英語英文学科
Department of English

ゼミナール紹介

【トピックス 2020/03/24】2019年度ゼミ指導教員が推薦する卒業研究論文(旧称:卒業研究論文優秀賞)

2019年度卒業生が執筆した卒業研究論文の中から、指導教員の推薦に基づいて論文を選出しました。「卒業研究」は英語英文学科の必修科目で、4年間の学びの集大成となります。選ばれたみなさま、おめでとうございます!

石塚ゼミ/中本龍希さん「同時通訳における概念の合成」

要旨

本稿では、同時通訳者の認知処理を概念の合成の観点から検証する。実際の同時通訳データを観察すると、通訳者は原発話の言語的形式および意味から離れ、概念を頭の中で把握、操作、構築し目標言語に産出していることが分かる。しかしながら、同時通訳でコード化されていない概念がどのようなプロセスにおいて処理が行われ、訳出されているのかに関しては明確には提示されていない。本研究では、概念の合成に注目し、原発話と訳出の差異から同時通訳の概念化過程における非言語的概念の構築の一面を明らかにする。これにより、人間の言語処理の二つの側面である入力(聴取)と出力(産出)の中間段階に位置する概念化過程の明示化に貢献する。

指導教員からのコメント

同時通訳の認知処理は通訳研究の主要トピックのひとつですが、実証的なデータ分析はこれからの課題です。特に非言語的概念の合成という現象は、先行文献での指摘はあるものの、これを主題として扱った研究はほとんどなされていません。授業では扱っていない先行文献を読み込んだうえで、先行研究をまねるのではなく、未踏の領域に目を付け、自らの研究主題として選んだ点は高く評価できます。さらに同時通訳記録を丁寧に観察する粘り強さ、見つけ出した現象から論点を整理し、主張に導く構成力も評価のポイントとなりました。欲を言えば、論文の表題や考察はより具体化できたかもしれません。

大澤ゼミ/澤村魁さん「日本人英語学習者の産出言語に見られる誤りの分析と教育的示唆」

要旨

本研究は日本人英語学習者(英語専攻および非英語専攻の大学生)を対象として行った質問紙調査である。第2言語習得研究における誤りの定義、現在形と相(単純、進行、完了、完了進行)に関する先行研究を整理した上で、日本人英語学習者の知識を問う調査を行っている。その結果、英語専攻の学生のスコアの方が高い傾向にあった。また日本語の「〜ている」の影響、「現在進行形=一時性」というイメージ、などが回答に影響を与えていることが明らかになった。

指導教員からのコメント

明示的および暗示的知識についても意識しつつ、数多くの先行研究をまとめた上で調査を行っています。本人も自覚しているように、取り組みにかける時間や調査方法および分析の視点の改善などに課題は残りますが、多くの先行研究を正確にまとめ、調査を行うだけではなく、教育実践にどのように活かせるかについても言及があるところに好感が持てます。

佐川ゼミ/山田陽葵さん「シェイクスピア喜劇における女性像—夏の夜の夢とテンペスト—」

要旨

『夏の夜の夢』と『テンペスト』そのいずれにも妖精が「縁の下の力持ち」という位置づけで存在しており劇に重層感を与えている。シェイクスピアのこの二作品においてはまた女性登場人物を中心にプロットが展開しており、その強い個性や女性らしさを兼ね備えた存在はドラマの最大の魅力であるといえる。

指導教員からのコメント

シェイクスピアの一つの作品に的を絞って卒業論文を執筆する人が多い中、山田さんは『夏の夜の夢』と『テンペスト』という二作品を取り上げ、その二作品について登場人物や相関関係などを綿密にまとめ上げました。序論にはシェイクスピアの生涯や当時の劇場を取り巻く問題まで記載がされており、たくさん書物から学び、誠実に書かれた卒業論文として大変好感を持ちました。

塩田ゼミ/田中優樹さん『ハックルベリー・フィンの冒険』~登場人物、作者の心理学的分析~

要旨

本研究では、アメリカ文学の金字塔とみなされる『ハックルベリー・フィンの冒険』(Adventures of Huckleberry Finn, 1885)の登場人物の役割、作者マーク・トウェイン(Mark Twain, 1835-1910)の人生や性格を分析し、人種差別、宗教などの諸相について論じた。加えて、心理学的観点から物語中の登場人物と作者の性格や価値観の分析を試みている。

指導教員からのコメント

19世紀後半から20世紀前半にかけて、フロイトやユングは人間の心の領域を探求し、それぞれ独自の理論を構築したが、本論文はそのような心理学を文学研究に取り入れた「サイコアナリティカル理論」(Psychoanalytic Theory)を意欲的に取り入れた研究を進めている。一次資料をはじめとする古典文献を読み込むと同時に、最新の論文を広く取り入れている点が評価できる。

石井ゼミ/和気健太郎さん「英訳:『夢をかなえるゾウ』」

要旨

水野敬也作の200万部を突破した小説の部分英訳。「神様」と称する得体の知れない生物ガネーシャの指南で、一サラリーマンが「人生を変えたい!」と奮闘する。ガネーシャが与える数々の課題に取り組むことで、「変わろう!」とする意思が続かないことが「変われない」理由であると悟る啓発的な物語。

指導教員からのコメント

全訳ではなく、印象的な章を選んで翻訳したものですが、何と言ってもポイントは、関西弁で話すガネーシャの科白をどう訳すかでした。和気君は時折アメリカの南部訛りを取り入れて、いかにも関西弁らしく訳すことに成功しています。全体の英語も淀みなく流れていき、情景がよく頭の中に浮かんできます。日頃日本語の話し言葉をどう英語にするか苦心している和気君の努力が実った翻訳です。

Barrsゼミ/叶山歩伽さん A Linguistic Investigation into Language Levels used on In-Flight Safety Videos

要旨

This thesis investigated the complexity of the language used on in-flight airline safety videos. It used a corpus-based methodology to analyse the in-flight safety video scripts of 10 different airlines, to uncover what similarities and differences there were between the kind of language used by each airline. The focus was to investigate the comprehensibility of the language used in the videos, with the aim of finding out whether or not the language was set at an appropriate level for non-native users of English.

指導教員からのコメント

The strength of this thesis was that the chosen topic, that of the language used on in-flight safety videos, was directly related to the future intended career path of the researcher: the aviation industry. This meant not only that the researcher could be actively engaged with the topic at the time of writing the thesis, but also that the results and implications of the investigation may have future value to the researcher, beyond their graduation from the university.

Ronaldゼミ/ 福井大貴さん Excuse me, how do you say this word, now?: The Change of Consciousness Regarding Sexist Job Titles

要旨および指導教員からのコメント

The focus, research method, and results of this study are all worth noting. Especially when viewed from outside a particular language, socially-driven language change is hard to understand, and hard to pin down. This was done by comparing dictionary entries for job titles such as chairman, salesman and their gender neutral equivalents in monolingual English dictionaries for each of four decades. Surprisingly, data showed an increasingly wide range of referring to jobs, not just the use of neutral job titles.

過去の卒業研究論文優秀賞はこちら

Pick up Seminar

森 綾

ゼミナール(担当:大澤 真也 教授)

映画に出てくるネイティブ表現から
生きた言葉の感覚を習得。

森 綾
4年 広島県・広陵高校出身

海外の映画を観て、登場人物の立場や状況ごとの言葉の使い分けを研究。上司と部下や男女などで変化する微妙なニュアンスに注目しています。

その他の開講ゼミナール

短編小説を素材にした英語の総合演習/石井 善洋

通訳翻訳研究/石塚 浩之

小説を中心としたイギリス研究/市川 薫

英語コミュニケーション論/大澤/真也

Aspects of Vocabulary, Language and Society/RONALD, James M.

近代アメリカ文学・文化研究/塩田 弘

英語教育学・第2言語習得研究/戸出 朋子

生成文法入門/針持 和郎

Investigating World Englishes with Corpus Linguistics/BARRS, Keith

英語学演習:What is “ENGLISH”?/水野 和穂

現代アメリカ文学・文化研究/山口 格

これまでの卒業論文テーマ例

現在形完了相の時制と指導~L1児童用英語絵本からの示唆~

現在形完了相の「意味」と「形」について文献調査を行い、従来の指導法の問題点を指摘。さらに、多読用英語絵本を分析した先行研究をもとに、指導の改善法を考察した。

英語絵本の分析~言語習得の観点から~

言語習得における語彙や文法の発達に関する研究を概観したのち、絵本の総語数などの言語的特徴を探り、絵本の言語習得上の特徴について明らかにした。

フィリピン英語の特徴と使用の実態

タガログ語と英語との混交語‘Taglish’について言語学的特徴を整理するとともに、雑誌と手紙から使われ方を考察。フィリピンにおける英語教育の歴史と現状を調査した。

Onomatopoeia in Japanese Comics:How sounds are represented

In this study of 10 manga stories, the student identified and categorized a total of 682 onomatopoeia: representing sounds or types of laughter or footsteps; common onomatopoeia in boys' and girls' comics; and unique onomatopoeia.

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