【レポート】2019年度裏千家ハワイセミナー岡田奈巳

広島修道大学ひろしま協創高等学校
3年 岡田 奈巳
 私は、第47回裏千家ハワイセミナーに参加させていただけると聞いて、以前から興味があった海外の文化の見聞を広めることができること、まだまだ未熟な英語を学ぶことが大好きな茶道を通して体験できることに胸が高鳴りつつ、気軽に話せる友人もいないことへの不安な気持ちで当日を迎えました。
 ハワイに到着してすぐにあった結団式では大宗匠様が「よく来たね。」とハグをしてお出迎えして下さいました。100人を超える参加者にマイクを使って一斉に挨拶されることも可能なのに1人1人に丁寧に挨拶されるお姿におもてなしの心を感じ、緊張も少し和らぎました。
ハワイで出席したお茶会では、ココナッツで作られたお茶碗や貝殻のモチーフの建水、釜のかん付がイルカの形をしたお道具や、お菓子の下にハイビスカスの葉を敷いたり、オールや貝殻を飾ったりなど、日本では見たことがないハワイならではの工夫が見られ、とても感心しました。今までは道具を拝見する時、綺麗だとかよく作られているなと思っていたけれど、ハワイでお道具を拝見してから、その場所、時間によって、その道具を使う意味があることを知り、見方が変わりました。これからはその道具が使われている趣向の意味を意識しながら拝見しようと思います。
 今回のセミナーの行事や昼食会、晩餐会を通して、人のあたたかさを強く感じました。ハワイに行く前は、学校茶道の同級生と親しくなって一緒に行動できたらいいなと考えていたのですが、同級生だけでなく大学生とも親しくなって、セミナーに参加している方々、地元広島からセミナーに参加されていた方ともたくさんお話できました。、セミナー団長の天江さん御夫妻に夕食に連れて行っていただいた時、私の将来の夢について耳を傾けて下さり、天江さんからお仕事で世界各国に赴任されている時のその国の文化のことや苦労話などをお伺いできました。緊張と不安で始まったセミナーでしたが、たくさんの方々のサポートのおかげで、とても楽しく充実したセミナーとなりました。
 ハワイ協会懇親茶会での濃茶席で、半東をされていた方が「茶道は興味があって習おうと思わないと習うことができない。だからお茶を学んでいるみなさんとは気が合います。」とおっしゃられていました。私は中学生になってから部活で茶道を始めて、気付けば6年目となりました。部活で出会った先生方や先輩方、同級生、後輩たちに加え、部活行事で出会った他校の茶道部の生徒たち、たくさんの素敵な人たちに出会えました。そして今回のセミナーにも参加することができ、また素敵な人たちにたくさん出会うことができました。茶道をしていなければ出会うことができなかった方たちとのご縁を大切にしていきたいと思うと同時に、茶道は年齢、性別、国籍など関係なく誰もが学ぶことができるということを再認識し、改めて茶道が好きだと実感しました。
 セミナーで大宗匠様の講義を受けました。講義を通して、新聞で拝見した「一盌からピースフルネスを」という大宗匠様のお言葉を思い出しました。茶道と平和、一見関連性の感じない2つの言葉でしたが、平和の大切さを誰よりも強く念じておられる大宗匠様の戦時中のお話を聞いて、おもてなしをすることによって平和を目指されているお気持ちに感銘を受けました。
 大好きな茶道にどっぷりつかりながら、海外から日本の文化を見て触れることで、今まで習ったことのおさらいをして、知らないことが多くあることに気づかされました。又、疑問に思ったことはもっと探求したいという意欲がわいています。さらに、自分の言葉で伝えられるようになりたい、という目標ができました。ハワイに到着するまで不安でいっぱいだったけれど勇気を出して行動して自分で動いてみることは、失敗も含めて自分の力になると実感できた9日間のセミナーでした。授業や部活で学んできた茶道、ハワイで体験した茶道、大宗匠様から教えていただいた平和と茶道。まだ私が知らない茶の道がきっとあるはず。それに出会うためにこれからもその道を続けていきたいと思います。
 鵬雲斎大宗匠様、ありがとうございました。心から感謝いたします。裏千家淡交会のスタッフの皆様、ハワイのスタッフの皆様には本当にお世話になりました。白岩校長先生、丸山宗敦先生、麻生先生、私にこの様な機会を与えて下さりありがとうございました。
 最後になりましたが、心配しながらも「いってらっしゃい」と背中を押して送り出してくれた家族に感謝いたします。