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2024年度第1回LSCセミナーを開催しました

9月27日に2024年度第1回LSCセミナーを開催しました。講師には、北陸大学高等教育推進センター長の杉森公一先生をお招きし、「学生の学びあいを促すTA・SA制度と学習支援プログラム—Student Assistantによる学修支援の実際—」というテーマで講演をしていただきました。
北陸大学では、SA制度を学部等の学問分野に応じた授業内外の学修支援に適用しており、杉森先生がセンター長を務められている高等教育推進センターでは、SA学生に対する基本的なファシリテーション研修や活動報告会をサポートしています。学修支援プログラムの充実と成功を支えるためのSA・教員の協働体制やSA学生の成長に関してのこれまでの成果と課題について情報提供していただきました。
セミナーではまず、政策による学修ピアチューター制度の推進状況や日本における制度の実践状況を概観しました。日本では2000年に「廣中レポート」を契機として学生による教育・学修支援が拡がり、2008年の中央教育審議会で双方型の学習や少人数指導推進の方策としてTA・SAの活用が推奨されました。そして2022年大学設置基準においてTA等は「指導補助者」として位置づけられ、研修が義務化されました。そのような状況の中、TA・SA等を含むピアサポート制度の実施大学の割合は増加傾向にあり、学生同士が行う支援の具体的領域は「学習サポート」が最も多いとのことでした。杉森先生はこれまでに行われた米国のラーニング・アシスタント制度、学生アドバイザー制度の調査・研究から、コロラド大学ボールダー校やシモンズ大学での事例、そして、コロラド大学でのLA(Learning Assistant)モデルを紹介され、TA・SA制度を成功させるためには組織的な制度設計や研修が重要であることを強調されました。
それから、北陸大学でのSAの活用事例やSAによる学修支援の様子、SA研修の内容を、具体的に写真を交えながら紹介していただきました。SAによる学修支援の効果として、学習者の内容の理解が深まったというだけではなく、SAとの関係によって学習意欲や自律性、学習者の安心感が向上したこと、また、SAのコミュニケーション能力や達成感、所属感も高まったことが示されたということでした。 
セミナーの最後に、これまで多くのSAの育成に関わってこられた経験から、杉森先生は、教員にとっての「教えたつもり」、学生にとっての「分かったつもり」という思い込みを破るためにもSAの存在は重要であることを述べられました。教職員のパートナーであり、同時に学習者でもあるSAから学ぶことは多いとのことです。また、学び続けるSAの姿を見た他の学生が、SAをロールモデルとして能動的に学習し、いつか自分もSAとして活躍したいと思わせることで学生の所属感が高まるのだとTA・SAの効果をご説明されました。
本学は、2024年度後期から全学的にTA・SA制度を導入しました。今回の第1回LSCセミナーでは、TA・SA、学生、教職員の三者が互いにサポートし合い、互いに成長できる制度づくりを具体的に学ぶことができました。TA・SAは、私たちがこれまで気づかなかったことに気づかせてくれたり、私たちができなかった役割を果たしてくれたりする存在です。学生中心・学修者本位の教育の実現のため、今回学んだ内容はこれからの本学の教育実践の中で有意義に生かされていくでしょう。(参加者教員8名 職員13名)