撮影画面全体をくまなく活用するようになった。 (7)編集という作業が撮影に及ぼした影響 ■既に述べてきたように、私は当初、デジタルビデオカメラで講義録画を「撮影」しさえすれば、「ユーチューブ」に上げる事ができるだろうと考えていた。しかし実際はそのように単純なものではなく、複数のファイルに分かれた撮影データをつなぐという「編集」作業を避けては通れないという事が判明したわけである。 そうした状況に陥るに至って、私は講義録画の「撮影」のスタイル自体を根本から考え直し、「後で編集する事を前提とした撮影スタイル」に切り替える事となった。 すなわち、1コマ90分の講義を講義室で1本撮りするという最初のスタイルを捨て去り、撮影場所を小型の会議室(共同研究室)に移した。そして、予め講義内容を細かく「シーン割り」しておき、各シーンに適した機材(三脚等)を使い分けながら、1シーンずつ順次撮影し、合計90分の撮れ高を作る、という新しいスタイルを急遽作り上げた。 講義1コマあたりのシーンの数は15~20程度とし、1シーンあたりの長さは基本的に3~6分程度とした。必要に応じて敢えて長いシーンを設ける場合でも、10分を大きく超えない程度の長さにとどめた。 そうした各シーンの撮影データは、デジタルビデオカメラ本体内で、順次1シーンずつ別々のファイルに保存されていくので、それらのファイルを後から「パワーディレクター」で順番通りにつなげて、1本90分の講義動画の形にするのである。 このような細かい「シーン割り」を導入する事によって、様々な利点が生まれたが、最大の利点は、私が講義録画撮影中に言い間違えたり書き間違えたりした時に、容易に撮り直しが出来るようになったという事であった。私がミスをした箇所を含むシーンを、1シーン丸ごと最初から撮り直しても、1シーンが短いため撮り直しに数分程度しか掛からず、非常に手軽である。 対面型授業は本質的に1回性のものであるが、オンデマンド型授業はそうではない。配信された講義動画を、熱心な学生が繰り返し視聴する可能性があるので、講義動画の中に、教員の言い間違いや書き間違いが収録されていてはならない。 もし講義動画の中に、教員がミスをしたり謝罪・訂正をしたりする箇所が含まれて― 37 ―
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