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2016/03/18【総務課】2015年度学位授与式 学長告辞

変化の時代を生きる

学長告辞 市川 太一学長

本日、学部、大学院と、それぞれ期間は異なりますが、広島修道大学において有意義な学生生活を送られ、学窓を巣立っていかれる皆さんに、お祝いの言葉を贈ります。保護者の皆様にはお喜びを、また、卒業式にご臨席いただきましたご来賓の皆さまにはお礼を申し上げます。 
 2012年4月に入学され、きょう、みなさんは卒業されるのですが、学生生活の中で、どのようなことがもっとも印象に残っているのでしょうか。
 学長賞を受賞された心身統一合気道部、軟式野球部、そして6名のみなさんは、全国大会に出場できた満足感でしょうか。
 本学では学長賞以外に、学長奨励賞、在学生スカラシップ、資格取得スカラシップなどを出しています。表彰者のみなさんは、その過程でされた努力でしょうか。
 韓国、中国、台湾、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、NZなどの海外セミナーや交換留学に行った人たちは自分の目で見る大切さでしょうか。
地域の問題を発見し課題解決について調査研究する「地域つながるプロジェクト」に参加した人たちは、何が思い出として残っているのでしょうか。グループで研究する楽しさ、それとも人との出会いでしょうか。
公務員をめざした人は、試験勉強のことでしょうか。
 学部生は卒業論文、大学院生は修士論文、それぞれ性格は異なりますが、論文執筆や発表のために夜遅くまでした準備のことでしょうか。
 成功も失敗も、すべて意味があります。
 この4年間を振り返って、私たちは「変化の時代」にいると強く感じています。最近の出来事の中から、いくつかの事象をとりあげてみます。
2012年の前年、11年10月には戦後最安値の1ドル75円の為替レートでしたが、アベノミクスによって15年7月には124円になっています。比率でいえば、40%の円安になりました。そのため大規模な輸出企業の業績はあがっています。ところが15年12月18日の新聞には、アメリカが9年半ぶりに利上げをすると報道されていました。アメリカの自動車企業は低金利融資競争をし、その結果、新車販売は過去最高の台数を伺うほどだとそうです。アメリカの金融引き締め政策が緩和政策をとる日本やEUに今後、どのような影響を与えるのか、注視していく必要があります。 
15年12月22日の新聞には、ある大手電機企業が国内外で1万人を削減するとありました。他社が2000年代に「ハードの単品売りからサービス提供」と事業を入れ替え、人員を削減しているのに、この企業はしなかったからであると、分析されていました。今朝、この企業は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業を、中国家電大手に売却することで基本合意に達したと、報道されていました。 
 モノ・カネにとどまらず、ヒトのグローバル化も進みつつあります。2015年9月2日には中東やアフリカからEU、とくにドイツへ難民が押し寄せているというニュースが報道されました。11月15日には「パリ同時多発テロ」。すべての人が特定の国に属するという近代国家の原則が揺らいでいます。
日本では、外国人観光客が2015年には1,973万7,000人、対前年比47%増えました。2015年の流行語大賞は「爆買い」。12月にはクルーズ船で日本に来た観光客数が100万人を超えています。荷物の重量の制限がないから、クルーズ船を利用すると中国人が答えていました。これもまた、国境という概念を疑わせています。 
 私たちは国内外の変化が個人の生活にますます影響を与えるという時代になっているということを、心のどこかに留めておく必要があります。1つの国にとどまらず、複数の国の変化が日本に影響を及ぼしますから、変化の数も多くなり、変化のスピードも加速されています。しかし他方では、変化に対応できない国や組織、そして人は敗者になってしまうという現実もあります。これらの変化を乗り越えるには、日々、国内外の動きを注視し、個人、組織として対応していくしかありません。
 少し文脈は違いますが、今まで述べたような国内外の出来事について考えていると、ハーバードビジネススクールのC.クリステンセン教授が「イノベーターのDNA」の中で書かれていた「関連づける力 」が頭に浮かぶことがあります。この力は質問力、観察力、実験力、人脈力など「5つの『発見力』」の中の1つです。一見無関係に思える疑問や問題、アイデアを結びつける能力は、グローバル化し、複雑化している社会では必須の能力です。まだ読んでいないみなさんは、是非読んでみてください。
 最後に、本学も大きな変革期にあります。人文学部は2013年度には40周年を迎えました。2015年4月には修道学園は鈴峯学園と合併し、鈴峯女子中学校・高等学校は、広島修道大学附属鈴峯女子中学校・高等学校となりました。合併を機に、この4月から人文学部教育学専攻は、幼稚園教諭一種免許状、保育士資格、特別支援学校教諭一種免許状を取得できる教育学科になります。2017年4月開設をめざして、心理学専攻は心理学科になり、健康栄養学科から構成される健康科学部を設置する準備を進めています。2018年度には臨床心理士受験資格を得ることができるように、人文科学研究科心理学専攻に臨床心理士学領域を置く予定です。「地域社会の発展に貢献できる人材の育成」という設置理念を、これからも果たしていくために学びの分野を広げていきます。
1974年に現キャンパスに移転しましたから、建て替えを一度にしなければならない時期が一度に来るということから、1999年度に建物の建替え計画を策定しました。これに基づき建物を更新しています。みなさんの在学中の13年10月には新3号館、そして15年3月には協創館が竣工。2015年度には食堂棟も改修しました。入学後、ずっとどこかで工事をしていたように思われるかもしれません。
学びの分野の拡大と施設設備の更新、入試制度の改革の結果、本年度の入学試験の志願者数は昨年に比べ36%増え、10,820名になりました。
本学はこれからも設置の理念の実現に努めます。みなさんが社会に出て行かれるにあたり、本学において学んだことを社会で生かし、社会の課題に向き合って下さい。そして本学の設置の理念、地域社会の発展に貢献できる人となって欲しいと、強く念願しています。
 卒業生のみなさん、卒業おめでとう。

2016年 3月18日
広島修道大学学長 市川 太一

             

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