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第74回ドキュメンタリー・アワーを開催しました

学習支援センターでは、「LSCドキュメンタリー・アワー」という、本学の教員が自ら選んだ映像作品を、教員の解説とともに視聴するイベントを行っています。

7月14日(木)に、第74回LSCドキュメンタリー・アワーを実施しました。
今回は「自分の可能性を広げる ─絵本作家 荒井良二の仕事─」をテーマに、人文学部の沼本秀昭先生に解説していただきながら、絵本作家 荒井良二氏から自分の可能性の広げ方を考えていきました。
国際的にも注目を集める荒井氏は、起承転結の枠にはまらないストーリーや、独創的な描写、そして、“知識”や“理屈”で描くのではなく、子どもを惹きつけます。同氏の映像を視聴するにあたり、沼本先生からいただいた観点は3つ、「『おとな』と『こども』」「絵本の意味・役割」「自分の可能性の広げ方」です。

映像は、制作風景を映し出していました。大人の常識に縛られず、子どものように自由に発想し、ひらめきをのせていきます。時には筆ではなく指で絵具を塗り、時には折れた色鉛筆を使って、「描きにくい」という不自由の中で自由に描きます。
自由である一方で、自身の中の「おとな」との葛藤も映し出されていました。「大人なんだよな。子どもじゃない。」という言葉がこぼれ、絵本制作の完成に向けて先のストーリーを考えてしまう、「おとな」の自分との闘いがありました。「今までの俺になってきた」と悔しがる姿からも、氏の根底に「こども」への尊敬、憧憬が見て取れます。
荒井氏の描いた絵は、一見すると「子どもが描いた絵」と評されることもありますが、芸術性の高さがうかがえます。その混色の美しさや色彩のバランス、配置・構図には、芸術家の技能が表れています。伸び伸びとした線描、型にはまらない自由な描画方法から生まれた絵は、子どもたちを身構えさせず、素直に絵本に入りやすくさせ、子どもの想像力を掻き立てているように思われます。それが荒井良二にとっての絵本の意味や役割と考えられます。
洗練された技能に終始せず、苦しみながらまた新しい自分を見つけようとする姿勢に、今回のテーマの鍵があるのではないかと沼本先生は解説されています。自分の感覚に照らし合わせ、自分に呼び掛け信じて応援して、苦しめ、そして新しい自分に出会います。このように「自由になれる」「まだまだやれる」と、自分を肯定し、大切にしていくことで自分の可能性を広げられるかもしれません。

参加者からは、「起承転結に囚われない絵本はすごいと思いました」「子ども心を忘れず、子どもに寄り添うような絵を描くということは、子どもに関わる仕事に就きたいと考えている私にも繋がる話だと感じました」などの声がありました。映像や先生の解説から、それぞれが自分の気づきを持って帰れたようです。

講師を担当された沼本先生、参加された学生・教職員の皆さんに心より感謝申し上げます。
次回のLSCドキュメンタリー・アワーは、後期に開催する予定です。皆さんのご参加を、お待ちしています。

問合せ先

学習支援センター

協創館(8号館)1階
Eメール: skill@js.shudo-u.ac.jp
電話: 082-830-1426