2026.09.15

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国際協力を問い直す—「私たち」と「あの人たち」の境界を超える—

1:貧困をなくそう 10:人や国の不平等をなくそう

第82回LSCドキュメンタリー・アワー

学習支援センターでは、本学の教員が選定した視聴覚資料を使用し、教員自身の解説とともに楽しみながら見識を深めるイベント「LSCドキュメンタリー・アワー」を年に2回開催しています。

6月11日に開催された第82回では、「国際協力を問い直す–「私たち」と「あの人たち」の境界を超える–」と題して、国際コミュニティ学部の隅田姿准教授が登壇。『ポバティー・インク~あなたの寄付の不都合な真実~』というドキュメンタリー映画を資料に、「国際協力」という行為の背景にある「助ける側/助けられる側」という無意識の先入観について解説し、本来の国際協力のあり方について参加者と一緒に考えました。

 
  
 
 
 


寄付行為から生まれる副作用
 
参加者はまず、自身の世界の捉え方や国際協力への取組をクイズとアンケートで振り返りました。一般的に国際協力に関する行為(行動)としては、寄付行動・寄付連動型商品の購入・募金活動などが想起されます。善意で行われるそれらの行為について、隅田准教授からその続き(影響)について考えたことがあるかという問題提起がなされました。
 『ポバティー・インク』では寄付行為により派生する影響について、現地の実情が紹介されています。他国からの衣類の寄付により、現地の産業が廃業となることで失業者が発生したり、寄付の内容や頻度で現地企業の業績が悪化したりするなど、寄付行為による副作用が生じていると指摘されていました。




 
 


副作用の背景


この副作用について、隅田准教授は次のようなメカニズムによる悪循環が働いていると示しました。

①人々に「私たち(助ける側)」と「あの人たち(助けられる側)」という分断の思想が生まれる
②物事をドラマティックに見ていくことで、「あの人たち」には足りないものがあるという欠如のラベリングがされていく
③国際協力の制度や枠組みでラベリングが固定化される
④実践によって分断が証明される
⑤寄付を通して人の役に立つことで得られる快楽感から、これらの悪循環が促進される
 
同様の寄付行為は第二次世界大戦以降継続的に行われていますが、その状況はこの80年間一向に改善されていません。隅田准教授は、これからの国際協力では従来の固定観念を改めて見直し、「あの人たち」と「私たち」を分けないことや、現地の人の立場や実際の社会状況を知ることが大切であると結びました。

今回のドキュメンタリー・アワーを通して、国際協力に関する行動がどのような影響を与えるのか、想像力を働かせて考えるよいきっかけとなりました。
参加者からは、「『無意識のバイアス』という表現があり、国際協力に限らず、物事を自分の尺度で見ているかもしれないと気付くきっかけになった」「国際協力に関するイメージが変わりました。安易な援助で現地の文化が失われている事実に驚きました」といった声がありました。

次回のLSCドキュメンタリー・アワーは、2026年度後期に開催する予定です。