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2021年度入学式 学長告辞

学長告辞

2021年度、新入生のみなさん、入学おめでとうございます。ご臨席の保証人の皆様、大学入学式に至るまで、立派に子供さんたちを育て上げたことに心より敬意を表します。

さあ、今日から新たなスタートです。大学は、高校と似ているところもありますが、違うところも多くあります。教室は、40人程度が標準とはなりません。教員が遠くに見える300人規模の大教室もあります。10人も入ればいっぱいになるゼミのための小さな教室もあります。何を学ぶのか、自分で時間割を作ります。選択の幅は格段に広がります。

大学には図書館があります。大学の知を支える重要な場所です。本学は充実した図書館を誇っています。多くの蔵書をはじめ、整備された学習環境、映画を鑑賞することもできます。私自身は過去の留学経験などから、カナダの首都オタワにあるカールトン大学、アメリカのアイビーリーグの一つコーネル大学、西部のアリゾナ州立大学、イギリス・ロンドンのLSEの図書館を利用してきました。これらの中には24時間オープンしているところもあって、その点はさすがだなあ、と感心しました。しかし施設面では、本学は決して負けていません。日本で、いや世界に誇れる本学の図書館を在学中に存分に活用してください。

実は昨日、2020年度生を対象とした、入学セレモニーを開きました。1年遅れのおめでとうになりました。結論では、粘り強く努力し、綿密に学ぶこと、それが立派に人を成長させる、と強調しました。また大学での学びをTの字で表しました。Tの字を大きくすること、それが肝要です。

Tの字を思い浮かべてください。教養は横のバーです。専門は縦の棒です。バランスよくTの字を書けるようにすることが大事です。横が短く、縦だけ長いと、それはいびつなTです。横だけ長くて、縦が短いのも同じです。逆に言うと、横を広げないと、縦も深まりません。大学の学びではできるだけ長い横のバーを描き出してください。そうして初めて下の棒も伸びます。

本学は「世界を学び、地域で生きる」を掲げている大学です。なぜ世界を学ぶ必要があるのでしょうか。日本も世界の一部です。当然学びの対象です。最近、10年前にリリースされた「千本桜」の楽譜を見る機会がありました。世界観を知るために動画も見てみました。ユーチューブで和楽器バンドによる演奏にも触れました。アップテンポの曲に、難解な歌詞が並びます。「磊々落々(らいらいらくらく)反戦国家」「浮世の随(まにま)に」「きっと終幕(さいご)は大団円(だいだんえん)」など、なじみのない表現が続きます。舞台設定は大正100年との解釈もありました。昨年ヒットした「鬼滅の刃」の時代設定も大正時代です。歴史を逍遥し、「和」に新しさを見出す感性に驚き、その豊かさ、また危うさに複雑な感情を抱きました。同時に、世界の中の「和」であることに可能性と陶冶性も痛感しました。皆さんは世界の中の日本、世界の中の広島で大学生活を送ります。いつも世界がそこにあるからこそ、広島で学ぶ意義が増します。

本学での学びを通して、広い視野を身につけましょう。コロナが一段落すれば、現在はストップしている様々な国際交流プログラムにチャレンジしてみてください。そのための奨学金も用意しています。コロナのリスクがある間は、オンラインなどのプログラムになります。でも海外の空気を吸う、空間をシェアする。そのことの意味を忘れずにいましょう。

大学では、サークル活動にも挑戦してみてはどうでしょうか。2020年は本学が4年制の大学となって60年の節目の年でした。コロナの影響で、大々的なイベントは開催できませんでした。しかし、体育会系サークルには大学のカラーを用いた統一ユニフォームを作成しました。修大のイニシャル、SDマークのロゴも作りました。修大ブルーのマスクもあります。一緒に、一丸となってサークル活動に参加、あるいは本学のチームを応援しましょう。大学におけるスポーツも文化活動の一環として捉えています。全国を制覇するくらいの強い団体が出てほしいという願いもあります。しかしそれだけでなく、全力を尽くすその姿は美しく、感動を呼びます。プレーを通して、学生個々も大きく成長します。

体育会系、文科系問わず、本学の充実したサークル活動をのぞいてみてください。私事で恐縮ですが、学生時代、月水土の音楽系サークルの練習に真剣に取り組み、火金は少林寺拳法の道場に通いました。大学に近い道場でしたので、同じ大学の仲間もたくさんいました。二段をとるまで続けました。指どり連行の技で親指を痛め、包帯をしながら担当のフルートを吹きました。学生時代の今も記憶に残る思い出です。

さて、話を勉強に戻しましょう。皆さん、数学は得意ですか。苦手な人が多いのではないでしょうか。たまたまですが、NHK高校講座の数学Ⅰを見る機会がありました。教えている講師が素晴らしく、とても分かり易い授業をしています。「数学はやればできます。」の決め台詞も説得的です。大学での学び、研究の入り口という意味では、これまでにない見方、アプローチ、学問的進歩に貢献するような創造性が求められます。地道な努力に加えての閃きが欠かせません。他方、どの学問も、必ず基礎があって、それを習得してはじめて次の創造性へと進みます。その意味で、この基礎の部分は、確かに「やればできる」、逆に言うと、やらなければできない領域です。大学の学びも、まずは基礎をしっかりと、予習、復習を怠りなく繰り返すことで自分のものにすることが求められます。自らの選択により、主体的に学びを作ってゆく責務が学生にはあります。コツコツ努力することはやはり大切です。多くの公務員合格者を出している大学です。学びについていえば、やればやるだけ知識は増え、成績は上がります。

大学の授業、知の拠点図書館、刺激的なサークル活動、自ら主体的に取り組めば取り組むだけ、得るものが大きいのが大学です。これから4年間、本学で充実した大学生活を送ってください。Constant dropping wears away the stone. 点滴石をも穿つ。入学おめでとうございます。
2021年4月1日
広島修道大学・広島修道大学大学院
学長 三上 貴教