プロジェクトの流れ
前期
表はスクロールすることができます。
学生も教員も、現地事情をほとんど知らない状況から、活動を始めました。現地貧困層住民の栄養状況改善のため、まずは現地団体が直接支援を行っている奨学生への聞き取り調査を実施し、ここから得た情報と公的データを合わせて分析し、油脂の投与により対象住民の低栄養を改善可能であるという仮説を得ました。
時期
|
内容
|
---|---|
4月15日
|
プロジェクト参加説明会。DAREDEMO HEROの団体理念や事業概要について講義。
|
4月22日
|
オンラインで現地の大学生へのインタビュー・状況調査。
|
4月~5月
|
現地の詳しい状況を書面で追加調査。日→英、英→日の翻訳は通訳コースの学生が担当。
|
6月3日・17日
|
オンラインで現地の団体奨学生にヒアリング。
|
7月4日
|
本活動に関するクラウドファンディングのために現地の団体奨学生が作成した動画を、通訳コースの学生が日本語吹き替え。
|
7月15日
|
DAREDEMO HERO代表 内山氏への現地情報の質問会。
|
7月~8月
|
セブ島貧困層の人々の栄養事情に関する問題点を整理し、栄養改善の提案方針を検討。健康栄養学科の学生が提案資料を作成。作成した資料は通訳コースの学生が翻訳。
|
8月5日
|
オンラインで現地の団体奨学生に栄養改善の提案をプレゼンテーション。
|
8月~9月
|
提案への反応を受け、セブ島貧困層の人々の栄養事情に関する問題点を整理し、栄養改善の提案方針を決定。
|
後期
表はスクロールすることができます。
プロジェクトの前進のため、次の段階では前期に得た仮説を実証する必要があります。今後、マクロデータから得た結論の妥当性を検証するため、貧困層住民を対象とした独自調査を実施し、セブ島貧困層住民の栄養状態の実態を把握します。後期の活動は、この調査のため、最適化した質問票を作成することを目標に進めます。
時期
|
内容
|
---|---|
9月17日 | プロジェクト説明会。団体理念と事業概要についての講義。今期の指針と目標についての説明。 |
10月1日・15日 | オンラインで現地の大学生へのインタビュー・状況調査。 |
11月 | 現地住民の栄養状態に関する実態調査に向け質問票を作成。この質問票を基に、オンラインで1回目の問診デモを実施。現地の大学生およびソーシャルワーカーからコメント収集。 |
12月 | 1回目の問診デモで収集した情報を基に質問票を改善。オンラインで2回目の問診デモを実施。現地の大学生およびソーシャルワーカーからコメント収集。 |
12月 | DAREDEMO HERO代表 内山氏への現地情報質問会。 |
1月 | 健康栄養学科の学生がオンラインで現地の団体奨学生などを対象に、今期の成果についてのプレゼンテーションを実施。コメントを収集。 |
活動風景
プロジェクト参加説明会
4月15日、プロジェクトの概要説明とあわせて、現地で貧困住民への教育支援を行うNPO法人DAREDEMO HEROの代表、内山順子様によるフィリピン・セブ島の貧困層の置かれている状況の説明などがありました。
説明後には、学生同士でこれからのプロジェクトについての意見交換を行いました。
説明後には、学生同士でこれからのプロジェクトについての意見交換を行いました。
現地の大学生へのインタビュー・状況調査
4月から6月、フィリピンの大学に通うセブ島の貧困地区出身の大学生4人にインタビューを行い、現地の生活状況や栄養事情を調査しました。実際に現地で生活する大学生の話を聞くことで、より詳しい状況を把握することができました。
学生は厳しい環境の中でも明るく希望を持って生活する現地学生の話に心揺さぶられていました。
学生は厳しい環境の中でも明るく希望を持って生活する現地学生の話に心揺さぶられていました。
現地情報の調査
栢下ゼミで整理した栄養改善提案に必要な情報に関して、通訳コースの学生がウェブ上での調査を実施しました。フィリピン政府の公式情報の他、OECD、WHOなど、英語で書かれた公的機関のサイトや栄養学関連の論文を調査し、結果を日本語でまとめ、健康栄養学科の学生に提出しました。
動画吹き替え
DAREDEMO HEROで実施する活動に関するクラウドファンディングのため、現地の団体奨学生であるフィリピン人学生がセブ島貧困層住民の生活実態に関する動画を作成しました。通訳コース生がこの動画の日本語吹き替え版を作成しYouTubeで公開しました。
現地情報の質問会
7月15日、大雨による入構禁止の影響で延期となっていたオンライン質問会を実施しました。フィリピンおよびセブ島の事情について、DAREDEMO HERO代表の内山氏への聞き取り調査からセブ島貧困層住民の置かれた状況を再確認し、栄養改善に向けた提案のために必要な情報を整理しました。
貧困層住民への支援物資送付
10月1日、セブ島の貧困層住民へ寄付するMCTオイル(中鎖脂肪酸油)等の発送準備を行いました。
本プロジェクトで前期に行った現地団体奨学生への聞き取り調査および公的データの検証により、貧困層住民が、油脂の投与により低栄養の改善が図れるという仮説を立て、試験的にMCTオイルを現地へ送付することになりました。MCTオイルの他、パックご飯、レトルト食品、カップ麺、缶詰等、日本の食文化への理解を深めてもらうための食品も一緒に送ります。さらに、輸送用コンテナの空きスペースを生かすため、学内の部局に協力を依頼したところ、文房具、衣服等、予想を上回る物資が集まりました。
2箱分、合計100キログラム近くの支援物資は、現在、船便での輸送に向け手続き中で、10月下旬には出荷の予定です。現地NPO法人を通じて、支援物資が貧困層住民へ渡るのはクリスマス前後になります。
本プロジェクトで前期に行った現地団体奨学生への聞き取り調査および公的データの検証により、貧困層住民が、油脂の投与により低栄養の改善が図れるという仮説を立て、試験的にMCTオイルを現地へ送付することになりました。MCTオイルの他、パックご飯、レトルト食品、カップ麺、缶詰等、日本の食文化への理解を深めてもらうための食品も一緒に送ります。さらに、輸送用コンテナの空きスペースを生かすため、学内の部局に協力を依頼したところ、文房具、衣服等、予想を上回る物資が集まりました。
2箱分、合計100キログラム近くの支援物資は、現在、船便での輸送に向け手続き中で、10月下旬には出荷の予定です。現地NPO法人を通じて、支援物資が貧困層住民へ渡るのはクリスマス前後になります。
問診デモ
セブ島貧困層住民の栄養状態に関する実態調査のため問診票の草案を作成し、11月19日および12月3日の2回、問診デモを実施しました。調査は、現地の高校生・大学生・ソーシャルワーカーに協力してもらい、オンラインで実施しました。質問票は日本の厚生労働省の国民健康・栄養調査などを参考に作成しましたが、日本とフィリピンの食習慣、生活習慣、社会制度など、様々な違いから、調査方法・質問項目・回答収集方法に、多くの改善点があることが明らかになりました。
最貧困層住民への聞き取り
12月10日、このプロジェクトの対象となる最貧困層の人々にライブ・ミーティングでの聞き取りを実施しました。セブ島の最貧困層住民は、ゴミ山やスラムなど、日本では考えられないような環境で生活しています。この日は、セブ市の墓地に通信機材を持ち込み、そこで生活する人々から、直接、お話しを伺うことができました。コミュニケーションはビサヤ語・英語・日本語のリレー通訳で実現し、英語・日本語の通訳を通訳コース生が担当しました。同じ地球の同じ時間に全く異なる生活を送る人々の生活実態に触れました。
参加学生の声
プロジェクトに参加している学生の声を紹介します。
私たち英語英文学科通訳コースでは、健康栄養学科の学生とセブ島の方を繋げる役割を担っています。
通訳にあたっては、栄養学の用語だけでなく、セブ島の食材名や料理名など、現地で使われる語を事前に調べて臨んでいます。お互いの伝えたいことを理解し、正確に伝えるだけでなく、話者の感情も伝えられるように気をつけています。セブ島の方が話す英語には少しなまりがあり、オンラインということもあって、聞き取りづらいこともありますが、話し手が本当に伝えたいことを汲み取り、聞き手に伝えられた時には、やりがいを感じます。現地の方との交流会では、毎回新たな知識を得ることができ、学ぶことも多くあります。
当初は、通訳をするということに精一杯で、話者の気持ちまでを理解する余裕がありませんでした。後期はこれまで以上に練習し、質問者の意図を理解し、相手が答えやすいように通訳することを心がけたいです。また、正確に聞き出すためには、どのように質問すれば良いのかをその都度考えて、取り組みたいです。貧困問題は「可哀想」と思うだけでは、何も変わりません。他人事にせず、広い視野と想像力を持ち、世界を少しでもより良い方向にしたいです。