教授(中国新聞掲載記事)

食品のおいしさ・安全性の両立と高齢化社会のQOL向上を目指して | 広島修道大学 SDG's