2025.07.14

高校

性教育講演会「自分と相手を大切にする」を開催しました

講師:小林茉里亜先生

各クラスにZoomで配信

各クラスにZoomで配信

7月14日(月)、LHRの時間に、高校生を対象とした性教育の講演会を開催しました。講師は、本校の養護教諭であり、「みんなの助産所」で助産師としても活動している小林茉里亜先生です。講演のテーマは、「自分と相手を大切にする」でした。 この講演は、生徒たちが幸せに生きるための健康教育として、包括的性教育について深く考える機会となりました。

講演の4つの柱

小林先生は、包括的性教育が「人が幸せに生きるための健康教育」と位置づけ、以下の4つの柱に沿って話を展開しました。
  • 「知りたい!からだのこと」:自分自身の体について、科学的に理解を深めることの重要性。
  • 「ジェンダーではなく自分らしさ」:性別にとらわれず、「自分の好きなスタイルで生きていい」というメッセージ。
  • 「大切な人ができたら…」:人間関係において、「1人でも楽しい。2人だともっと楽しい」という、健全な関係のあり方。
  • 「境界線(boundary)」:これは「目には見えないあなたの安心を守るバリア」であり、人間関係の中で自分を守る大切な線である。

印象深かった「境界線」の考え方

特に印象的だったのは、この「境界線」という概念です。
  • 相手にも相手だけの境界線が必ずある
  • 自分の今の境界線を、相手に伝わるように伝えることの重要性
  • 保護者と子ども、恋人同士のような関係では、この境界線があいまいになりやすいということ
この考え方を通じて、生徒たちは「自分と相手の違いを認め、尊重する」ことの大切さを学びました。

デートDVと暴力についての学び

また、講演では若者の間で問題となっている「デートDV」についても具体的な説明がありました。デートDVとは、交際関係の中で起こるさまざまな支配や暴力のことであり、「相手の安全・自信・自由・成長を奪うこと」と定義されます。小林先生は、「束縛は愛情じゃない」と強く訴え、そのような状態が続くことは「依存のサイン」かもしれないと注意を促しました。
生徒たちは、
  • 「あなたはあなた」「わたしはわたし」と線を引いて考えること
  • 相手の気持ちは相手のもの。『私はどうしたい?』と、自分に問いかける習慣を持つこと
こうした視点から、生徒たちは自分自身を見つめ直し、他者との関係性について深く考える機会を得ました。
また、「依存と仲良しは違います」という重要な視点も提示しました。
講演では、暴力の種類についても触れ、いじめ、虐待、DV、デートDV、パワハラ、セクハラなどはすべて暴力であり、暴行罪や名誉毀損罪、恐喝罪、傷害罪、ストーカー規制法などに該当する犯罪であることも説明されました。特に、嫌がらせのために性的な写真や動画をインターネットに公開する「リベンジポルノ」についても注意喚起がなされました。

講演を通して伝えられたメッセージ

講演の最後には、次のようなメッセージがありました。
  • 自分で自分を大切にする
  • 境界線を大切にする
  • 自分をご機嫌にさせてあげることが、暴力をなくすためには実は一番大切なこと
さらに、「まずは全てを受け止めてくれる人」「あなたの境界線に侵入しない人」に相談することや、匿名で相談できる窓口(例:広島県「DV」で検索)があることも紹介されました。
今回の講演を通して、生徒たちは他者との健全な関係を築くうえで、自分自身を大切にすることの重要性を深く学びました。性教育は、単に体の知識にとどまらず、人間関係や人権、そして自分らしい生き方を考えるための大切な学びであることを再認識する機会となりました。