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第37回初年次教育セミナーを開催しました

12月12日(月)に、立命館大学のヒューバート眞由美先生を講師にお招きして、第37回初年次教育セミナーを開催しました。
今回は、「学修支援と学生支援が有機的に連動する包括的学習者支援と合理的配慮」をテーマに、障害(発達障害を含む)に関する法律や、立命館大学における各部署が連携した学習者支援のための組織体制などについてご講演いただきました。ヒューバート先生は専門職の学生支援コーディネーターとして勤務されており、具体的な事例や面談の手法などについても詳しくご説明いただきました。以下、主な内容をご紹介します。

【開催概要】
日時:2022年12月12日(月)14:50-16:20
講師:ヒューバート 眞由美 氏 (立命館大学 OIC学生オフィス 障害学生支援室 学生支援コーディネーター
)
まずは障害者基本法などの関連法律についてお話いただきました。
2021年に改正された「障害者差別解消法」は、障害者基本法の理念に則り、障害者基本法第4条「差別の禁止」規定を具体化した法律で、「不当な差別的取扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めています。つまり、障害者(学生)自身からの支援要請が必要であり、組織(大学)は本質的な方針や特性を損なわない範囲で、個々の障害による社会的障壁を取り除くための合理的な配慮を提供することが義務化されました。合理的配慮の具体例としては、施設のバリアフリー化、Webアクセシビリティーやアクセシビリティー機能搭載のアプリケーションの導入、多様性に関するFD・SD研修、ピアサポート研修、教育、学生支援のユニバーサルデザインなどがあります。

つぎに立命館大学の包括的学習者支援についてお話いただきました。学生部に障害学生支援室(障害学生支援コーディネーター)、学生サポートルーム(カウンセラー)、Student Success Program(SSPコーディネーター、SSPピア・サポーター)、保健センター(医師、看護師・保健師)があり、障害学生支援室は、障害学生はもちろん、障害学生へサポートを行う学生サポートスタッフ、教職員の三者を支援し、障害のある学生への修学支援に関わる総合窓口として、多様な学生の支援ニーズを聞き取っています。また、教職員や学内支援関係者に対し、支援技術や関連情報の提供などの相談に対応し、学部執行部、学部事務室、各機関の援助担当者(キャリアセンター、国際教育センターなど)、授業担当教員と連携して、学生のサポートにあたっています。場合によっては学外の専門家へ繋ぐ努力もされています。

最後に包括的学生支援コーディネーターの面談手法についてお話いただきました。
1.(事前)情報収集。学籍情報、支援履歴、教員情報等を事前に情報収集し、臨床的な仮説を立てる。
2.対応(単位僅少や引きこもりを想定)①面談の目的を伝える。②現状と全体像を客観的に伝える。③本人の希望、意思、目標を聴く。④解決方法を話し合う。「まずは、何に困っているか、発見しよう。」、「そのために、持っている力 = 資源を確認しよう。」
3.リファー(紹介)1回目だけ同伴することも効果を挙げる。
4.フォロー ①次に会って効果評価をするタイミングを話し合う。②もし、改善しない、状況が悪化した場合についても話し合う。「一人では解決困難な場合もあるので、その際は、保証人にも協力してもらいましょう。」(保証人に連絡する同意を取る。)、「専門家の協力を得ることが賢明な場合もあります」(次回に専門家に紹介しやすくしておく。)、フォロー計画を記録する。
5.系統的記録。個々の情報蓄積から教学的課題定義へ、学生支援実態のエビデンスから執行部に情報提供する。このようにして、面談を1回で終わらせず、次の支援に繋げる手法を教えていただきました。
参加者からは、参考にしてみたい点として「専門職の必要性がわかった」「支援を欲していない場合でも、期間をおいてどうだったか話し合う機会を設けること」「面談手法」「先送り克服講座」「各所が連携することの重要性について理解できた」という声が寄せられ、質疑応答も含め大変有益なセミナーとなりました。
(参加教員6名、職員14名)
※障害学生支援室、SSPについては立命館大学ホームページを参照してください。