広島修道大学 教職課程年報第16号
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■生じるのである」(出口■ ■ ■,■■■■)と指摘している。■■さらに,マジョリティは自らの「特権」に気づきにくいだけではなく,「特権」があると認めることに抵抗をもちやすい(グッドマン■ ■■■= ■■■)。ヘルムズ(■■■■)は「白人の人種的アイデンティティ発達理論」( )を六段階に分けている。一段階目の接触(■■■■■■■)では,「特権」に対して全く無自覚な状態である。二段階目の崩壊(■■■■■■■■■■■■■■)では,徐々に「特権」に気づき向き合おうとする。三段階目の再統合(■■■■■■■■■■■■■)では,揺り戻しが起こり,マイノリティを避ける等の行動をとってしまう。四段階目の見せかけの独立(■■■■■■■■■■■■■■■■■■)では,マイノリティについてよく学ぶ段階となり,自らの「特権」についても振り返ることができるようになる。五段階目の没頭(■■■■■■■■■)では,自らがアメリカ社会において白人であるということを掘り下げていく。こうした段階を経て,六段階目の自律(■■■■■■■■)において白人はマイノリティと連帯し,人種差別に立ち向かうことができるようになるのである。■■では,マジョリティに対して自らの「特権」に気づかせるのは誰の役割なのだろうか。それはやはり,マジョリティ側のメンバーであるといえる。出口( ■■■)は「被差別の当事者が教育することにはリスクが伴う上,その教育の責任をマイノリティに押し付けるのは間違っている。マジョリティ側が語ると『中立』や『好意的』と見なされやすく,マジョリティ側に聞き入れてもらいやすいといった特権がある」と述べている。■■日本社会において圧倒的にマジョリティである「日本人」にも「特権」があると考えられる。教職課程の学生は,こうした「特権」に無自覚ではいけないといえるだろう。自らの「特権」に気づくことで,児童生徒の言語的・文化的多様性を尊重することができるようになると思われる。■■.「読めないお知らせ」で気づく「特権」■■筆者は教職課程の学生が「特権」に気づくきっかけとして,教材「読めないお知らせ」(かながわ開発教育センター)を用いたグループワークを授業に取り入れている。筆者が担当する科目「教育社会学」(■)の内■回を使い,外国人児童生徒等に関する内容を扱っている。■回という時間的制約があるため,あくまで,基礎的・基本的知識の習得と「特権」への気づきをねらいとし,授業を組み立てている。■― 13 ―

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