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雑誌『現代思想』に人文学部山尾涼教授の論考が掲載されました

12月11日 に発売されました『現代思想』1月臨時創刊号、第51巻第17号に、本学人文学部山尾涼教授の論考「沈潜していく神性とカフカのノン・ヒューマン ——「新しい弁護士」、「ポセイドン」が掲載されました。

人文学部山尾涼教授のコメント

 19世紀にニーチェは、人類と<神的なもの>との断絶について「神は死んだ」という言葉で表現しました。この表象は20世紀においては、アドルノ/ホルクハイマーにより、過剰な資本主義社会の中で消尽されていく神話性の問題へと敷衍(ふえん) されていきます。そのような時代の狭間に、フランツ・カフカは神話や伝説をモティーフとした短編小説を執筆しました。
 それらの作品の中にカフカは、本来のアイデンティティである神性から断絶されて、自身のアトリビュートを喪失し、ヒトでも神でもない、いわばノン・ヒューマンへと沈潜(ちんせん) していく<神的なもの>を描き出します。それらの姿から浮かび上がるのは、カフカが洞察した20世紀における神性の問題ではないでしょうか。拙論では、上述した思想家たちのディスクールを踏まえて、時代と神性とにまつわる作家自身の洞察を明らかにする試みを行いました。