授業:人間環境が引き起こす進化(2023.02.22)

修大コース探究科高大連携授業 人間環境学部

第5回目の講義は、「人間環境が引き起こす進化」をテーマにした人間環境学部の城野哲平准教授の講義です。残念ながら、対面ではなく講義動画の視聴となりました。

城野准教授の動画が始まってすぐに登場したのは、2匹のヤモリです。「ヤモリの鳴き声って聞いたことありますか?」という問いに、生徒たちはざわつき始めました。
動画に耳を澄ませると、小さな音で「チッチッチッチッチッチッ」という声が聞こえました。オスがメスに対して求愛しているところで、鳴き声を使ってコミュニケーションをとる爬虫類として、ヤモリは非常に珍しい生物だそうです。
実は、城野准教授は爬虫類や両生類を使った生体や進化、保全についての研究をされていおり、ヤモリの鳴き声がその生態にどう役立っているのか、どう進化しているのか、在来種に外来種が及ぼす影響などについて研究されています。

ヤモリの次に動画に登場したのは、アフリカゾウです。アフリカゾウを例に、「進化」について説明してくださいました。
牙のあるアフリカゾウと牙のないアフリカゾウの写真を提示し、自然選択による進化(牙がある)と人為選択による進化(牙がない)について説明してくださいました。生物の有利な特徴が自然環境によって進化する「自然選択」と、人間の手によって遺伝的な個体変異を定着させることを「人為選抜」というそうです。人間による象牙の密漁で、牙が進化的に失われていったのです。このように、人間による過剰な狩猟や漁獲、外来種を持ち込むことで、環境や生物に大きな影響が出るとおっしゃられていました。 城野准教授が研究されているヤモリも、在来種のニシヤモリと外来種のニホンヤモリの交雑によって、在来種に危機が迫っているとのことでした。

講義動画でさまざまな生物の進化の例を提示してくださった後は、事後課題が出されました。「身近な人間活動が広島の生物にどんな影響を及ぼすか、そこにどんな問題があるか話し合おう」という課題で、生徒たちは生物の教科書を開いたり友達と相談したりしながら考えていました。
 
探究科
協創教育の根幹となる「探究科」の授業では、国際交流によって得る探究心や表現力、協働型の学びがもたらす思考力や判断力、これらを融合しながら社会的な課題研究に取り組みます。あわせて課題解決を示す手法を学び、これらの相乗効果によってグローカル・イノベーション・リーダーへの成長をめざします。