
学習支援センターでは、「LSCドキュメンタリー・アワー」という、本学の教員が自ら選んだ映像資料を、教員の解説とともに視聴し、楽しみながら見識を深めるイベントを行っています。
7月3日(水)に第78回ドキュメンタリー・アワーを実施しました。
今回は人文学部の西光希翔先生に「フィクションとしての写真 ドキュメントとしての物語」と題して、文学作品が伝えるドキュメント性について解説していただきました。当日は実際の書籍の写真を見ながら、文学作品がもつドキュメント性やフィクション性の機能などについて解説していただき、広島の原爆継承についても参加者と意見交換しながら問題意識を共有しました。
まず、西光先生は「抑圧された人々はどう苦しみを表現してきたのか」という自身の研究の根底にある問題意識を確認しました。その中で、研究しているアメリカ黒人文学で描かれている内容の性質が変化していることを説明されていました。具体的には、アメリカの奴隷貿易に関する作品について、19世紀では奴隷体験記の性質があり、ドキュメント性とフィクション性が両立しながら、むしろ奴隷の実態を伝えるというドキュメント性が保持されていることが大切であるとされていました。しかし、20世紀になると、幽霊譚やSF的な要素が活用され、フィクション性が強調された文学作品が登場していると指摘し、奴隷制に現代的な事象を織り交ぜながら物語を作ることで、奴隷制という歴史の事実と現代の人々が繋がることができると述べていました。つまり、物語はフィクションではあるが、歴史を語るドキュメントとして機能し得ると西光先生は指摘しました。
これを写真記録で捉えてみたとき、写真というドキュメントから読み手である我々が物語を想起してフィクションを作り出していると説明し、写真はフィクション的側面を持っていると言及していました。この考え方は歴史を見ることにもつながっており、歴史はフィクションの媒介を使って過去と対話していると指摘しました。
最後に現代の広島が抱える原爆の継承問題について、アメリカの奴隷制と同様に今後実体験者不在になるであろう原爆の歴史や知見をどう語り継げばよいのかを、広島でも行われているフィクションを用いた歴史を知る取り組みを紹介しながら、参加者と意見交換を行いました。
7月3日(水)に第78回ドキュメンタリー・アワーを実施しました。
今回は人文学部の西光希翔先生に「フィクションとしての写真 ドキュメントとしての物語」と題して、文学作品が伝えるドキュメント性について解説していただきました。当日は実際の書籍の写真を見ながら、文学作品がもつドキュメント性やフィクション性の機能などについて解説していただき、広島の原爆継承についても参加者と意見交換しながら問題意識を共有しました。
まず、西光先生は「抑圧された人々はどう苦しみを表現してきたのか」という自身の研究の根底にある問題意識を確認しました。その中で、研究しているアメリカ黒人文学で描かれている内容の性質が変化していることを説明されていました。具体的には、アメリカの奴隷貿易に関する作品について、19世紀では奴隷体験記の性質があり、ドキュメント性とフィクション性が両立しながら、むしろ奴隷の実態を伝えるというドキュメント性が保持されていることが大切であるとされていました。しかし、20世紀になると、幽霊譚やSF的な要素が活用され、フィクション性が強調された文学作品が登場していると指摘し、奴隷制に現代的な事象を織り交ぜながら物語を作ることで、奴隷制という歴史の事実と現代の人々が繋がることができると述べていました。つまり、物語はフィクションではあるが、歴史を語るドキュメントとして機能し得ると西光先生は指摘しました。
これを写真記録で捉えてみたとき、写真というドキュメントから読み手である我々が物語を想起してフィクションを作り出していると説明し、写真はフィクション的側面を持っていると言及していました。この考え方は歴史を見ることにもつながっており、歴史はフィクションの媒介を使って過去と対話していると指摘しました。
最後に現代の広島が抱える原爆の継承問題について、アメリカの奴隷制と同様に今後実体験者不在になるであろう原爆の歴史や知見をどう語り継げばよいのかを、広島でも行われているフィクションを用いた歴史を知る取り組みを紹介しながら、参加者と意見交換を行いました。

アンケートでは、「フィクションについて深く考えることができたり、黒人文学を色んな視点から見ることができた。」「アメリカ黒人文学のフィクションとドキュメンタリー性の話から歴史における過去と現在の対話、そして現在の広島での原爆の歴史継承問題と話が広がり興味深かったし、これらの問題について考えるきっかけになった。」などの声がありました。
LSCドキュメンタリー・アワーは学習支援センターが年に2回実施しており、次回は2024年度後期に開催する予定です。皆さんのご参加をお待ちしています。
LSCドキュメンタリー・アワーは学習支援センターが年に2回実施しており、次回は2024年度後期に開催する予定です。皆さんのご参加をお待ちしています。
問い合わせ先
学習支援センター
協創館(8号館)1階
Eメール: skill@js.shudo-u.ac.jp
電話: 082-830-1426
Eメール: skill@js.shudo-u.ac.jp
電話: 082-830-1426