広島修道大学 教職課程年報第16号
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■■■しい教育現場用の「フォント」もまた確立されるべきであると思う。■■既に、教育現場用の「フォント」として、「教科書体」が存在してはいるが、「教科書体」は主に小学校から高校までの教育内容に対応しているように思われる。大学の一教員としての立場からは、大学生の漢字の「手書き」学習の際の「手本」とするに適した、より使い勝手の良い「フォント」が望まれるところである。■《■5■》■漢字の「手書き」学習のポイント■■先述したように、「明朝体」という「フォント」は、漢字の「手書き」学習の「手本」としてはあまり適さない「フォント」であると私は考えている。その最大の理由は、字によっては、本来の正しい画数が認識しづらいデザインになっている事である。■■私は、漢字の「手書き」学習において、本来の画数を守って書くという事を、最重要視する立場をとっている。それは、画数というものが、漢字の辞書を引く際の初歩的な手がかりとなるものだからである。漢字の読みや、部首の名称が分からなくても、取り敢えず総画数さえ認識できれば、辞書でその漢字を引く事ができる。■■私は、自分の担当する全科目の第一回授業において、「ガイダンス」と題したプリントを配布しており、そのプリントの中で、学生が漢字を「手書き」する上で気をつけるべきポイントとして、まず、画数を守って書くという事を挙げている。今年度の「ガイダンス」のプリントから、当該箇所を次に引用する。■■■漢字を「正しく」書くためのポイント■■■1、「画数」(漢字を構成する線の数)を増減させない事。■■■■■漢字を構成する線と線が重ならないように書く事。■■■■■漢字の「画数」は、漢和辞典を引く時の手がかりとなる、重要な漢字の要素。■■■2、「曲げ」をはっきり書く事。線を曲げるべき箇所で、しっかり曲げて書く事。■■■3、「止め」と「払い」の書き分けは、出来ていなくても構わない。(毛筆で書くわけではないので。)■■(中略)■■■6、この科目では、漢字を書道作品のように芸術的に「美しく」書く必要はない。■■■■■何という漢字なのか、見る人によく分かるように(すぐ分かるように)「正し― 24 ―

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