学長告辞
本日、学位記を授与された皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、卒業生の成長を支えてこられた保証人の皆様、関係の皆様もたいへんお喜びのことと存じます。晴れて今日の日を迎えられた皆様に、広島修道大学を代表して、心よりお祝い申し上げます。
4年前、2020年4月、美しい桜が咲き誇る広島修道大学のキャンパスに、新入生の皆さんの姿はありませんでした。大学に入学したものの、入学式もなく、オンライン授業が続き、同級生や先生の顔もわからず、不安な日々を過ごしたことでしょう。未知の感染症が拡大する中で、命を守るためやむを得ない措置だったとはいえ、私たち教職員も心苦しい日々が続きました。学生の皆さんのために何ができるか、何をすべきかを考え続ける日々でした。
大学生になったらゼミやサークル活動、地域貢献活動でいろいろな人と出会い、交流しながら大学生活を充実させたいと考えていた人、留学に行って視野を広げ、自分を成長させたいと思っていた人にとっては、不本意な時間も多くあったことでしょう。そうした中でも、いろいろなことにチャレンジすることをあきらめず、卒業までがんばり続けた皆さんの気持ちを垣間見ることがあります。
先日、グローバルコースの修了式がありました。グローバルコースを選択した学生の大きな目標は留学ですが、留学はコロナ禍でもっともハードルの高いチャレンジの1つだったといえます。修了式である学生が語った、その日の朝のエピソードを紹介します。「私は朝起きた時、苦しい4年間でしたが、グローバルコースを最後まで走りぬくことができ、こうして修了式の朝を迎えられたことを感慨深く感じました。そして、コロナ禍で海外へ行く自分を許し、応援してくれた親への感謝で心がいっぱいになりました。」とのことでした。続きがあります。「そんな思いで朝ごはんを食べていましたが、目の前の母へ実際にかけた言葉は『ちょっとそこのコップ、取って』でした。いつもどおり雑に接してしまいましたが、本当は心から感謝しています。」と語る学生の表情を、ご家族に見せてあげたいと思いました。自分ががんばってきたことを自分自身しっかりとみつめ、それに加えて自分を支えてくれた人への感謝の言葉を重ねる学生の成長した姿を、誇らしく思いました。
今、ひとつのエピソードを紹介しましたが、ここに集う皆さん一人ひとりに、ひとつひとつのコロナ禍の物語があるでしょう。今日、こうして卒業を迎えたということこそが、多くの苦難の中、それぞれの道をしっかりと歩み続けてきたという証拠です。今日は、そんな皆さんを拍手で称えたいと思います。皆さんご一緒によろしくお願いします。
まずは、自分自身を祝福してください。「がんばってきた自分、おめでとう。」（拍手）そして家族、友人、先生等皆さんを支えてくれた全ての人にも大きな拍手を送りましょう。これまで言葉で感謝を伝えることが少し気恥ずかしかった人は、今その感謝の気持ちを拍手に込めてください。それでは、感謝を込めて「ありがとうございました。」（拍手）ありがとうございました。皆さんの想いが伝わってくるすばらしい拍手でした。
さて、そんな皆さんは、これから新しい道を歩み始めます。私はコロナ禍で学長に就任して以来、修大生に身につけてほしい大切な力として「レジリエンス」をあげています。「レジリエンス」とは「しなやかな強さ」です。予測困難な時代であっても、困難に向き合い、受け止め、それを乗り越え、自ら未来を切り拓くことができる、柔軟かつたくましい強さです。これから皆さんが歩んでいく道も決して平たんではありません。なかなか思い通りにならないこともあるでしょう。ですが、そうした状況を皆さんはすでに広島修道大学での日々で経験しています。その経験から身に着いた「レジリエンス」をさらに育てていってほしいと思います。
最後に、広島修道大学を有する修道学園は約300年の歴史を歩んできました。修道学園の源は江戸時代、広島藩の藩校にあります。江戸から明治へと大きく時代が動く中で生まれた修道という学び舎。さらに、第2次世界大戦後、原爆の被害から復興し、経済成長していく広島を支え導いていく人材の育成を、地域から強く要請される中で生まれた広島修道大学。「修道」という名前には、大きな歴史の転換点において、常に新しい時代を切り拓いてきた歴史が刻まれています。皆さんがこれから歩んでいく道には広島修道大学で学んだ仲間もたくさんいます。広島修道大学での学び、つながった縁を大切にしてください。そして、この時代に修大生であったからこそ身に着いたレジリエンスを大切にしてください。これからの時代を切り拓く開拓者として、皆さんが新たな舞台で活躍し、多くの人に愛されることを心より願います。
ご卒業、おめでとうございます。
4年前、2020年4月、美しい桜が咲き誇る広島修道大学のキャンパスに、新入生の皆さんの姿はありませんでした。大学に入学したものの、入学式もなく、オンライン授業が続き、同級生や先生の顔もわからず、不安な日々を過ごしたことでしょう。未知の感染症が拡大する中で、命を守るためやむを得ない措置だったとはいえ、私たち教職員も心苦しい日々が続きました。学生の皆さんのために何ができるか、何をすべきかを考え続ける日々でした。
大学生になったらゼミやサークル活動、地域貢献活動でいろいろな人と出会い、交流しながら大学生活を充実させたいと考えていた人、留学に行って視野を広げ、自分を成長させたいと思っていた人にとっては、不本意な時間も多くあったことでしょう。そうした中でも、いろいろなことにチャレンジすることをあきらめず、卒業までがんばり続けた皆さんの気持ちを垣間見ることがあります。
先日、グローバルコースの修了式がありました。グローバルコースを選択した学生の大きな目標は留学ですが、留学はコロナ禍でもっともハードルの高いチャレンジの1つだったといえます。修了式である学生が語った、その日の朝のエピソードを紹介します。「私は朝起きた時、苦しい4年間でしたが、グローバルコースを最後まで走りぬくことができ、こうして修了式の朝を迎えられたことを感慨深く感じました。そして、コロナ禍で海外へ行く自分を許し、応援してくれた親への感謝で心がいっぱいになりました。」とのことでした。続きがあります。「そんな思いで朝ごはんを食べていましたが、目の前の母へ実際にかけた言葉は『ちょっとそこのコップ、取って』でした。いつもどおり雑に接してしまいましたが、本当は心から感謝しています。」と語る学生の表情を、ご家族に見せてあげたいと思いました。自分ががんばってきたことを自分自身しっかりとみつめ、それに加えて自分を支えてくれた人への感謝の言葉を重ねる学生の成長した姿を、誇らしく思いました。
今、ひとつのエピソードを紹介しましたが、ここに集う皆さん一人ひとりに、ひとつひとつのコロナ禍の物語があるでしょう。今日、こうして卒業を迎えたということこそが、多くの苦難の中、それぞれの道をしっかりと歩み続けてきたという証拠です。今日は、そんな皆さんを拍手で称えたいと思います。皆さんご一緒によろしくお願いします。
まずは、自分自身を祝福してください。「がんばってきた自分、おめでとう。」（拍手）そして家族、友人、先生等皆さんを支えてくれた全ての人にも大きな拍手を送りましょう。これまで言葉で感謝を伝えることが少し気恥ずかしかった人は、今その感謝の気持ちを拍手に込めてください。それでは、感謝を込めて「ありがとうございました。」（拍手）ありがとうございました。皆さんの想いが伝わってくるすばらしい拍手でした。
さて、そんな皆さんは、これから新しい道を歩み始めます。私はコロナ禍で学長に就任して以来、修大生に身につけてほしい大切な力として「レジリエンス」をあげています。「レジリエンス」とは「しなやかな強さ」です。予測困難な時代であっても、困難に向き合い、受け止め、それを乗り越え、自ら未来を切り拓くことができる、柔軟かつたくましい強さです。これから皆さんが歩んでいく道も決して平たんではありません。なかなか思い通りにならないこともあるでしょう。ですが、そうした状況を皆さんはすでに広島修道大学での日々で経験しています。その経験から身に着いた「レジリエンス」をさらに育てていってほしいと思います。
最後に、広島修道大学を有する修道学園は約300年の歴史を歩んできました。修道学園の源は江戸時代、広島藩の藩校にあります。江戸から明治へと大きく時代が動く中で生まれた修道という学び舎。さらに、第2次世界大戦後、原爆の被害から復興し、経済成長していく広島を支え導いていく人材の育成を、地域から強く要請される中で生まれた広島修道大学。「修道」という名前には、大きな歴史の転換点において、常に新しい時代を切り拓いてきた歴史が刻まれています。皆さんがこれから歩んでいく道には広島修道大学で学んだ仲間もたくさんいます。広島修道大学での学び、つながった縁を大切にしてください。そして、この時代に修大生であったからこそ身に着いたレジリエンスを大切にしてください。これからの時代を切り拓く開拓者として、皆さんが新たな舞台で活躍し、多くの人に愛されることを心より願います。
ご卒業、おめでとうございます。
2024年3月19日
広島修道大学学長 矢野 泉
広島修道大学学長 矢野 泉