広島修道大学 教職課程年報第16号
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■■科書体」では漢字変換ができない、というケースがままある事が判明したのである。■例えば、「苆」である。「苆」という漢字は、伝統的な技法で塑像や土壁などを造る時に粘土に混ぜて用いる「短く切った藁」を意味する漢字であり、現代の日常生活の中では殆ど使わないものであるが、伝統文化の説明をする講義資料の中では使う必要がある。■しかし、「教科書体」で「すさ」という平仮名を入力して、漢字変換のキーを押すと、自動的に「明朝体」に切り替わり、「明朝体」で「苆」と変換されてしまう。■この「苆」の他にも、私の講義資料には、現代社会において使用頻度が少ない漢字が多用されているが、そうした特殊な漢字への対応力は、様々な「フォント」の中で、今の所「明朝体」が最も強力のようである。■そこで、私の講義資料作成においては、基本的に「明朝体」で文章を入力する事にし、その文章の中に「明朝体」の字形では正しい画数が分かりにくいタイプの漢字が出てきた時は、その漢字だけ、「教科書体」を用いて入力する事にした。■「教科書体」で入力したくても入力が不可能な場合は、取り敢えず「明朝体」で入力しておき、授業の中で、その漢字を私が大きく板書しながら字形について説明するようにした。■■教員が漢字を板書する際は、一画一画書いている途中経過も含めて学生が目にするわけであるから、教員は、字形に気を付けるだけでなく、書き順にも気を付けて書く必要がある。■そして、板書の道具にも注意を払う必要がある。■《■7■》■印刷資料を補完するための板書■本学には、黒板を配備した教室と、ホワイトボードを配備した教室とが混在している。本学以外でも、同様の状況となっている大学が多いであろう。■■黒板は、日本に学校制度が設けられた明治期にアメリカから導入され、以来■■■年近くも、日本の教育現場で用いられてきた。近年は黒板から飛び散るチョークの粉塵が問題視され、黒板を廃止して、ホワイトボードに代える動きもあるが、大型教室を中心として未だに根強く黒板が用いられているという傾向が見られる。■とりわけ大型教室にホワイトボードよりも黒板が配備されがちであるのは、チョー― 27 ―

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