2024.08.20
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【園芸部】新開発商品「いもでがん酢」を井口朝市で販売します!
~市販の穀物酢や米酢よりも、はるかに美味しい!ジャガイモ酢~
園芸部が商品開発した おいしいジャガイモ酢「いもでがん酢」を井口朝市にて販売します!
みなさまのご来場をお待ちしております!
2024年8月22日(木)
園芸部が商品開発した おいしいジャガイモ酢「いもでがん酢」を井口朝市にて販売します!
みなさまのご来場をお待ちしております!
▼日時
2024年8月22日(木)
9:00~10:30
▼場所
井口朝市(JA広島市 井口支店前:広島市西区井口2丁目5ー29)いもでがん酢の商品開発エッセイ
じゃがいもの栽培から商品開発に至る園芸部の挑戦を園芸部部員高校2年生の山田さんがエッセイにまとめました。ぜひ、ご覧ください。
※このエッセイはコンクールに応募中の作品です。
「お腹が苦しい…、もう飲みたくない」
という叫び声をあげていた。
しかし、“いもでがんす”を飲んだ後に出た言葉は、
「飲みやすい!」
「甘くておいしい!」
だった。衝撃的であった。
“いもでがんす“
という言葉を聞くと、私の故郷の広島の人々は、魚の練り物料理である“がんす”をイメージするかもしれない。“いもでがんす”は、その“がんす”ではなく、ジャガイモで作った食酢なのだ。
私は、広島市に位置する普通科高等学校の2年生である。そして、文化局クラブの1つである園芸部の一員である。昨年の秋、園芸部では栽培したジャガイモを使って食酢を急遽作ることになった。過去に園芸部では、学校で栽培した果物を使ったジャムを開発し、販売し、多くの注目を集めていた。しかし、私が開発することになったのは、ジャガイモ酢。ジャガイモで酢を作ることなんてできるのだろうか…、完成したとしても買ってくれる人はいるだろうか…、不安で一杯になった。ジャガイモ酢開発のことを友達や家族に伝えてみると、
「ジャガイモで酢? 本当にできるん?」
「失敗するんじゃない…」
などと言われた。妹たちには、
「ジャガイモの酢なんて、絶対美味しくないよ」
と言われた。反対意見を言われる度に私は、
「…わかんないよぉ」
と曖昧に答えることしかできなかった。できるかどうか、私自身も半信半疑であった。
昨年の初春、高校入学式直前の私は、ホームページで本校の部活動について調べていた。園芸部のページでスクロールの手が止まった。園芸部では学校で栽培した果物を原材料としてジャムを開発しているとのことであった。部員自らがジャムレシピを考案し、商品名を決定し、ラベルを作成し、販売するという活動内容を見て、私は何かビビッと感じるものがあった。今までにない体験ができるのでは、授業では学べないことが学べるのでは、活動を通して将来について考えることができるのではないかと思った。そして、高校入学後すぐに私は園芸部に入部をした。
※このエッセイはコンクールに応募中の作品です。
“いもでがんす”は酢でがんす‼ 山田 葵彩
「お腹が苦しい…、もう飲みたくない」
という叫び声をあげていた。
しかし、“いもでがんす”を飲んだ後に出た言葉は、
「飲みやすい!」
「甘くておいしい!」
だった。衝撃的であった。
“いもでがんす“
という言葉を聞くと、私の故郷の広島の人々は、魚の練り物料理である“がんす”をイメージするかもしれない。“いもでがんす”は、その“がんす”ではなく、ジャガイモで作った食酢なのだ。
私は、広島市に位置する普通科高等学校の2年生である。そして、文化局クラブの1つである園芸部の一員である。昨年の秋、園芸部では栽培したジャガイモを使って食酢を急遽作ることになった。過去に園芸部では、学校で栽培した果物を使ったジャムを開発し、販売し、多くの注目を集めていた。しかし、私が開発することになったのは、ジャガイモ酢。ジャガイモで酢を作ることなんてできるのだろうか…、完成したとしても買ってくれる人はいるだろうか…、不安で一杯になった。ジャガイモ酢開発のことを友達や家族に伝えてみると、
「ジャガイモで酢? 本当にできるん?」
「失敗するんじゃない…」
などと言われた。妹たちには、
「ジャガイモの酢なんて、絶対美味しくないよ」
と言われた。反対意見を言われる度に私は、
「…わかんないよぉ」
と曖昧に答えることしかできなかった。できるかどうか、私自身も半信半疑であった。
昨年の初春、高校入学式直前の私は、ホームページで本校の部活動について調べていた。園芸部のページでスクロールの手が止まった。園芸部では学校で栽培した果物を原材料としてジャムを開発しているとのことであった。部員自らがジャムレシピを考案し、商品名を決定し、ラベルを作成し、販売するという活動内容を見て、私は何かビビッと感じるものがあった。今までにない体験ができるのでは、授業では学べないことが学べるのでは、活動を通して将来について考えることができるのではないかと思った。そして、高校入学後すぐに私は園芸部に入部をした。
高校に入学して約3か月が過ぎた頃、園芸部は農地を借りることとなった。
「山奥にある借り手が見つからない市民農園を園芸部で使ってもらえないか」
と、市の農林水産課から依頼があった。空き農園で何を栽培するか、部員全員で考えた。秋から栽培を開始できて…、学校から遠く離れた農園なので栽培管理が容易で…、収穫物を加工・商品化できる農作物…、と考えた結果、ジャガイモを栽培することに決定した。この空き農園の使用が、ジャガイモ酢開発の契機となった。
酷暑の昨年の夏休み、農園に元肥を入れ、耕うん、畝立てを行った。残暑の9月上旬には、種芋の植付けを行った。汗だくになった。栽培期間中、何度も授業を公欠し、畑の管理作業に行った。畑作業時は手袋を二重にしていたが、手は泥だらけになった。作業後の数日間は、手に染み付いた土や草のニオイは消えなかった。妹たちからは、
「手が変な色になってるよ」
「手から土のニオイがするよ」
と言われた。
「これは畑作業をした努力の結晶なんだよ」
と、私が話すと、
「へぇ〜、お姉ちゃん、頑張ったんだね!」
と妹たちに慰められた。
「山奥にある借り手が見つからない市民農園を園芸部で使ってもらえないか」
と、市の農林水産課から依頼があった。空き農園で何を栽培するか、部員全員で考えた。秋から栽培を開始できて…、学校から遠く離れた農園なので栽培管理が容易で…、収穫物を加工・商品化できる農作物…、と考えた結果、ジャガイモを栽培することに決定した。この空き農園の使用が、ジャガイモ酢開発の契機となった。
酷暑の昨年の夏休み、農園に元肥を入れ、耕うん、畝立てを行った。残暑の9月上旬には、種芋の植付けを行った。汗だくになった。栽培期間中、何度も授業を公欠し、畑の管理作業に行った。畑作業時は手袋を二重にしていたが、手は泥だらけになった。作業後の数日間は、手に染み付いた土や草のニオイは消えなかった。妹たちからは、
「手が変な色になってるよ」
「手から土のニオイがするよ」
と言われた。
「これは畑作業をした努力の結晶なんだよ」
と、私が話すと、
「へぇ〜、お姉ちゃん、頑張ったんだね!」
と妹たちに慰められた。
栽培と並行して、収穫後のジャガイモの活用方法について検討した。ポテトチップス、クッキー、フリカケ、ジャム…など様々なプランが提案された。しかし、本校には食品製造許可を受けた施設・設備がないため、商品化のためには外部企業にOEM製造をお願いしなければならなかった。最小ロットや製造コストの問題もあり、なかなかジャガイモの活用方法が決まらなかった。議論の結果、ジャガイモ焼酎という結論に辿り着いた。焼酎を開発している高校生は滅多にいないので、名案だと思った。焼酎製造を依頼できる企業も見つけることができた。しかし、酒類販売免許の関係上、断念せざるを得なくなった。再び活用方法を検討することとなったが、
「焼酎、アルコール、焼酎、アルコール…」
が頭から離れなかった。そんな時、アルコールを更に発酵させた食酢を思いついた。食酢の製造・販売には、酒類販売免許は関係なかった。佐賀県にある食酢醸造企業は快く製造依頼を受けてくれた。ジャガイモを用いた食酢を開発することが決定したのは、ジャガイモ収穫間際の11月下旬であった。
「焼酎、アルコール、焼酎、アルコール…」
が頭から離れなかった。そんな時、アルコールを更に発酵させた食酢を思いついた。食酢の製造・販売には、酒類販売免許は関係なかった。佐賀県にある食酢醸造企業は快く製造依頼を受けてくれた。ジャガイモを用いた食酢を開発することが決定したのは、ジャガイモ収穫間際の11月下旬であった。
12月上旬、収穫作業を行った。12月の山奥の農園は冷え込みが強く、収穫作業を進めていく内に、手の感覚がなくなっていくのがわかった。そして、また手に土のニオイが染みついていた。約300kgものジャガイモを収穫することができた。軽トラックの荷台がジャガイモでいっぱいになった。その日の内に、100kgのジャガイモは、佐賀県の食酢醸造企業に出荷した。
ジャガイモ酢の完成は、翌年初夏とのことであった。残りの約200kgについては園芸部からのクリスマスプレゼントとして校内で生徒や先生方に無料配布することにした。サンタさんの帽子やトナカイの被り物をしてイモを配った。誰ももらってくれないのではないかと心配していたが、予想をはるかに上回る人がジャガイモをもらってくれた。約200kgのジャガイモは30分ほどですべてなくなった。後日、ジャガイモをもらってくれた友達から
「ジャガイモ、美味しかったよ。ありがとう!」
と言われた。苦労してジャガイモを栽培して良かったと思った。嬉しくなった。
佐賀県でジャガイモの発酵が進んでいた今年の春、商品名を考えることとなった。いくつかの商品名候補を検討した結果、“いも”に広島弁で『〜でございます』を意味する“がんす”を合わせた"いもでがんす”を商品名とすることとした。商品の顔となるラベルは、私自身が描いた。
「ジャガイモ、美味しかったよ。ありがとう!」
と言われた。苦労してジャガイモを栽培して良かったと思った。嬉しくなった。
佐賀県でジャガイモの発酵が進んでいた今年の春、商品名を考えることとなった。いくつかの商品名候補を検討した結果、“いも”に広島弁で『〜でございます』を意味する“がんす”を合わせた"いもでがんす”を商品名とすることとした。商品の顔となるラベルは、私自身が描いた。
7月中旬、完成した "いもでがんす”500ml瓶700本が納品された。部員達と市販の穀物酢、市販の米酢、本校の“いもでがんす”を飲み比べ、官能検査を行った。米酢や穀物酢を飲んだ部員達は、
「酸っぱい、喉が痛い…」
「お腹が苦しい…もう飲みたくない」
という叫び声をあげていた。
しかし、“いもでがんす”を飲んだ後に出た言葉は、
「飲みやすい!」
「甘くておいしい!」
だった。衝撃的であった。今までにない食酢を完成させたことを実感した瞬間であった。ジャガイモで作った食酢は珍しいらしく、ほとんど製造・販売されていないことを知った。ある大学の先生に問い合わせたところ、ジャガイモ酢の栄養成分に関するデータはなく、分からない部分が多いと教えてもらった。そこで、福岡県の化学分析企業に“いもでがんす”の成分を調べてもらうことにした。
「酸っぱい、喉が痛い…」
「お腹が苦しい…もう飲みたくない」
という叫び声をあげていた。
しかし、“いもでがんす”を飲んだ後に出た言葉は、
「飲みやすい!」
「甘くておいしい!」
だった。衝撃的であった。今までにない食酢を完成させたことを実感した瞬間であった。ジャガイモで作った食酢は珍しいらしく、ほとんど製造・販売されていないことを知った。ある大学の先生に問い合わせたところ、ジャガイモ酢の栄養成分に関するデータはなく、分からない部分が多いと教えてもらった。そこで、福岡県の化学分析企業に“いもでがんす”の成分を調べてもらうことにした。
8月上旬、“いもでがんす”製造でお世話になった佐賀県の食酢醸造企業と成分分析を引き受けてくれた福岡県の化学分析企業を訪問した。食酢醸造企業の社長さんからは、
「ジャガイモで食酢を作った高校生なんて聞いたことがないですよ」
「他の酢よりも甘く飲みやすいので、きっと売れますよ」
と嬉しい言葉をいただいた。とても誇らしい気持ちになった。福岡県の化学分析企業の担当者の方からは、
「まだ分析中ですが、面白いデータが取れそうですよ」
「分析結果に基づいた販売方法などについても、一緒に考えていきましょう」
と、これまた嬉しい言葉をいただくことができた。お世話になった企業の訪問を通して、”いもでがんす”について、理解を深めることができた。
友だちや家族に完成した“いもでがんす”は、甘味が強く、他の酢と比べて美味しいことを伝えると、
「味わってみたい!」
「いつから販売するの?」
と、皆が興味を示してくれた。私が描いた商品ラベルを見せると、
「可愛いじゃん、絶対買いたい!」
と、言ってくれた。開発に反対していた家族や友達からの言葉が嬉しかった。
”いもでがんす“の物語はまだまだ終わらない。9月から、いよいよ販売を開始する。まずは校内や文化祭での販売を行い、その後は広島市内のイベント等での販売を行う予定である。そして、12月には、”いもでがんす”の開発過程や成分分析結果などについて、青森県で開催される研究学会の全国大会において私自身が研究発表を行う予定である。
”いもでがんす“の本当の物語はこれから幕が開くのである。
「ジャガイモで食酢を作った高校生なんて聞いたことがないですよ」
「他の酢よりも甘く飲みやすいので、きっと売れますよ」
と嬉しい言葉をいただいた。とても誇らしい気持ちになった。福岡県の化学分析企業の担当者の方からは、
「まだ分析中ですが、面白いデータが取れそうですよ」
「分析結果に基づいた販売方法などについても、一緒に考えていきましょう」
と、これまた嬉しい言葉をいただくことができた。お世話になった企業の訪問を通して、”いもでがんす”について、理解を深めることができた。
友だちや家族に完成した“いもでがんす”は、甘味が強く、他の酢と比べて美味しいことを伝えると、
「味わってみたい!」
「いつから販売するの?」
と、皆が興味を示してくれた。私が描いた商品ラベルを見せると、
「可愛いじゃん、絶対買いたい!」
と、言ってくれた。開発に反対していた家族や友達からの言葉が嬉しかった。
”いもでがんす“の物語はまだまだ終わらない。9月から、いよいよ販売を開始する。まずは校内や文化祭での販売を行い、その後は広島市内のイベント等での販売を行う予定である。そして、12月には、”いもでがんす”の開発過程や成分分析結果などについて、青森県で開催される研究学会の全国大会において私自身が研究発表を行う予定である。
”いもでがんす“の本当の物語はこれから幕が開くのである。
私は“いもでがんす”を完成させることができて、正直ホッとしている。ジャガイモ酢を作ると決まった当初は、本当に完成させることができるのだろうか…という大きな不安を抱えていた。しかし、今は、市販の食酢とは異なる、甘く、美味しく、他とは違う、力作の珍しいジャガイモ酢を完成させることができたことに大きな喜びを感じている。ジャガイモ酢開発という普通科の高校生ではなかなかできない貴重な活動を経験することができた。この経験を通して、何事もやってみないとわからないということを実体験することができた。将来、私は保育士になりたいと考えている。園児たちに食酢を開発させることは難しいかも知れないが、何事もやってみないとわからないということは伝えたいと考えている。