協創グランドデザイン

はじめに

本校では、「報恩感謝・実践」という建学の精神を大切にしながら、「グローカル・イノベーション・リーダーの育成」という教育目標の実現を目指しています。この「協創グランドデザイン」は、生徒一人ひとりが主体的に学び、成長し、社会に役立つ力を身につけられるよう、学校全体の教育方針を視覚的にまとめたものです。

中心にあるのは「6年間の学びのステップ」。これを軸に、教育理念、スクールポリシー、生徒が育くむ力、教職員の役割など、すべてが有機的につながり、生徒が6年間かけて「グローカル・イノベーション・リーダー」へと成長していく道筋を示しています。

▲協創グランドデザイン:中学入学生用

▲協創グランドデザイン:高校入学生用

建学の精神と教育目標

校訓「報恩感謝・実践」を教育の根幹に据え、「地球的な視野を持ち、地域社会と協創する人材」の育成を目指しています。

グランドデザインの構成

グランドデザインの中心には、生徒の6年間の成長を「道」として表現し、それぞれの学年ごとの成長目標(フラッグ)を設定しています。その基盤となるのが「協創教育」と「非認知能力の育成」です。
協創教育には、探究活動、GCP(Global Citizenship Program)、国際理解、そして広島修道大学との中高大連携などが含まれます。

前半3年間(中1~中3)では、「自己調整学習の確立」を重視し、
後半3年間(高1~高3)では、「問いを深める力」や「新しい価値を生み出す力」の育成を進めていきます。

 1  グローカル・イノベーション・リーダーの育成  

本校では、6年間の学びを通じて、「自分で学びをマネジメントする力(=非認知能力)」と「価値を創造し社会に貢献する力(=探究力)」を両輪として育成に取り組んでいます。最終的には、「地球的な視野で考え、地域社会と協創する人材」、すなわちグローカル・イノベーション・リーダーとして、社会へ力強く羽ばたいていくことを目指します。

 2  6年間の学びのステップ  

学びは、以下のように段階的に深まっていきます。各段階で、探究活動や国内外での学び(例:フィリピン研修、模擬国連、大学との連携など)を通して、知識・スキル・価値観を広げていきます。

中1:「学びの基礎」
中2:「学びの応用」
中3:「学びの発展」
高1:「学びの深化」
高2:「学びの創造」
高3:「学びの飛躍」

中1~中3:学びの基礎を築くステージ

この時期は、「自己調整学習の力」を身につけることを重視しています。生徒自身が学びの目的や方法を考え、自らの学習をコントロールできるようになることを目指します。
 中学1年(学びの基礎)五感を使った体験や地域探究などを通して、「学ぶことへの関心」や「問いを立てる力」を育てます。学びへの好奇心を引き出し、自分なりの学びのスタイルを見つける段階です。

 中学2年(学びの応用)グループ探究やプレゼンテーション活動を通して、情報を整理し、思考し、表現する力を育みます。学びのPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を実践し始める段階です。

 中学3年(学びの発展)より高度な探究や発表活動に取り組み、学びの方法を洗練させていきます。自己調整学習が定着し、自分の学びを自律的に深める力が育ちます。

高1~高3:学びを深め、社会とつなげるステージ

 高校1年(学びの深化)大学や地域との連携によるフィールドワークを通じて、問題意識を深めます。

 高校2年(学びの創造)成果を社会に発信し、新たな価値を創り出します。国際交流や模擬国連などの活動も加わります。

 高校3年(学びの飛躍)進路や将来に直結するテーマで探究を進め、これまで育んだ力を社会に向けて発信していきます。

 3  スクールポリシーの三位一体(AP・CP・GP)  

グランドデザインの左上には、教育活動の出発点であり到達点でもある「スクールポリシー(AP・CP・GP)」を掲げています。これは教育の“羅針盤”ともいえるもので、生徒・保護者・教職員が教育の目的や進むべき方向性を常に共有しながら歩みを進めていくための基盤です。
特に、探究的・実践的な学びを重視する本校においては、「どう学ぶか」以上に「なぜ学ぶのか」が重要になります。その意味でも、スクールポリシーを明確に示すことは、生徒が主体的に学びへ向かう土台づくりとなります。

アドミッション・ポリシー(AP)

高い志をもち、自ら学び、考え、創造しようとする生徒を歓迎します。

カリキュラム・ポリシー(CP)

探究学習や国際理解など、協創的な学びを通して、生徒の主体的な学びを引き出します。

グラデュエーション・ポリシー(GP)

卒業時には、地域社会や国際社会に貢献できる4つの力(課題解決する力・協創する力・社会参画する力・自己実現する力)を備えた「グローカル・イノベーション・リーダー」として巣立つことを目指します。

 4  探究力を中心とする4つの力  

グランドデザインの右下に配置された「探究力を中心とする4つの力」は、これからの社会を生き抜くための本質的な力です。「グローカル・イノベーション・リーダー」には、知識や技能だけでなく、「探究力」を中心に据えた、4つの力をバランスよく育てています。これらの4つの力は、互いに結びつきながら探究活動を通じて段階的に育まれ、やがて統合されて「真の探究力」となります。生徒たちは、「気づき → 考察 → 行動 → 振り返り」のサイクルを繰り返すことで、より深く、より自律的な学びを実現していきます。

課題解決する力(新しい価値を創造する力)

身近な課題や社会的な課題に対して、既存の知識や手法にとらわれず、柔軟に思考し、解決に向けて行動する力です。探究活動を通じて、「問いを立てる力」、「情報を集めて分析する力」、「解決策を構想し実行する力」を養います。
フィールドワークやPBL(課題解決型学習)を通して、実社会とつながる学びを展開しています。

協創する力(共に価値を創り出す力)

多様な他者と対話し、合意形成を重ねながら一緒に目標を達成していく力です。「協創」とはまさに“共に創る”こと。グループワークや探究活動、日々の学校生活の中で、仲間とともに学び合う機会を大切にしています。

社会参画する力(よりよい社会を創る力)

地域や世界で起こっている課題に目を向け、他者と協働しながら自ら行動を起こす力です。SDGsや地域課題をテーマにした探究活動を通して、社会との関わりを実感し、国際理解や海外研修など国際的な視野も広げていきます。

自己実現する力(自分の未来を切り拓く力)

自分の強みや価値観に向き合いながら、目標に向かって前向きに努力し続ける力です。キャリア教育やルーブリック、振り返りシートなどを活用し、自分の成長を可視化・言語化する力を育てます。
定期的なプレゼンテーションやリフレクションを通じて、「自分の意志で未来を創る力」を身につけます。

 5  教職員のミッション  

グランドデザインの左下に配置された「教職員のミッション」は、本校の教育を支える根幹のひとつです。生徒の成長を支える存在として、教職員に求められる姿勢と専門性がここに明示されています。以下の力を備えた教職員が、生徒のそばで「伴走者」として支えることで、生徒は安心して挑戦し、主体的に学びを深めていくことができます。中心にある「6年間の学びのステップ」が生徒の歩む道であるならば、この教職員のミッションはその道を照らし、共に歩み、支える存在だといえます。また、右下にある「探究力と4つの力」、左上の「スクールポリシー」とも有機的に結びついており、本校の教育の一貫性とバランスを保つ柱となっています。

教職員に求められる基本姿勢

使命感と倫理観


教育者としての誇りと責任をもち、誠実な姿勢で生徒一人ひとりに向き合い、適切な判断と行動ができることです。

好奇心と謙虚な姿勢


変化の激しい時代においても、自ら学び続け、生徒と共に成長しようとする「学びの共創者」であること。


このような姿勢は、多様な個性や価値観をもつ生徒に寄り添い、信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。

教職員が高めていくべき3つの力

協創力


生徒・保護者・地域・大学・世界とつながり、共に価値を創り出していく力。

進路支援力


一人ひとりの可能性を見出し、未来への道を共に考え、導く力。

学習支援力


学びのプロセスに寄り添い、よりよい学びの場をデザイン・サポートしていく力。

おわりに

本校のグランドデザインは、生徒一人ひとりの可能性を信じ、その成長を力強く支えていくための教育の羅針盤です。6年間の学びを通じて、生徒たちは自ら問いを立て、考え、仲間と協働しながら、自分らしい未来を切り拓いていきます。

これからの社会は、変化が激しく、正解のない問いに向き合う力が一層求められます。だからこそ私たち教職員は、知識だけでなく、「探究する姿勢」や「社会とつながる力」、「新たな価値を創り出す力」を大切に育んでいきたいと考えています。

私たちは、生徒の学びの伴走者として、挑戦を後押しし、安心して自分らしく成長できる環境を整えながら、共に未来を創っていきます。

このグランドデザインが、生徒一人ひとりの毎日の学びの中に根づき、未来への道を照らす確かな力となることを願っています。