■■(近藤政美・濱千代いづみ編著、和泉書院、2015年刊) 『レタリングのための■新版■模範書体字典』 (続木湖山監修・小田切草雲編、東陽出版株式会社、1997年刊) ても構わない。(毛筆で書くわけではないので。)」と述べている。■筆以外の道具で漢字を「手書き」する場合に、筆文字ならではの「止め」や「払い」の形を実現する事は、物理的に無理がある。私の授業の漢字の「手書き」指導においては、物理的に無理な事を、学生に求めるつもりはない。■《■9■》■終わりに■■現代人が小学校から高校までの間に主に目にする「フォント」である「教科書体」や、一般社会で最も広く用いられている「フォント」である「明朝体」は、何故、筆で書かれた字形に寄せるようにデザインされているのか。■それは、一般的に、筆文字の字形こそが正統な字形であると見做されているからであろう。■しかし教育現場においては、テキストの「フォント」は、ただ「読む」ためだけに用いられるわけではなく、文字の「手書き」学習の「手本」としても用いられる。■学習者が筆以外の道具で「手書き」する場合、その「手書き」の「手本」として、筆文字の字形を模した「フォント」は最適とは言い難い。筆文字の字形に拘らないデザインの、「手書き」学習の「手本」用の「フォント」が必要である。■真に学習者に筆文字の字形を覚えさせたいのであれば、筆文字を模した「フォント」を用いて覚えさせようとするのではなく、学習者に本物の筆文字を見せたり、学習者自身に筆で文字を書かせたりするといった指導を充実させる必要があると思う。■ 〈■主な参考文献■〉 『学生・教師・社会人のための■改訂■漢字ハンドブック■平成22年11月30日内閣告示による』 ― 30 ―
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