広島修道大学 教職課程年報第16号
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一方,食に関する指導への理解とスキルの修得については,広い意味では栄養教育論の講義と実習,狭義では本学の教職課程で開講している学校栄養教育論および学校栄養教育実習事前事後指導,教職実践演習であると言える■)。これらの科目は教育実習(栄養)を中心に展開されている。そのような中で近年,学生が児童観(生徒観)や対象の児童生徒の言動を予測・形成することが難しくなっているのではないかと感じることが多くなってきた。学生は教育実習に向けて学校栄養教育論や事前指導などにおいて指導案(指導計画)を考えるのであるが,中でも児童観の記述や授業進行における授業を受ける側の児童の反応や発言予測などが想定しにくいようだ。大学における教育では想定する教育対象と触れ合う機会などが非常に少ないことは事実であるが,ここ数年のコロナ禍によるボランティア活動等での児童のような低年齢層と交流する機会を少なくしていることも考えられるため,前述の傾向が現れているものと推測する。■そのような中,教育実習は極めて貴重な体験であり,栄養教諭の教育実習の場合,■週間の教育実習期間と■週間の臨地実習(給食の運営ないしは給食経営管理実習)において,児童生徒と直接触れ合う期間を設けている。教育実習における実習学生の児童に対する認知の変化については,「子どもの理解」「子どもとの信頼関係」などは時間とともに高まってくることがかなり以前より報告されている■)。加えて児童の把握という点では,小学校教員においては,教員の年代が上がるほどまたクラスの児童数が少ないほど児童の生活状況の把握が高まることも報告されており■),実習学生においては児童の学習・理解力や食生活に関する具体・抽象的思考を行う事が難しい事であることが推測できる。そのためわずか■週間の栄養教育実習の期間に体験できたことをその後に出来る限り生かすためには,学生が行った食に関する指導(食育の一部)などに用いた資料などから児童生徒の実態把握をする能力を高める必要がある。さらに近年では学校における食育の評価を行う場合の視点について論じられる機会もあり,児童生徒の目標達成に至るまでのプロセスを分析することも必要で,そのためには観察や感想文などのテキストレベルの質的な解釈・評価を行うことも必要であるのではないかといわれる■)。■そこで今回私たちは,研究授業等で用いた指導案に沿ったワークシートの児童が記述した内容についてテキストマイニング手法を用いて質的な評価を試み,児童(中学年)の回答傾向や研究授業の実施内容に対する評価に使用できないかなどを検討した。― 33 ―

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