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2019/12/02【ひろみらセンター】 社会学専攻 学術講演会を開催しました

 2019年11月28日、池原えりこ氏を講師として、社会学専攻学術講演会「黒人街に基づく研究方法とプロジェクト」が開催された。以下、講演内容の要旨を報告する。
 戦後の沖縄は、1945年から1972年に至る27年間のアメリカ軍支配を通じて、いたる所に軍事基地が建設された。米軍基地の周辺には米兵対象のバー街も形成され、新たな時代を迎えた沖縄には、アメリカ文化が導入され、それとの混淆による独特な「ちゃんぷるー文化」が生まれた。「黒人街」とは、アメリカ支配時代に旧コザ市照屋に存在した黒人専門のバー街である。バー街としては、他に白人街や沖縄人専門の街もあったが、それとは違う黒人の歴史や文化との接触を体現する黒人街は、1953年から1976年にかけて、照屋の沖縄人居住地域にまで拡大していった。
 当時、アメリカの人種差別は沖縄にも大きな影響を及ぼし、白人と黒人との間の暴動や騒乱が頻発していた。その一方で、この「黒人街」という独特な歴史的文化的場所は、当時の黒人の革命的運動や思想に対して、世界を変える可能性を与えた場所でもあった。その歴史は、アメリカでも日本・沖縄でも語られず、記録として残されていない。だが、その時代を経験した人々、その場に居た人々の記憶や思い出の中には、はっきりと残っている。彼/彼女らは、運動家、政治家やリーダー的な人物ではない。そこで生まれた、移動した、働いた、子供として遊んだ、商売した、喧嘩した、助け合った人々である。そして、日常生活の中で黒人と沖縄人がクロス・交差した場所としての黒人街で生まれた歴史・文化が彼/彼女らの記憶のなかに刻み込まれているのである。黒人街の研究は、その記憶を記録し、沖縄をはじめ、アメリカ、日本、世界の歴史として残すことを目的のひとつとするものである。

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