本学人間環境学部の卒業生2名と、同学部の奥田圭教授が取り組んだ卒業研究の成果が 国際学術誌に掲載されました
ポイント
- 広島県内で採集した在来魚メダカ(ミナミメダカ)と外来魚カダヤシ*1を対象に、オス・メスの組合せを変えた27条件で計274回の水槽実験を行い、「追尾行動」*2と、その直後に生じる「ひれ突き行動」*3を記録しました。
- カダヤシのオスは、メダカだけでなく同種の魚に対しても高い頻度で追尾行動を行いました。また、追尾した後に相手のひれを突く割合は、追尾する側の魚種と性別の組み合わせによって異なりましたが、追尾される側の魚種と性別の組み合わせによる統計的に有意な違いは認められませんでした。
- これらの結果は、カダヤシの追尾行動がメダカだけを対象とするものではないことを示しています。また、カダヤシとメダカの行動上の関係を理解するには、追尾される側以上に、追尾する側の特徴、特にカダヤシのオスの行動に注目することが重要であると考えられました。
論文タイトル:Species–sex-specific behavioral interaction profiles between invasive mosquitofish and native medaka
著者名:Tadashi Sata, Namie Ueoka, Kei Okuda
URL:https://doi.org/10.1016/j.beproc.2026.105458
概要
メダカは日本の身近な淡水魚ですが、全国各地で個体数の減少が懸念されています。その要因の一つとして、外来魚カダヤシとの関係が注目されています。カダヤシは、メダカを追いかけたり、ひれを突いたりすることが知られており、大きな影響が生じている可能性が指摘されています。しかし、カダヤシがどのような相手を追いかけ、ひれ突きを行うのかは十分にわかっていませんでした。
本研究では、メダカとカダヤシのオス・メスをさまざまな組み合わせで同じ水槽に入れ、27条件で計274回の実験を行いました。各実験では4時間にわたって行動を記録し、計11,847件の追尾行動を確認しました。そのうち2,057件では、追尾した魚が直後に相手のひれを突く行動もみられました。
その結果、カダヤシのオスはメダカだけでなく、同じカダヤシのオス・メスに対しても高い頻度で追尾行動を行っていることがわかりました。また、追いかけた後に相手のひれを突く割合は、追尾する側の魚種と性別の組み合わせによって異なりましたが、追尾される側の魚種と性別の組み合わせによる統計的に有意な違いは認められませんでした。さらに、カダヤシ、とりわけオスが追尾する側となる場合には、ひれ突きを伴う追尾行動が早く起こる傾向も確認されました。
これらの結果は、カダヤシの追尾行動がメダカだけを対象とするものではないことを示しています。カダヤシとメダカの行動上の関係を理解するには、追いかけられる側だけでなく、追いかける側の特徴、とりわけカダヤシのオスの行動に注目することが重要であると考えられます。
では、こうした行動は自然の川や池でも同じようにみられるのでしょうか。また、カダヤシによる追尾やひれ突きは、メダカの生活や繁殖にどのような影響を及ぼすのでしょうか。これらを明らかにすることが、今後の研究課題です。
本研究では、メダカとカダヤシのオス・メスをさまざまな組み合わせで同じ水槽に入れ、27条件で計274回の実験を行いました。各実験では4時間にわたって行動を記録し、計11,847件の追尾行動を確認しました。そのうち2,057件では、追尾した魚が直後に相手のひれを突く行動もみられました。
その結果、カダヤシのオスはメダカだけでなく、同じカダヤシのオス・メスに対しても高い頻度で追尾行動を行っていることがわかりました。また、追いかけた後に相手のひれを突く割合は、追尾する側の魚種と性別の組み合わせによって異なりましたが、追尾される側の魚種と性別の組み合わせによる統計的に有意な違いは認められませんでした。さらに、カダヤシ、とりわけオスが追尾する側となる場合には、ひれ突きを伴う追尾行動が早く起こる傾向も確認されました。
これらの結果は、カダヤシの追尾行動がメダカだけを対象とするものではないことを示しています。カダヤシとメダカの行動上の関係を理解するには、追いかけられる側だけでなく、追いかける側の特徴、とりわけカダヤシのオスの行動に注目することが重要であると考えられます。
では、こうした行動は自然の川や池でも同じようにみられるのでしょうか。また、カダヤシによる追尾やひれ突きは、メダカの生活や繁殖にどのような影響を及ぼすのでしょうか。これらを明らかにすることが、今後の研究課題です。
図.実験水槽と対象魚類の模式図。魚の大きさや位置は模式的に示しています。
研究体制
本研究は、広島修道大学人間環境学部を2022年に卒業した佐多忠さんと上岡南美絵さん、同学部の奥田圭教授による共同研究です。佐多さんと上岡さんは、在学中に卒業研究としてカダヤシとメダカの行動実験に取り組みました。佐多さんは本学を卒業後、広島大学大学院統合生命科学研究科に進学されました。
著者のコメント
- 小さいころからメダカが好きで、ずっと飼育をしてきました。大学ではメダカをテーマに卒業研究をしたいと思っていたので、その願いがかなったことはとても嬉しかったです。しかし、実際の研究は想像以上に大変で、毎日朝から晩まで水槽実験の動画を見続ける日々でした。苦労も多かったですが、長年親しんできたメダカの研究が、このような形で成果となったことを本当に嬉しく思います。(佐多 忠)
- 身近な魚であるメダカとカダヤシですが、その行動や両種の関係については、まだわかっていないことが多くあります。今回の研究では、魚の種類や性別によって行動に違いがあることが明らかになりました。この研究が、身近な水辺に暮らす魚たちへの関心を高め、外来魚と在来魚の関係について理解を深めるきっかけになれば嬉しく思います。(上岡 南美絵)
- かつて身近な存在だったメダカが各地で減少してきている一方、外来魚のカダヤシは、メダカが生息していた水辺にも分布を広げています。皆さんが「メダカを見つけた」と思っている魚も、実はカダヤシかもしれません。メダカを保全していくためには、カダヤシがメダカにどのような影響を及ぼしているのかを理解することが重要です。今回の研究で明らかになった行動の特徴を出発点として、両種の関係についてさらに研究が進み、将来的にメダカの保全につながることを期待しています。(奥田 圭)
用語解説
*1カダヤシ:北米原産の小型淡水魚で、蚊の幼虫を食べる魚として世界各地に導入されました。日本では特定外来生物に指定されています。本研究では Gambusia affinis を対象としました。
*2追尾行動(tracking):魚がほかの魚の後について泳いだり、追いかけたりする行動です。繁殖に関連する行動や探索的な接近も含まれる可能性があり、必ずしも攻撃的な行動とは限りません。
*3ひれ突き(fin-nipping):魚がほかの魚のひれを口で突く行動です。一般に攻撃的な行動の一つと考えられており、相手のひれを傷つけることもあります。
*2追尾行動(tracking):魚がほかの魚の後について泳いだり、追いかけたりする行動です。繁殖に関連する行動や探索的な接近も含まれる可能性があり、必ずしも攻撃的な行動とは限りません。
*3ひれ突き(fin-nipping):魚がほかの魚のひれを口で突く行動です。一般に攻撃的な行動の一つと考えられており、相手のひれを傷つけることもあります。
論文情報
| タイトル | Species–sex-specific behavioral interaction profiles between invasive mosquitofish and native medaka |
|---|---|
| 著者 | Tadashi Sata, Namie Ueoka, Kei Okuda |
| 掲載誌 | Behavioural Processes, 243 (2026), 105458(2026年10月26日オンライン公開) |
| DOI | https://doi.org/10.1016/j.beproc.2026.105458 |