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第76回ドキュメンタリー・アワーを開催しました

学習支援センターでは、「LSCドキュメンタリー・アワー」という、本学の教員が自ら選んだ映像作品を、教員の解説とともに視聴するイベントを行っています。

7月14日(金)に、第76回LSCドキュメンタリー・アワーを実施しました。
今回は、商学部の馬場﨑賢太先生にシェイクスピア『ハムレット』について解説していただきました。17世紀初頭に書かれたとされる本作は、デンマークの王子であるハムレットの、父を毒殺し王となった叔父への復讐物語です。ドキュメンタリー・アワーでは、映像を交えつつ『ハムレット』の筋を追い、作中人物の心情への理解を深め、本作が名作と謳われる謎と魅力に迫りました。

まず作品冒頭に着目し、『ハムレット』が孕むテーマを確認しました。本作は、“Who’s there?” (誰?)という台詞から始まります。作品の中でも重要とされる一文目が、「誰?」であることからは、『ハムレット』が、人間存在とは何なのか、というテーマを持つ作品であることがうかがえます。
ハムレットは叔父への復讐を実行すべきか悩むなかで、自分の生き方を問うことになります。ハムレットが口にする、有名な一文 “To be, or not to be, that is the question” (生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ)には、その問いがよく表れています。“To be” とは、理性を重んじる生き方です。神が禁じる復讐をせず父の仇を討たずに生きる道です。一方、“not to be” とは、理性より情熱を重んじる生き方で、仇を取って死ぬことを選ぶものです。最終的に、ハムレットが選ぶのは “To be” でも “not to be” でもない生き方です。作品の終わりになり、命の危険が迫る中、ハムレットは “Let be” (なるようになればいい)と、天に運命を委ね、悟ったかのような心境を表すようになるのです。
“Let be” という境地に至ったハムレットは、“The rest is silence” (あとは沈黙)と言い、息絶えます。冒頭の「誰?」という問いかけに対し、答えないまま作品が終わるところに謎があり、それが本作の魅力ではないか、と馬場﨑先生はフロアに語られました。また、ハムレットの “Let be” という生き様に、神との融合による自由が体現され、キリスト教文化の根強い中世と理性や合理性を重んじる近世の間に挟まれたルネッサンスという時代性が反映されている点に、名作である理由があるのではないかと語られました。
アンケートでは、「概説や考察まで簡潔かつ深く語られていてより原作にも興味が沸きました」「ただ本を読むとかだけではきっとわからなかっただろうところまで教えていただいた」などの声がありました。

LSCドキュメンタリー・アワーは、学習支援センターが企画しており、次回は後期に開催する予定です。皆さんのご参加を、お待ちしています。

問い合せ先

学習支援センター

協創館(8号館)1階
Eメール: skill@js.shudo-u.ac.jp
電話: 082-830-1426