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第77回ドキュメンタリー・アワーを開催しました

学習支援センターでは、「LSCドキュメンタリー・アワー」という、本学の教員が自ら選んだ映像資料を、教員の解説とともに視聴し、楽しみながら見識を深めるイベントを行っています。

12月14日(木)に第77回ドキュメンタリー・アワーを実施しました。
今回は、法学部の前田星先生に「魔女裁判」について解説していただきました。「魔女裁判」は近世ヨーロッパに人々へ広まった出来事であり、何の罪もない人物が突然魔女である疑いをかけられ、裁きを受けていました。その結果、多くの死者を出した歴史的事実です。当日は映像資料を交えつつ、「魔女裁判」が引き起こした悲劇やそのきっかけ等について解説していただき、ダークな歴史を深堀りしていきました。

まず、魔女裁判(魔女狩り)の概要を確認しました。その中で魔女裁判をどう捉えるかという問いに対して、裁判制度やキリスト教が要因となって「近世ヨーロッパ社会の特徴が現れている」という見方もあれば、人間の心理などに基づく「普遍的に生じる」出来事だという見方もあると示していました。魔女裁判は、近世の刑事裁判のルールに従って行われていましたが、その残虐さは異常なものでした。その理由として、『カロリナ刑事法典』という神聖ローマ帝国全体の刑事法典が存在しており、ルールが定められていたものの、自白偏重主義や「例外犯罪論」などにより、歯止めが十分に機能しなかったことを説明されていました。
魔女裁判が広まったきっかけであるハインリヒ・クラ—マーの『魔女への鉄槌』について、魔女へのイメージを流布するものとなった一方で、バーゼル公会議など、魔女の考え方が広がる要因は他にもあったことが示されました。また、魔女裁判が拡大した要因として、既に捕まった人(魔女)に共犯者を告発させたことで無実の人々も続々と魔女として捕らえられ、結果として組織犯罪のイメージが影響を与え、被害が大きくなったと説明されました。
最後に、魔女裁判の終焉について動画内では「理性」の勝利によって導かれたとされていましたが、前田先生はあえて異を唱え、手続き上の問題が背景で終わったこと、魔女裁判は「パニック」や「ヒステリー」から魔女裁判が遂行されたのではなく、刑事裁判制度の欠点を背景として止められなかった現象であると語られていました。
アンケートでは、「魔女狩りなんて漫画でしか起きないことだと思っていたけれど、現実でも起きていたことだと知れたし、刑事裁判としての目線からの解説が聞けて、本当に面白かった。」「映像を見ながら専門分野の教員のお話を聞けることはなかなかないし、普段関わっている教員とは違う法学の視点のお話はとてもおもしろかった。」などの声がありました。
LSCドキュメンタリー・アワーは学習支援センターが年に2回企画しており、次回は2024年度前期に開催する予定です。皆さんのご参加をお待ちしています。

 

問い合せ先

学習支援センター

協創館(8号館)1階
Eメール: skill@js.shudo-u.ac.jp
電話: 082-830-1426