学長告辞
本日、学位記を授与された皆さん、ご卒業並びに大学院修了、おめでとうございます。保証人の皆様、関係の皆様も、晴れやかなこの日を迎えられ、たいへんお喜びのことと存じます。広島修道大学を代表して、心よりお祝い申し上げます。
今年度は、修道学園創始300年目の節目の年として、様々な場面で学園の歴史に触れ、そこで大学が果たしてきた役割を改めて確認する機会が多くありました。広島の歴史ある教育機関として、修道中学・高等学校がその礎となる教育の実績を積み重ね、戦後、本格的な広島の復興の中で、その復興を率いる、より専門的な人材の育成が求められた時に、修道学園にその期待が寄せられ、専門的商業人を育成する広島修道大学の前身、修道短期大学商科の設立に至りました。この経緯からも、広島修道大学は、学園の中で「より専門性のある人材」、そして広島はもとより全国、全世界で「地域を率いていく人材」を育てるという使命があります。本日、ここから巣立つ皆さんにも、折に触れ、この使命を思い出してほしいと思います。
また、学園300年目の年は、被爆後80年、戦後80年の年でもありました。今、世界ではいくつもの争いが続き、世界がどこへ向かうのか、不安を感じています。「戦後」という言葉は、平和な時代が前提となっています。地球規模でみれば、もはや「戦後」ではなく、私たちの身近な社会においても、このままでは今を「戦前」と呼ばざるを得ない未来が来てしまうのではないかと感じることがあります。
世界は移り変わり、歴史はいつも何らかの分岐点を迎えます。多くの場合、その瞬間は、後になって初めて「分岐点だった」とわかります。今私たちが立っている時代を、未来の誰かが「戦前」と呼ぶことがないよう、私たち一人ひとりがふんばっていかなければいけません。皆さんの世代は、これからの世界のかたちを決める中心的存在となっています。今日ここから歩み出す皆さんが、日々の選択と行動によって、世界の針を「平和」へと押し戻すことを願っています。
さて、4年前、ここにいる多くの皆さんが入学した日は、成年年齢が18歳になった日でした。入学式で、詩人・谷川俊太郎さんの「成人の日に」という詩を紹介したことを覚えているでしょうか。
あのとき、谷川さんは確かにこの世界にいて、私たちはその言葉を“生きている詩人の言葉”として共有しました。しかし、この4年の間に、谷川さんは静かにその生涯を閉じられました。同じ時代を共有していたはずの存在が、今はもうこの世にいないという事実は、時間は止まることなく、いかに容赦なく流れ、世界を絶えず変えていくものであるかを、あらためて教えてくれます。しかし、谷川さんの言葉は消えてしまったわけではありません。
卒業という門出にあたり、再び同じ詩を皆さんに贈ります。それは、もはや“生きている詩人の言葉”ではありません。しかし、だからこそ、その言葉はより静かに、より深く、皆さんの胸に届き、皆さんの4年間の広島修道大学での経験が、その言葉に新たな意味をもたらすのではないかと思っています。
(谷川俊太郎詩集「魂のいちばんおいしいところ」より「成人の日に」を紹介しました。)
人に成るために、皆さんの大学生活はどのようなヒントや力を与えてくれたでしょうか。時間は流れ、人は行き交い、世界は絶えず姿を変えます。その変化の中で、何を受け取り、何を手放し、どんな未来を描いていくのか。その問いに向き合う力を、皆さんはこの4年間で身につけてきたと思います。これから、ひとり一人が歩む道において、皆さん自身の言葉や思いを紡ぎ、平和な未来へと、静かに、そして確かに、人としての歩みを進めることを心から願っています。
今年度は、修道学園創始300年目の節目の年として、様々な場面で学園の歴史に触れ、そこで大学が果たしてきた役割を改めて確認する機会が多くありました。広島の歴史ある教育機関として、修道中学・高等学校がその礎となる教育の実績を積み重ね、戦後、本格的な広島の復興の中で、その復興を率いる、より専門的な人材の育成が求められた時に、修道学園にその期待が寄せられ、専門的商業人を育成する広島修道大学の前身、修道短期大学商科の設立に至りました。この経緯からも、広島修道大学は、学園の中で「より専門性のある人材」、そして広島はもとより全国、全世界で「地域を率いていく人材」を育てるという使命があります。本日、ここから巣立つ皆さんにも、折に触れ、この使命を思い出してほしいと思います。
また、学園300年目の年は、被爆後80年、戦後80年の年でもありました。今、世界ではいくつもの争いが続き、世界がどこへ向かうのか、不安を感じています。「戦後」という言葉は、平和な時代が前提となっています。地球規模でみれば、もはや「戦後」ではなく、私たちの身近な社会においても、このままでは今を「戦前」と呼ばざるを得ない未来が来てしまうのではないかと感じることがあります。
世界は移り変わり、歴史はいつも何らかの分岐点を迎えます。多くの場合、その瞬間は、後になって初めて「分岐点だった」とわかります。今私たちが立っている時代を、未来の誰かが「戦前」と呼ぶことがないよう、私たち一人ひとりがふんばっていかなければいけません。皆さんの世代は、これからの世界のかたちを決める中心的存在となっています。今日ここから歩み出す皆さんが、日々の選択と行動によって、世界の針を「平和」へと押し戻すことを願っています。
さて、4年前、ここにいる多くの皆さんが入学した日は、成年年齢が18歳になった日でした。入学式で、詩人・谷川俊太郎さんの「成人の日に」という詩を紹介したことを覚えているでしょうか。
あのとき、谷川さんは確かにこの世界にいて、私たちはその言葉を“生きている詩人の言葉”として共有しました。しかし、この4年の間に、谷川さんは静かにその生涯を閉じられました。同じ時代を共有していたはずの存在が、今はもうこの世にいないという事実は、時間は止まることなく、いかに容赦なく流れ、世界を絶えず変えていくものであるかを、あらためて教えてくれます。しかし、谷川さんの言葉は消えてしまったわけではありません。
卒業という門出にあたり、再び同じ詩を皆さんに贈ります。それは、もはや“生きている詩人の言葉”ではありません。しかし、だからこそ、その言葉はより静かに、より深く、皆さんの胸に届き、皆さんの4年間の広島修道大学での経験が、その言葉に新たな意味をもたらすのではないかと思っています。
(谷川俊太郎詩集「魂のいちばんおいしいところ」より「成人の日に」を紹介しました。)
人に成るために、皆さんの大学生活はどのようなヒントや力を与えてくれたでしょうか。時間は流れ、人は行き交い、世界は絶えず姿を変えます。その変化の中で、何を受け取り、何を手放し、どんな未来を描いていくのか。その問いに向き合う力を、皆さんはこの4年間で身につけてきたと思います。これから、ひとり一人が歩む道において、皆さん自身の言葉や思いを紡ぎ、平和な未来へと、静かに、そして確かに、人としての歩みを進めることを心から願っています。
2026年3月19日
広島修道大学学長 矢野 泉
広島修道大学学長 矢野 泉