2022.09.21

  • 研究

広島でのまちづくり - 世界課題解決都市群としてのHiroshima -

8:働きがいも経済成長も 9:産業と技術革新の基盤をつくろう 11:住み続けられるまちづくりを 13:気候変動に具体的な対策を 17:パートナーシップで目標を達成しよう


私の研究は、「エリアマネジメント」に着目しています。
「エリアマネジメント」は、「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組」(国土交通省 土地・水資源局「エリアマネジメント推進マニュアル」(2008))と定義されています。自治体主体のエリアマネジメントも散見されてますが、定義にある通り市民や民間主体のまちづくりの手法の一つであるべきと考えています。そこで、「エリアマネジメント」を通して市民や民間企業のまちづくりへの参加を促し、主体性を高めるにはどうあるべきかについて研究しています。
研究の手法としては、実際に研究対象の取り組みに参加・実践・観察しながら分析する手法を採用しています。具体的には、エリアマネジメントの取り組みの中で社会実験などの行動(アクション)を先行して実践する「アクションファースト」の効果について、社会実験の立案・実践に私自身も参加し、調査・分析しています。近年では広島市都心部の紙屋町・八丁堀で行われている民間企業主体のまちづくり「カミハチキテル Heart of Hiroshima(以下カミハチHH)」が実践する社会実験に参加・実践しています。また社会実験をなんのために実施するかを明確にしておくことも重要です。カミハチHHでは将来ビジョンを策定し、ビジョンに描いた未来をどのように実現していくかというプロセスの中に社会実験を位置付けています。社会実験でビジョンの一部を体現し、その空間にまつわる調査結果からビジョンの妥当性を検証し、ビジョンの再評価を行うことを目的としています。
研究成果としてカミハチHHの一連の活動の分析を通して、これからの時代にあった市民・民間主体の官民連携まちづくり、居心地が良く歩きやすい人中心の都市空間・公共空間づくりの効果とプロセスが明らかになることが期待されます。
SDGsについては、多くの目標が関連しています。主には、「11.住み続けられるまちづくりを」です。エリアマネジメントを実践することによって、持続可能で居心地の良い魅力のある街が実現できます。実現までのプロセスでは「8.働きがいも経済成長も」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」、「13.気候変動に具体的な対策を」などの目標も実現していく必要があります。他にも環境・エネルギー・教育・福祉の課題ともつながってきます。特に広島でのまちづくりは世界の諸課題解決につながるモデルとなるべきだと考えます。カミハチHHでは広島が「世界課題解決都市群」の一都市となることを目指しています。
 
 


〔プロフィール〕
国際コミュニティ学部 准教授
木原 一郎

専門分野:都市計画・まちづくり
主な研究テーマ:エリアマネジメント・官民連携・市民参画
主な論文・著書:
「都心部におけるストリートマネジメント実現に向けての主体形成及び醸成に関する研究」野原 卓, 宋 俊煥, 泉山 塁威, 木原 一郎
「「グローカル・プロジェクト」の検証─理念・実践・課題─」木原 一郎、竹井 光子
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