2025.07.14

高校

大阪・関西万博スタディーツアーを終えて

7月10日(木)・11日(金)、高校生が1泊2日の大阪・関西万博スタディーツアーに参加しました。このツアーは、生徒の主体的な探究活動の一環として実施され、希望した高校1年生から3年生までの66名が参加しました。
この取り組みは、教員主導ではなく、生徒自身がプロジェクト委員会を結成し、企画・運営を進めてきた点が大きな特徴です。委員長を中心に、ツアーの目的をわかりやすく伝える校内放送や参加者募集、事前の説明会・集会の実施など、すべて生徒の手で準備が行われました。参加した生徒も、同世代の仲間からの熱意ある呼びかけに応え、自ら学びの場へと一歩を踏み出しました。

ツアーに向けては、グループごとに事前に興味や関心のあるパビリオンや国・企業について調べ、どのような視点で見学を行うかを話し合いました。どの展示を優先的に回るか、どのようなテーマに注目するかなどを自ら考える中で、学びに対する主体性が育まれていきました。当日は、その事前調査をもとに計画を立て、限られた時間を最大限に活用しながら、自分たちでルートを考え行動する姿が見られました。グループ内で役割分担をしながら協力して見学を進めるなど、ツアー全体を通して能動的に学び取る姿勢が印象的でした。

 生徒たちは、シンガポール館やサウジアラビア館、未来の都市パビリオン、そして三菱未来館などを訪れ、最先端の技術や持続可能な未来社会のあり方に触れました。大屋根リングでは、巨大な構造物のスケールや空間演出に圧倒される生徒の姿が印象的でした。それぞれのパビリオンで紹介されている国や企業の視点の違いを比較することで、未来社会に対する多様なアプローチを感じ取っていました。さらに、展示だけでなく建築デザインや空間演出にも注目し、五感を使って学ぶ体験となりました。パビリオンのスタッフとの英語でのやりとりに挑 戦する生徒もおり、語学や異文化理解への関心も高まっている様子でした。

各パビリオンの展示や体験型のプログラムを通して、「なぜこの技術が生まれたのか」「自分たちの暮らす地域や社会でどのように活かせるか」といった疑問や課題を自分自身で見つけ出していました。受け身にただ見るだけで終わらせるのではなく、自分の考えや感じたことを深く掘り下げる姿が多く見られました。こうした経験を通して、生徒たちは単なる知識の習得ではなく、自分の頭で考え、納得しながら学びを深めていました。また、万博の会場全体が、未来の社会を体験できる大きな展示のようになっており、生徒たちはただ展示を見て回る だけでなく、その空間や環境からも多くのことを学んでいました。会場の作りや配置、そこに流れる空気感や雰囲気そのものが、未来の社会について考えるヒントになっていたようです。生徒たちにとって、目に見えるものだけでなく、万博すべてが「学びの場」となっていました。

また、グループで協力しながら行動する中で、主体的に問いを立てたり、周りと意見を交わしたりする姿も多く見られました。移動中や見学後には、互いに感じたことを共有し合い、自分ひとりでは気づけなかった視点を得る場面も見られました。今回の体験は、生徒たちが未来社会に関する課題を自分ごととして捉え、探究心やチームワークを育む貴重な機会となりました。プロジェクト型の学びを通して、主体性だけでなく、相手の意見を尊重する姿勢や、学びをともに楽しむ力も育まれたように感じられました。
参加した生徒からは、「実物を目の当たりにして感じる感動は格別だった」「事前に調べていた内容と実際に体験したことの違いに驚き、新たな発見があった」「将来について考えるきっかけとなった」という声が寄せられました。また、「グループで協力しながら課題に取り組む楽しさを実感した」「多様な文化や価値観に触れ、自分の視野が広がった」「技術の背景にある社会的課題について深く考えることができた」といった感想もありました。事前学習で得た知識が現地での体験と結びつくことで、学びがより深く、リアルなものになったことを 実感しているようでした。さらに、「万博という国際的な場での体験を通じて、自分たちにできることや責任について具体的に考える機会となった」「異なる国や企業の取り組みを比較し、多角的な視点で未来社会の課題を捉える重要性を感じた」といった、今後の探究活動に繋がる前向きな感想も多く、今回の経験が生徒たちの学びへのモチベーションを大きく高めるものとなりました。

今後は、ツアーで得た学びや気づきをグループごとにVlogとしてまとめるプロジェクトに取り組む予定です。体験を記録し、発信するプロセスを通じて、さらに学びを深めていきます。
生徒たちは、世界と出会い、自分の中に"未来"を描き始めました。自らの探究で築いたこの経験は、きっと今後の人生を動かす大きな原動力になるはずです。ただ"見た"のではなく、"学び、考え、動いた"2日間──自らの問いをもって世界と向き合ったその姿には、これからの社会を切り拓く力強さがあふれていました。未来に向かって、一歩を踏み出した生徒たちの挑戦は、ここから始まります!