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ゲンジボタルの遺伝構造を解明 五島列島集団と九州本土集団の遺伝的分化が進みつつあることが判明

人間環境学部  鈴木智也助教 研究成果発表

国立大学法人長崎大学教育学部の大庭伸也准教授と同大学院院生の平石直樹(2023年3月修了)と広島修道大学の鈴木智也助教の研究グループは、詳細な遺伝子解析を実施し、全国で最も明滅が早い五島列島型(1秒1回明滅タイプ)ゲンジボタルが九州本土に分布する西日本型(2秒1回明滅タイプ)と遺伝的に分化しつつある集団であること、他の離島に比べて西日本型との遺伝的交流の頻度が低いことを明らかにしました。これは、ゲンジボタルの明滅パターンが異なると、集団間での雌雄間のコミュニケーションが成立しにくいこと、五島列島のみに分布する集団が他とは異なる遺伝的特徴を持つことを示唆します。

五島列島型ゲンジボタルは2020年に発表された( https://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/science/science193.html )、全国で最も早いリズムで明滅する五島列島(福江島、久賀島、若松島、中通島、宇久島に分布)の固有集団です。ミトコンドリアDNAのCOII領域のみの解析で、五島列島型は九州本土の西日本型とは異なる集団であることが示唆されていました。一方、五島列島の最北端で、最も距離的に本土に近い宇久島集団(明滅は1秒1回の五島列島型)は九州本土個体群(2秒1回明滅タイプ)に含まれることから、その遺伝的関係を明らかにする必要がありました。今回、ミトコンドリアDNAのND5領域を解析に新たに加えるとともに、次世代シーケンサーを使用したGRAS-Di法によって得られた多数の核DNA多型情報を使って五島列島集団と九州本土集団の関係性を詳細に調べました。

詳細は、以下の印刷用PDFをご確認ください。

論文情報

 Suzuki T, Hiraishi N, Ohba S (2023) Fine-scale phylogeography of the Japanese Genji firefly. Biological Journal of the Linnean Society, https://doi.org/10.1093/biolinnean/blad161

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