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2020/03/19【学長室総合企画課】卒業生・修了生およびご家族のみなさまへ(学長メッセージ・理事長祝辞)

卒業生・修了生およびご家族のみなさまへ(学長メッセージ・理事長祝辞)

学長メッセージ

 ラ・マルセイエーズを国歌とする大統領は、ウイルスとの戦いを戦争と表現しました。WHOは、2009年の新型インフルエンザの際の宣言が勇み足であったとの声を受けての反省からか、今回は慎重な姿勢を見せていましたが、結果としてテドロス事務局長は、パンデミックだと宣明しました。パリの風景から人波は消えてしまいました。ニューヨークのタイムズ・スクエアもどこか閑散としています。
 「世界を学び、地域で生きる。」を掲げる本学は、こうした中で苦渋の選択ではありましたが、学位授与式の開催を断念しました。時間を短縮しても、本学の規模では多くの人が密集する環境を回避することは出来ず、挙行した場合の感染防止策を講じることは困難でした。

 今日、この式に臨むはずだった学部卒業生、大学院の修了生にとっては、なぜ、という気持ちも強くあることでしょう。一緒に晴れの日をお祝いしようと心待ちにしていた保証人の皆様にとっても、その機会のないことに、釈然としない思いも募るかと存じます。私共にとっても、何とか開催したい、という思いとの葛藤の中で、優先すべきは感染に掉さすことではない、との判断でした。
 厚労省の専門家会議は、①喚気の悪い密閉空間、②多くの人の密集、③近距離での会話や発声、という3条件が重なる場のリスクを警告しています。密集を避ける最善の策を取らざるを得なかった事情を汲んでいただくことをお願いするほかはありません。

 楽観を許さない日本の状況ですが、世界の動向も厳しさを増しています。新型コロナウイルスのパンデミックは、私たちが生きている現在が、過去のどの時代にも増して、グローバルに結びついていることを痛感させます。そうした時代であるからこそ、皆さんは本学で、「世界」を学んで来たのです。卒業したからといって、「世界を学び、地域で生きる。」ことが終わりを迎えたわけではありません。
 むしろこれからが、想像もできなかったことに直面する本番となります。皆さんはその時に、右往左往しない学びを本学で培ったはずです。サークルで真剣に仲間とぶつかり合った経験、自ら問いを立てて論文作成に取り組んだ日々、決して甘くない企業活動を垣間見たインターンシップ、これらをみなさん自身が咀嚼して、その意味を自分のものとしてこれからの歩みに活かしていってください。それでも万一、なお迷いが生じたときには、遠慮なくまた本学を訪ねてください。
 広島修道大学は皆さんの母校です。皆さんの学びの道を整えるために、母校の資源をいつでも使ってください。

 メッセージの最後になりましたが、これは一番強調したいことです。通常は冒頭に登場します。ここでは普通に式を開けなかった世界的危機の実情に触れざるを得なかったため、末尾になりました。
 人類が互いを理解する努力を止めず、協力し続けることができるなら、必ず危機を乗り越えることができると信じつつ、声を大にして言わせてください。卒業おめでとう。

2020年 3月19日
広島修道大学
学長 三上 貴教

理事長祝辞

 本日、広島修道大学の学位記を授与された1,361名の卒業生・修了生の皆さん、誠におめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。
 また今日(こんにち)まで、卒業される皆さんの成長を温かく見守ってこられたご家族の皆様におかれましては、感慨もひとしおのことと存じます。

 卒業生の皆さんには、まずご家族を初め、ご指導くださった良き師、良き友など多くの方々に対し、感謝の気持ちを忘れることのないようお願いしたいと思います。
 皆さんは、今日(きょう)を境に、思い出多きキャンパスを巣立っていかれることになりました。卒業という節目にあたり、皆さん方の一人ひとりが大きな志を立て、自分の目標や夢に向かって邁進していただきたいと願っております。

 さて、みなさんにとって、広島修道大学で過ごされた歳月はどのような日々だったでしょうか。学生時代は、人生で最も、時間と行動に自由が許される時であります。その学生としての特権を最大限に生かし、充実した学生生活を過ごされたことと思います。さらに、近年は、大学生の就職が空前の好況を呈していますし、今夏、開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに向かって、日本の活況は留まることがないかのように思われました。平和と繁栄に恵まれた現代であればこそ、有意義な学生生活が可能だったことと思います。
 ところが、ご承知のとおり、新型コロナウイルスの蔓延により、今や世界は思いもよらない方向に向かっています。「グローバル」というキーワードは、これまで政治・経済、文化において語られることがほとんどでしたが、今回は、人々の生命・健康までも易々と脅かす連鎖も意味することに驚かされました。
 また、自然災害では、記憶に新しいところだけでも、2016年の熊本大地震や2018年の西日本豪雨災害等により、被災地では瞬く間に多くの生命が失われ、生活を一変させました。地球環境問題も強く懸念される時代となりました。このように、科学万能の現代にあって、自然の力がいかに強大であるか、平和と繁栄がいかに脆弱なものであるか思い知らされます。
 しかしながら、それらの問題に対処し、乗り越えてきたのもまた、私達、人間です。新型コロナウイルスについては今のところ、広島県や近隣の県では、幸いにも感染者の発生は少数に抑えられてはいますが、皆さんも、これから少しずつ今回の事態の影響を実感されると思われます。業種によっては厳しい局面を迎えるかも知れません。しかし、どんな時代にあっても、誠実に考え、行動されることが大切と思われます。
 その基盤は、これまでの生活体験や周囲の人々との関わりの中で身につけたものの中にあるでしょう。加えて、時折、大学で学んだ光景を思い出して下さい。人生100年時代にあって、大学での数年はほんの一瞬であり、専門を極めたというには短すぎる時間かもしれません。しかし、将来、個人の、職場の、あるいは社会の課題に直面したときに、大学の学びは、解決のための基本動作として、必ず役立つものと信じております。冒頭に申しました、周囲の支援を得て、学生生活を通じて身につけたものでもあります。それが、誠実に考え行動することの礎となることと信じております。

 さて、広島修道大学を設置する修道学園は、広島藩の講学所に淵源を有する、西日本最大級の学園です。遠く享保10年、1725年から絶えることなく、有為な人材の育成を目標に掲げて、広島の中等・高等教育の中心的な役割を担って参りました。本日から、皆さんは広島修道大学のみならず、275年の歴史ある修道学園の卒業生でもあります。その誇りを忘れることなく、修道学園の石垣の一角を築いていただくようお願いします。

 最後になりますが、今年度は、全員、集まっての学位授与式、学位記交付ができないという事態となりました。やむを得ないこととはいえ、皆さんに直接、お祝いの言葉を申しあげることが出来ませんでした。本当に残念な限りです。ましてや、晴れやかなこの節目の一日を思い描いて、今日まで励んで来られた皆さんは、さぞ、無念さをかみしめておられることでしょう。しかし、こんな時こそ、是非、もう一度、これから、皆さんに何が求められているのかを静かに思い、新たな一歩を踏み出してください。

 修道学園を代表し、本日卒業される皆さん一人ひとりが、充実した豊かな人生を切り拓かれることを祈念いたしまして、お祝いの言葉といたします。
 本日は、誠におめでとうございます。 

2020年 3月19日
学校法人修道学園
理事長 林 正夫

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