人文学部 石田崇准教授 研究成果発表
本研究のポイント
- 英語における名詞化や動詞化の研究に比べて研究蓄積の少ない形容詞化(Adjectivalisation)に関する最新の研究である。
- 従来の英語の形容詞化に関する研究がラテン語由来の派生接辞(注1)を扱うものが多い中、ゲルマン語由来の派生接辞を分析対象にしている。
- 英語の-ed接辞によって派生される形容詞のタイプを明らかにした上で、それとは異なるふるまいを示す場合の理由について理論的説明を与えている。
研究内容
広島修道大学の石田崇准教授が、名詞にゲルマン語由来接辞の1つである、-ed接辞を付加して派生した(新たにつくられた)形容詞(例:bearded, long-tailed, shirt-sleeved)について、-ed接辞の特性に注目しながら、当該形容詞の英語形態論上の位置づけを行いました。
今回の研究では、英語の形容詞派生研究において、多くの先行研究が扱っているラテン語由来の形容詞化接尾辞(注2) (例:-al, -ary, -ic/-ical) でつくられる形容詞ではなく、ゲルマン語由来の形容詞化接尾辞 (例:-en, -ern, -y, -ed) の1つである、-ed接辞によって派生される形容詞(以下、-ed形容詞)を分析対象としました。
具体的には、まず、英語における2種類の名詞由来形容詞 (Denominal Adjective)、関係形容詞 (Relational Adjective) と性質形容詞 (Qualitative Adjective) のうち、-ed形容詞は前者のタイプに分類されることを明らかにしました。また、-ed形容詞が後者のタイプとしてふるまう点も観察されていますが、これは、他のラテン語由来の関係形容詞に見られる場合と同じように「転換 (注3)(Conversion)」が生じているためであることを明らかにしました。
なお、本研究成果の一部にもなっている論文「名詞由来の-ed形容詞に生じる解釈強制についての予備的考察」は、広島修大論集第63巻2号に掲載(2023年2月)されており、今回はこの内容をさらに発展させたものだと言えます。
本研究成果は2024年5月7日に国際誌であるLanguagesの特集号 “Word-Formation Processes in English” で公開されました。
詳細は関連資料をご確認ください。
今回の研究では、英語の形容詞派生研究において、多くの先行研究が扱っているラテン語由来の形容詞化接尾辞(注2) (例:-al, -ary, -ic/-ical) でつくられる形容詞ではなく、ゲルマン語由来の形容詞化接尾辞 (例:-en, -ern, -y, -ed) の1つである、-ed接辞によって派生される形容詞(以下、-ed形容詞)を分析対象としました。
具体的には、まず、英語における2種類の名詞由来形容詞 (Denominal Adjective)、関係形容詞 (Relational Adjective) と性質形容詞 (Qualitative Adjective) のうち、-ed形容詞は前者のタイプに分類されることを明らかにしました。また、-ed形容詞が後者のタイプとしてふるまう点も観察されていますが、これは、他のラテン語由来の関係形容詞に見られる場合と同じように「転換 (注3)(Conversion)」が生じているためであることを明らかにしました。
なお、本研究成果の一部にもなっている論文「名詞由来の-ed形容詞に生じる解釈強制についての予備的考察」は、広島修大論集第63巻2号に掲載(2023年2月)されており、今回はこの内容をさらに発展させたものだと言えます。
本研究成果は2024年5月7日に国際誌であるLanguagesの特集号 “Word-Formation Processes in English” で公開されました。
詳細は関連資料をご確認ください。
用語解説
注1:派生接辞(derivational affix)
単語の品詞を変える接尾辞のことで、新しい単語をつくりだす(例:write + -er → writer)。
注2:接尾辞(suffix)
単語や単語の基となる要素(語基や語根と呼ばれる)に付加される要素で、語の後ろに付くため「接尾」辞と呼ばれる(例:happy + -ness → happiness)。
注3:転換(conversion)
語形成の一種で、ある品詞の語が形を変えることなくそのまま別の品詞として使われるようになる現象のこと(例:to drink (動詞) → a drink (名詞))。本研究で扱う転換は、RAdjからQAdjへの同一品詞(形容詞)内で起こる転換であるため、一般的に「二次的転換(secondary word-class conversion)」と呼ばれる。
単語の品詞を変える接尾辞のことで、新しい単語をつくりだす(例:write + -er → writer)。
注2:接尾辞(suffix)
単語や単語の基となる要素(語基や語根と呼ばれる)に付加される要素で、語の後ろに付くため「接尾」辞と呼ばれる(例:happy + -ness → happiness)。
注3:転換(conversion)
語形成の一種で、ある品詞の語が形を変えることなくそのまま別の品詞として使われるようになる現象のこと(例:to drink (動詞) → a drink (名詞))。本研究で扱う転換は、RAdjからQAdjへの同一品詞(形容詞)内で起こる転換であるため、一般的に「二次的転換(secondary word-class conversion)」と呼ばれる。