トビタテ!留学JAPAN =高坂るみ=

世界に平和を発信する音楽家に

トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム高校生コースに、3年特別進学コースの高坂るみさんが選出され、ポーランドのワルシャワへ9月5日~24日の20日間、留学しました。
高坂さんには世界に平和を発信する音楽家になるという夢があります。そのため、ウクライナ難民最大の受け入れ国であるポーランドへ行き、「平和」をテーマに探究活動を行いました。
トビタテ!留学JAPANとは
高校生と大学生を対象とした官民協働で取り組む海外留学支援制度です(2014年からスタート)。
詳しくはトビタテ!留学JAPANのHPをご覧ください

高坂さんのレポート

現地では、ウクライナ支援ボランティアに参加するとともに、ポーランド語のレッスンを受けたり、街を散策したりしてポーランドの歴史や文化を学びました。最も印象に残っている活動は、ウクライナ支援ボランティアにてピアノ演奏会を開いたことです。子どもたちの中にはシャイな子がいたり、ポーランド語が通じない子もいたりと会話を続けることが難しいこともありました。しかし、ピアノ演奏会はみんながとても楽しんでくれて、改めて音楽のチカラの凄さを感じました。小さな演奏会ではありましたが、この活動で得た自信や感動は強く心に残っています。

また、この留学を通してこれまでの自分の持っていた価値観にも変化が起こりました。
それは「①個性 ②下手でも頑張る姿勢 ③好奇心 ④ポジティブワード ⑤感謝の心」
この5つが大切だということです。そしてこれらは平和を形作るエレメントでもあると考えました。

ポーランドの大学に進学して政治と国際情勢について学ぶ

今回「平和」をテーマに探究活動を通して私が学んだことは、人々の間に存在する身近な「平和」でした。来年からはポーランドの大学に進学して、ヨーロッパ政治学を学び「平和」について国際情勢から政治的に分析できるよう、研究をしたいと考えています。ヨーロッパの中でも社会福祉が充実していて、先進的で、文化的にもクールな地域の一部で、どうして今、戦争が起こっているのか。どうして他の大国はそれを止められないのか。そのような疑問の答えを学術的な観点からも知りたくてたまらないからです。また、「平和」という抽象的な概念を研究するには、色々な人々との意見交換やディスカッションが必須です。ポーランドの大学で、学生同士でたくさん話し合い、さまざまな意見をもらい、そして、それを発信したいと思っています。今までは漠然と「誰かを“平和な気持ちにする”音楽家」を目指していましたが、「ダイレクトに政治的メッセージを盛り込んだ曲を作って歌うのも面白いかも」と新しいアイデアも生まれてきました。

4か国語をマスターする

もちろん、今回取り組んだウクライナ支援ボランティアは今後も継続していきたいです。そのために、ウクライナ語も勉強していこうと思っています。ウクライナの人々とコミュニケーションをとる際、ポーランド語での会話でも特に困るようなことはありませんでした(ウクライナ語とポーランド語はかなり似ており、お互いの言語で話しても大体は意味が通じるため)。しかし、彼らにとってはやはり自分たちの言語を知っておいてくれた方が嬉しいのではないでしょうか。そこで、英語とポーランド語に比べれば本当に少しずつですが、ウクライナ語もかじり始めています。今は、キリル文字をマスターすることが目標です。

シャイな自分を克服する

探究活動の他に今回の留学にはもう一つの目標がありました。それは「シャイな自分を克服する」ということです。
私は幼い頃からシャイで、自分の感情を外に出すことにとても抵抗がありました。何かを不快に感じても、自分の感情に嘘をついて我慢してしまうことがよくありました。だから、そんな自分を変えるということは目標の一つでした。正直にいうと、人間はそう簡単に変われず、完全には克服できていません。しかし、その半分である「50%」は克服できたと思います。私が50%シャイを克服できたのは、性格が正反対のホストマザーとの出会いのおかげです。私と違って社交的な彼女は、人とのおしゃべりが大好きで、よく私を(半ば強引に)その中に参加させました。彼女はいつも自分の感情に正直に生きていて、嬉しい時は全力で喜び、腹が立てば近所に聞こえるような大声を発しました。それはすごくクレイジーでしたが、同時にすごくクールなことだとも感じました。私も彼女のように感情を正直に表現できる人になりたいと強く思い、帰国してからは、以前のように“恥ずかしいから黙っている”ことはなくなりました。誰かと話すときは必ず相手の目を見て、自分の言いたい事を丁寧に伝えられるようになりました。また、現地で初めて自分だけのピアノ演奏会を開いたり、勇気を出してたくさんの人と交流したりしました。その甲斐もあって、大勢の前での発表も以前のように緊張しなくなりました。しかし、自分から積極的に発言する姿勢についてはまだまだ課題が残ります。このことは経験を積むしかないと思っているので、これからも様々なことに挑戦し続けていきたいと思っています。
 そして、素直な感情表現から始まるシャイの克服は、日常生活やディスカッションに役立つだけではなく、私の夢である音楽家にとっても必要なことでもあります。自分の曲の中に100%正直に感情を注ぐことはエモーショナルで人の心に届く音楽にもつながるので、パフォーマンス向上のためにも、これからのピアノや歌の練習で意識していきたいです。

今回の留学は、人生のターニングポイントとなるものでした。この経験を軸に、これからもっと自分を向上させて、世界に平和を発信する音楽家になるという夢をカタチにしたいです。