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2015/01/22【学習支援】第45回LSCドキュメンタリー・アワーを開催しました

 丸山眞男——響き続ける民主化への執拗低音

 良質な映像作品を、解説付きで視聴できるLSCドキュメンタリー・アワー。
 
 第45回は、法学部の鈴木康文先生による解説を交えながら、「丸山眞男 響き続ける民主化への執拗低音」を上映しました。
 2014年は丸山眞男生誕100年の年にあたり、多数の関連書籍が刊行されるなど丸山への関心が再び高まっています。没後20年近くを経た今日でも多くの関心をひきつけている丸山眞男とはどのような人物で、その思想はいかなるものなのでしょうか。
 
 映像では、戦中から戦後にかけての時代背景から、教育環境、業績、周囲・次世代への影響という流れで丸山の足跡が紹介されました。そこで強調されていたのは、丸山が民主主義を根底から支える存在と考えていた非職業的政治家=市井の人びと、「在家」の立場で活動する人びとへのコミットメントです。戦後民主主義を下からになってゆく政治的主体の萌芽を、精神的に飢餓状態にあった市井の人々のなかに見ていたためです。
 
 上映後、鈴木先生からは、映像の中ではふれられていなかった挿話や周辺人物も織り込みつつ、「主体形成の追求」という側面に焦点をあてて丸山の思想を整理・解説していただきました。
 鈴木先生によると、丸山の見解は次のようなものでした。江戸時代には少数の支配者=主体と、大多数の被支配者=客体が完全に分断されていたうえに、朱子学の世界観から、秩序や規範は人間の力をこえた自然界の原理によって保たれていると考えられていた、しかし、荻生徂徠から植木枝盛、吉田松陰、福澤諭吉、佐久間象山へという思想の系譜のなかで、人間が能動的に統治に関与してゆくという視点が現れ拡大していく、そして1945年8月15日の敗戦によって、国民が自由な能動的主体となる舞台が整うこととなった——最後に鈴木先生は、選挙投票率がきわめて低い現在の日本でこそ、自由で責任ある主体の形成を希求していた丸山の声に耳を傾けるべきではないかと問題提起されました。
 
 参加者からは、「丸山眞男の思想の全体像がつかめてよかった」、「丸山眞男の言葉は、すっと私の心に入ってきました」、「学者として言論の牽引者として多才であった丸山眞男が日本の思想に大きな影響を与えたことがよく伝わってきました」などといった感想が寄せられました。
 
 2014年度のドキュメンタリー・アワーは今回が最終回となります。多くのご参加をありがとうございました。2015年度の初回は4月30日(木)に開催予定です。来年度も引き続きお気軽にご参加ください。

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