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動物の「分け方」と進化を最新研究で読み解く『動物系統分類学』 刊行

広島修道大学 岡西 政典教授がウニ・クモヒトデなどの章を執筆

本研究のポイント

  • 約四半世紀ぶりに内容を刷新:旧シリーズ完結後の研究成果を取り入れ、全34の動物門*1を一冊にまとめた『動物系統分類学』が2026年9月8日に刊行予定。
  • DNA研究で変わった「動物の分け方」を紹介:体の形やつくりだけでなく、DNAや化石から分かった進化のつながりを反映し、現在の分類の考え方を分かりやすく整理。
  • 広島修道大学 岡西 政典教授が分担執筆:ウニやヒトデの仲間である棘皮動物*2について、門全体の解説と「クモヒトデ綱」を単独執筆し、「ウニ綱」を共同執筆。
  • 幅広い読者が使える基礎資料:大学生の教科書・参考書としてだけでなく、研究者や博物館関係者が動物の多様性と進化を学ぶ資料としての活用も期待。

概要

2026年9月8日、中山書店から『動物系統分類学』が刊行される予定です。本書は、「この動物は何の仲間か」「異なる動物は進化の中でどのようにつながっているか」を、現在の研究成果に基づいて整理した、系統分類学*3の専門書です。旧『動物系統分類学』の完結から約四半世紀の間に、DNAを用いた研究が大きく進み、動物同士の関係についての理解も変化してきました。本書では、全34の動物門を扱い、従来の体の形やつくりの研究に、DNAや化石の研究成果を加えて解説しています。
広島修道大学人間環境学部の岡西 政典教授は、ウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリが属する棘皮動物門の5つの仲間の関係と進化を紹介する冒頭部の「棘皮動物門」と、「クモヒトデ綱」を単独で執筆し、「ウニ綱」を東京大学の幸塚久典氏と共同で執筆しました。クモヒトデ*4は世界で2,200種以上が知られ、日本近海だけでも少なくとも360種が記録されています。本書では、その分類だけでなく、体のつくり、成長や繁殖、腕の再生、暮らし方、世界と日本での分布、化石記録*5まで幅広く紹介しています。

論文情報

表はスクロールすることができます。

書名 動物系統分類学
編集主幹 柁原 宏(北海道大学大学院理学研究院)/島野 智之(法政大学自然科学センター・国際文化学部)
刊行予定日 2026年9月8日
ISBN 978-4-521-75157-3
判型・頁数 B5判/並製/4色刷/1、504頁
出版社 株式会社中山書店
棘皮動物門 執筆陣 岡西 政典/大路 樹生/木暮 陽一/若林 香織/幸塚 久典/小川 晟人
出版社特設サイト:https://www.nakayamashoten.jp/zaidan/zoology/2026/

研究の背景

動物の分類は、一度決まったら変わらないものではありません。以前は主に体の形やつくりを比べて仲間分けしていましたが、21世紀に入ってDNAを比べる分子系統解析*6が広く使われるようになり、動物同士の進化上の関係がより詳しく分かるようになりました。棘皮動物についても、ウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリが互いにどのような関係にあるのか、またそれぞれの仲間の中をどう分類するのかについて理解が大きく進みました。本書は、こうした約四半世紀の変化を、これまで積み重ねられてきた形態や化石の研究とあわせて整理したものです。

岡西教授が担当した主な内容

棘皮動物門の系統・分類と進化:ウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリの5つの仲間を見渡し、約5億年前までさかのぼる化石とDNA研究の成果から、棘皮動物がどのように現れ、多様になったのかを解説。
クモヒトデ綱:世界で2,200種以上が知られるクモヒトデについて、種類の分け方、体のつくり、成長や繁殖、腕を切り離して再生する仕組み、暮らし方、分布、化石などを総合的に解説。日本近海から少なくとも360種が記録されていることなど、最新の情報も盛り込んでいる。
ウニ綱:幸塚 久典氏との共同執筆により、約1,000種が知られるウニについて、種類の分け方、体のつくり、暮らし方や分布などを、近年のDNA研究の成果も含めて紹介。

今後の展開

本書は、大学で動物学や生物多様性を学ぶ学生の教科書・参考書としてだけでなく、研究者や博物館・自然史教育に携わる人々が、現在の「動物の分け方」を確認するための資料としての利用が期待されます。広島修道大学では、クモヒトデを中心とした研究を引き続き進め、その成果を大学教育や、一般の方に向けた科学の発信にも生かしていきます。

用語解説

*1 動物門:動物を大きく分ける分類の単位。例えば、棘皮動物門のほか、昆虫やエビ・カニを含む節足動物門などがある。
*2 棘皮動物:ウニ、ナマコ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリを含む、海に暮らす動物の仲間。
*3 系統分類学:生物を、見た目の共通点だけでなく、どの祖先から分かれてきたかという進化上のつながりも考えて整理・分類する学問。
*4 クモヒトデ:ヒトデに近い仲間。中央の丸い部分と細長い腕がはっきり分かれ、腕をくねらせて移動する。ヒトデは腕の口側に歩帯溝という溝を持つが、クモヒトデは持たないことでも区別される。
*5 化石記録:過去の生物が化石として残った証拠。生物がいつ現れ、どのように変化してきたかを考える手がかりになる。
*6 分子系統解析:DNAの並び方を生物どうしで比べ、進化の上でどのくらい近い関係にあるかを調べる方法。