学長告辞
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。また、その成長を支え見守ってこられたご家族や関係の皆様にも、心からお喜びと、お祝いを申し上げます。
広島修道大学を設置する学校法人修道学園は、今年創始300年を迎えます。江戸時代から続く学園の歴史の大きな節目に、たくさんの新入生を迎え、ここでともに祝えることをたいへんうれしく思います。
私たちの大学名である「修道」は、中国の儒教の重要な文献、四書の1つ「中庸」という古典の一節「天の命ずるこれを性といい、性に率うこれを道といい、道を修めるこれを教えという。」というものです。少し難しく聞こえるかもしれませんが、これは「人間にはそれぞれの天性がある。天性を伸ばすのが人間の道である。その道をしっかりとしたものに整えるのが教育である」という、修道学園の教育の本質を示しています。天性とは、一人ひとりが天から授けられた性質です。つまり、「修道」という言葉は、学生の皆さん一人ひとりの個性を見い出し、それをしっかりと伸ばしていく教育ということを意味しています。
一人ひとりの個性を考えるとき、『宇宙兄弟』という漫画のあるエピソードを思い出します。『宇宙兄弟』は、幼いころから宇宙飛行士を夢見てきた主人公の南波六太と弟の日々人が共に夢を叶えるまで、そして夢を叶えてからも続く様々な苦難や喜びを描いた、泣けて笑える長編漫画です。宇宙飛行士になるためいくつかの試験を乗り越えていかなければならないのですが、その中で、次の段階に進むメンバー、進まないメンバーを自分たち自身で選ばなくてはいけないシーンがあります。そのメンバーをどうやって公平に選ぶか、じゃんけんで選んでいいのかどうか、という言い争いになったときに、主人公の六太が語った名言があります。
「グーみたいな奴がいて チョキみたいな奴もいて パーみたいな
奴もいる。誰が一番強いか 答えを知ってる奴はいるか?」
そして彼らは、人生をかけたメンバー選抜をじゃんけんで行います。しかしそれは、運を天にまかせたわけではなく、メンバー全員がそれぞれお互いの能力や努力を認めた上で、誰が選ばれても全員が納得できる方法としてじゃんけんを選んだのです。結果、選ばれなかったメンバーも、悔しさはありましたが悔いは残らず、その後も様々にそれぞれがおかれた場所でお互いを支えながら歩んでいくというエピソードです。
皆さんの中にも、グー、チョキ、パー、いろいろな人がいるでしょう。大学のキャンパスでの出会いは、これまでの皆さんの経験をはるかに超える多様性を持っています。その中で、一人ひとりに違いがあることを知ること、自分のある部分は人より優れ、他の部分では人から学ぶところがあるということに気がつくこと、そうした発見が皆さんの天性をさらに伸ばしていくでしょう。
本学では、アセスメント・テストというものを学生の皆さんが受験できる仕組みがあります。「テスト」となっていますが、このテストのためだけに何か特別な勉強をして、よいスコアをとってもあまり意味がありません。今ある自分の自己分析のためのテストです。このテストは毎年1回受けることができます。去年の自分と今年の自分を比べ、大学での学びや人との交流を通じて、どんな力が伸びたのか、どんなところをもう少し努力するとよいのか等、皆さん自身が自分や自分の成長を知る手助けになるものです。大いに活用してほしいと思います。
「正しい広島修道大学の学生像」という答えが1つではないように、大学での勉強には、答えが一つではない問い、あるいは答えのない問いがたくさんあります。大学での勉強では、安易にそれっぽい答えを出すよりも、答えのない問いに対して考え続ける力をつけることがより大切です。その考え続けることができる力は、皆さんが卒業し、社会に出たときに、どのような場所でも通用する力になるでしょう。これから皆さんは広い教養と各学部の高い専門性をもった知識を学んでいきますが、それに加えて、考え続ける力を、今日ここに集う皆さん全員が広島修道大学での学びの中で身につけてほしいと思っています。そのために、私たちは皆さん一人ひとりを尊重し、卒業までの学びを全力で支えていきます。
皆さんがここでしか出会えない人たちと出会い、自分の進みたい道や自分自身をみつけることを、心から期待しています。
300年の節目を迎える修道学園、広島修道大学へ、ようこそ。
広島修道大学を設置する学校法人修道学園は、今年創始300年を迎えます。江戸時代から続く学園の歴史の大きな節目に、たくさんの新入生を迎え、ここでともに祝えることをたいへんうれしく思います。
私たちの大学名である「修道」は、中国の儒教の重要な文献、四書の1つ「中庸」という古典の一節「天の命ずるこれを性といい、性に率うこれを道といい、道を修めるこれを教えという。」というものです。少し難しく聞こえるかもしれませんが、これは「人間にはそれぞれの天性がある。天性を伸ばすのが人間の道である。その道をしっかりとしたものに整えるのが教育である」という、修道学園の教育の本質を示しています。天性とは、一人ひとりが天から授けられた性質です。つまり、「修道」という言葉は、学生の皆さん一人ひとりの個性を見い出し、それをしっかりと伸ばしていく教育ということを意味しています。
一人ひとりの個性を考えるとき、『宇宙兄弟』という漫画のあるエピソードを思い出します。『宇宙兄弟』は、幼いころから宇宙飛行士を夢見てきた主人公の南波六太と弟の日々人が共に夢を叶えるまで、そして夢を叶えてからも続く様々な苦難や喜びを描いた、泣けて笑える長編漫画です。宇宙飛行士になるためいくつかの試験を乗り越えていかなければならないのですが、その中で、次の段階に進むメンバー、進まないメンバーを自分たち自身で選ばなくてはいけないシーンがあります。そのメンバーをどうやって公平に選ぶか、じゃんけんで選んでいいのかどうか、という言い争いになったときに、主人公の六太が語った名言があります。
「グーみたいな奴がいて チョキみたいな奴もいて パーみたいな
奴もいる。誰が一番強いか 答えを知ってる奴はいるか?」
そして彼らは、人生をかけたメンバー選抜をじゃんけんで行います。しかしそれは、運を天にまかせたわけではなく、メンバー全員がそれぞれお互いの能力や努力を認めた上で、誰が選ばれても全員が納得できる方法としてじゃんけんを選んだのです。結果、選ばれなかったメンバーも、悔しさはありましたが悔いは残らず、その後も様々にそれぞれがおかれた場所でお互いを支えながら歩んでいくというエピソードです。
皆さんの中にも、グー、チョキ、パー、いろいろな人がいるでしょう。大学のキャンパスでの出会いは、これまでの皆さんの経験をはるかに超える多様性を持っています。その中で、一人ひとりに違いがあることを知ること、自分のある部分は人より優れ、他の部分では人から学ぶところがあるということに気がつくこと、そうした発見が皆さんの天性をさらに伸ばしていくでしょう。
本学では、アセスメント・テストというものを学生の皆さんが受験できる仕組みがあります。「テスト」となっていますが、このテストのためだけに何か特別な勉強をして、よいスコアをとってもあまり意味がありません。今ある自分の自己分析のためのテストです。このテストは毎年1回受けることができます。去年の自分と今年の自分を比べ、大学での学びや人との交流を通じて、どんな力が伸びたのか、どんなところをもう少し努力するとよいのか等、皆さん自身が自分や自分の成長を知る手助けになるものです。大いに活用してほしいと思います。
「正しい広島修道大学の学生像」という答えが1つではないように、大学での勉強には、答えが一つではない問い、あるいは答えのない問いがたくさんあります。大学での勉強では、安易にそれっぽい答えを出すよりも、答えのない問いに対して考え続ける力をつけることがより大切です。その考え続けることができる力は、皆さんが卒業し、社会に出たときに、どのような場所でも通用する力になるでしょう。これから皆さんは広い教養と各学部の高い専門性をもった知識を学んでいきますが、それに加えて、考え続ける力を、今日ここに集う皆さん全員が広島修道大学での学びの中で身につけてほしいと思っています。そのために、私たちは皆さん一人ひとりを尊重し、卒業までの学びを全力で支えていきます。
皆さんがここでしか出会えない人たちと出会い、自分の進みたい道や自分自身をみつけることを、心から期待しています。
300年の節目を迎える修道学園、広島修道大学へ、ようこそ。
2025年4月1日
広島修道大学 学長 矢野 泉