
本学学術ホールで6月19日、西田恒夫・元国連大使(国際連合日本政府代表部特命全権大使)をお招きし、国際コミュニティ学部国際政治学科の学術講演会を開催しました。「大国の無責任エゴと国連そして日本」と題した講演会場は、本学学生・教職員のほか高校生も参加し、多くの来場者で埋まりました。
佐渡紀子学部長の開会あいさつ、船津靖教授による講師紹介に続き、西田先生が約40分講演され、質疑応答も約40分続きました。
「大学のキャンパスには、さわやかな自由の風が吹いている」と話し始めた西田先生は、そうした自由や知性に反対する勢力が、トランプ米大統領を筆頭に司法の独立や三権分立、民主主義を脅かしているアメリカの内政を説明されました。
外交でも、米大統領が侵略者のロシアではなく攻撃されているウクライナを脅す「とんでもないこと」が起きている、と指摘されました。西田先生は背景として、オバマ元大統領が、親ロシア政権の弾圧で多数の犠牲者が出たシリア内戦の際に「何もしなかった」ため、プーチン露大統領は「米軍は動かない」と判断し、電光石火のクリミア併合やウクライナ侵略の野望を抱いた、と解説されました。学生達は国際政治の実情をリアルに感じたようでした。
西田先生は外交の重要性も強調されました。日米首脳会談などを成功させるには、外交官が人々の目に触れない所で事前に営々と努力を重ねることが不可欠で、首脳が発表する共同声明は、会談前に「一字一句」できあがっている、と日本外交の舞台裏を披露されました。
質疑応答では一つひとつ丁寧にお答えをいただきました。「なぜ外交官に?」との質問には「医師も考えたけれど、外交官は弱い人たちをたくさん助けられるのではと考えた」と人助けが志望の動機の1つだったことを明かされました。留学生が「ブカレスト覚書」(ウクライナに核兵器を廃絶させる代償にロシアなどがウクライナの安全を保障)」について「国際合意は無力では?」と尋ねると、大国の「悪意」の前にはそうなることがあると率直に認められ、日本の防衛力を高める必要性に言及されました。
最後の「若者ができる国際貢献は?」との質問には「選挙で投票すること。国際ニュースを勉強すること」とお答えになり、有権者として外交を担う政治の選択に参加する責任を果たし、学生として地道な勉強に励むことの大切さを強調されました。
「世界の問題を『自分の問題』として受け止めてください」とのお言葉をいただき、盛会のうちに幕を閉じました。
佐渡紀子学部長の開会あいさつ、船津靖教授による講師紹介に続き、西田先生が約40分講演され、質疑応答も約40分続きました。
「大学のキャンパスには、さわやかな自由の風が吹いている」と話し始めた西田先生は、そうした自由や知性に反対する勢力が、トランプ米大統領を筆頭に司法の独立や三権分立、民主主義を脅かしているアメリカの内政を説明されました。
外交でも、米大統領が侵略者のロシアではなく攻撃されているウクライナを脅す「とんでもないこと」が起きている、と指摘されました。西田先生は背景として、オバマ元大統領が、親ロシア政権の弾圧で多数の犠牲者が出たシリア内戦の際に「何もしなかった」ため、プーチン露大統領は「米軍は動かない」と判断し、電光石火のクリミア併合やウクライナ侵略の野望を抱いた、と解説されました。学生達は国際政治の実情をリアルに感じたようでした。
西田先生は外交の重要性も強調されました。日米首脳会談などを成功させるには、外交官が人々の目に触れない所で事前に営々と努力を重ねることが不可欠で、首脳が発表する共同声明は、会談前に「一字一句」できあがっている、と日本外交の舞台裏を披露されました。
質疑応答では一つひとつ丁寧にお答えをいただきました。「なぜ外交官に?」との質問には「医師も考えたけれど、外交官は弱い人たちをたくさん助けられるのではと考えた」と人助けが志望の動機の1つだったことを明かされました。留学生が「ブカレスト覚書」(ウクライナに核兵器を廃絶させる代償にロシアなどがウクライナの安全を保障)」について「国際合意は無力では?」と尋ねると、大国の「悪意」の前にはそうなることがあると率直に認められ、日本の防衛力を高める必要性に言及されました。
最後の「若者ができる国際貢献は?」との質問には「選挙で投票すること。国際ニュースを勉強すること」とお答えになり、有権者として外交を担う政治の選択に参加する責任を果たし、学生として地道な勉強に励むことの大切さを強調されました。
「世界の問題を『自分の問題』として受け止めてください」とのお言葉をいただき、盛会のうちに幕を閉じました。
講師略歴
西田 恒夫(にしだ つねお)
1970年東京大法学部卒、外務省入省。東欧課長、報道課長、ロシア課長、ロサンゼルス総領事などを経て経済協力局長、総合外交政策局長、外務審議官(政務担当)。カナダ大使を経て2010-13年国連大使。2014-17年広島大学平和科学研究センター長、2016-22年国連大学理事。
1970年東京大法学部卒、外務省入省。東欧課長、報道課長、ロシア課長、ロサンゼルス総領事などを経て経済協力局長、総合外交政策局長、外務審議官(政務担当)。カナダ大使を経て2010-13年国連大使。2014-17年広島大学平和科学研究センター長、2016-22年国連大学理事。


