社会連携

学術講演会

学術講演会

学外から著名な研究者を招へいし、学生を対象に学術講演会を開催しています。
学科・専攻・グループ各1回(年最大18回)開催する計画です。
これら講演会の一部について、一般の方にも公開しています。

一般の方のお申し込みについて

一般の方のお申し込みは、官製はがき、封書、FAX、Eメールのいずれかで、「学術講演会申し込み」として、講座名、氏名、住所、電話番号をご記入の上、お申し込みください。


広島修道大学 ひろしま未来協創センター  協創館(8号館)B1F 

〒731-3195 広島市安佐南区大塚東1-1-1

     TEL:082-830-1114

     FAX:082-830-1932

     e-mail:gakukou"at"js.shudo-u.ac.jp

      *アドレス内の "at"は@に変換して送信してください

2018年12月7日(金)  法律学科 学術講演会

演題:「国民の司法参加と日本の法文化—明治維新から現代まで」

講師:青木 人志 氏
(一橋大学大学院法学研究科・教授)

日時:2018年12月7日(金) 10:45~12:15【2限目】

場所:広島修道大学7号館 学術ホール

講義概要

 明治維新を成し遂げた先人たちは西洋法を貪欲に学び、それらをすばやく日本の法制度に取り入れた。しかし、社会的特質は制度ほど簡単には変わらない。実際、明治維新からおよそ100年経った1960年代後半に、日本人は権利意識も所有権意識も契約意識も希薄で、日本社会では紛争解決の手段として裁判が使われないとする議論(川島武宜)や、日本人は「法が嫌いだ」とする議論(野田良之)が相次いであらわれた。それをきっかけに、日本人の法意識や日本的法文化の特質の問題は、日本の法学界で大きな関心を集め、現在に至るまで多くの議論がなされてきた。日本人の法意識や日本的法文化には明確な特質があるとする川島や野田の考え方に対しては、そのようなものは史実に照らして虚像ではないかと疑う考え方(大木雅夫)もある。その一方、裁判所利用率の低さのような現象を因果的に規定しているのは文化ではなくむしろ費用(コスト)であるとする論者(ヘイリー)もいれば、法と経済学の考え方を使って「予測可能性」の重要性という新鮮な視点を提示した論者(ラムザイヤー)もいる。このような議論は、平成16年に「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が制定され、平成21年から裁判員裁判がスタートした時に形をかえて再燃した。国民の司法参加はそもそも日本の文化になじまず、いずれは失敗に終わるのではないか、と危惧する声が上がったからである。本講演では、明治元年(1868年)からちょうど150年が経ち、野田・川島の問題提起からも50年が経過した2018年の位置に立って、国民の司法参加と日本の法文化の関係を反省し、巨視的な観点からそれを再考してみたい。

講師の紹介

青木 人志 氏
(一橋大学大学院法学研究科・教授)
 1961年山梨県富士吉田市生まれ。一橋大学法学部卒業後、同大学院法学研究科博士課程単位修得。博士(法学)。関東学院大学法学部専任講師、一橋大学法学部助教授を経て、2002年より一橋大学大学院法学研究科教授。比較法学専攻。著書に『動物の比較法文化——動物保護法の日欧比較』(有斐閣)、『日本の動物法』(東京大学出版会)、『「大岡裁き」の法意識——西洋法と日本人』(光文社)、『グラフィック法学入門』(新世社)、『判例の読み方——シッシー&ワッシーと学ぶ』(有斐閣)等がある。趣味はワードゲーム(Boggle、Scrabble、たほいや)、言葉遊び(句会、連句、アナグラム)、卓球。

 以下は終了した学術講演会のご案内です

2018年10月30日(火)  教育学科 学術講演会

演題:「みんな一緒に—歩いてきた道から—」

講師:日浦 美智江 氏
(横浜市栄区社会福祉協議会会長・社会福祉法人訪問の家顧問)

日時:2018年10月30日(火) 16:30~18:00【5限目】

場所:広島修道大学 協創館(8号館) 8302

講義概要

【開催記録】
 2018年10月30日(火)16:30-18:00に8302号室にて教育学科学術講演会が開催された。横浜市栄区社会福祉協議会会長・社会福祉法人訪問の家顧問の日浦美智江氏を講師として招き、教育学科2年次生対象の「重複・発達障害概論」の授業の一環として、「みんな一緒に—歩いてきた道から—」という演題で講演をしていただいた。日浦氏は広島市出身で、横浜市に移られた後、重症心身障がい児の教育の道を切り開くために、横浜市立中村小学校に訪問学級が開設されることになった折に、当時としては珍しいソーシャルワーカーとして勤務され、子どもたちが中学校を卒業した後は作業所の開設、そして通所更生施設の開設に尽力され、社会福祉法人訪問の家「朋」の運営責任者として、在宅生活支援の確固たる基盤を築かれてきた。その足跡は、2003年に公開された映画『朋の時間—母たちの季節—』に詳しく描かれているが、このたびの講演では、教職志望の学生向けに、当時の地域の学校の子どもや住民との交流活動の様子の説明がふんだんに盛り込まれ、今日的に要請されているノーマライゼーションやソーシャル・インクルージョンの時代を大いに切り開いてこられた功績が認められると思われた。
 現在でも、動もすれば福祉施設の建設に際して、住民の偏見による反対運動により、福祉活動の地域交流がなかなか進んでいかない実情があるが、日浦氏が説明会を開いた1984年の時点においては、幸い「どんどん出てきてください。そしてお友だちになりましょう!」という住民の快い賛同が得られ、順調な歩みを進めてこられたようである。
 また、映画においては、副題である「母たちの季節」という言葉にあるように、母親同士の絆の強さは描かれていたが、子どもの成人の後、自立をどのように考えていくかにはあまりふれられていなかった。このたびの講演では、親から離れ、職員とともにグループホームで共同生活を営む者が増えることによって、課題が遂行され、「普通」の概念を変容させている様子を看取することができた。
 講演のなかで印象的であった言葉に、「『はたらく』は、頭や身体を使って労働する、具体的な報酬を得ることであるのに対し、『はたらき』は、人間関係の中で果たす役割、具体的な報酬ではなく見えない価値を生むものである」「重症心身障がいの人たちは、無駄な命はない」「人は関係の中で生きるものである。人は人の中で人になる」「できないと思わない。できることを工夫する」「進歩はゆっくり」「小さな発見を大切に」「他人と比べない。本人独特の特性を大切に」「情緒を豊かにする体験を豊富に。情緒こそ人間の柱」「『Yちゃんはぼくの柱』と言ってくれたTくん」「一人ひとりは唯一無二の存在」「見ないものは思わない」「自己肯定感の大切さ」ということがあった。
 社会参加の目的に、様々な人との出会い、様々な社会的体験、情緒の分化へのアプローチ、地域のなかにポジションをもつ、社会の価値観を変えることを挙げられた。
 職員(支援者)に求められるものとして、想像力、創造力、行動力、人間への関心、可能性を信じること、思い・熱意、自分自身の人間観の醸成、一般社会の動きを知ることを挙げられた。
 今日的課題として、医療的ケアの必要、本人及び家族の高齢化、医療・福祉・教育の統合による終の棲家の確保を挙げられた。
 最後に「人は人の中に生きて、人となり、人として輝く」という言葉で結ばれた。
 体験に裏づけられた話や写真に出てくる人たちの表情の明るさによって、日浦氏の功績を学生たちはしっかりと受け止め、引き継ぐ心情をもってくれたように思われ、とても有意義な講演会であった。

講師の紹介

日浦 美智江 氏
(横浜市栄区社会福祉協議会会長・社会福祉法人訪問の家顧問)
講師プロフィール
 1938年 広島県出身
 1962年 広島女学院大学英文科卒業
 1972年 横浜市立中村小学校訪問学級指導講師
 1983年 障害者地域作業所「朋」指導員
 1986年 知的障害者通所更生施設「朋」施設長
 2000年 社会福祉法人訪問の家理事長
 2001年 横浜市社会福祉審議会委員
 2003年 横浜市教育委員会委員
 現在 社会福祉法人訪問の家顧問, 横浜市栄区社会福祉協議会会長
 2001年12月 第2回ヤマト福祉財団賞受賞
 2003年11月 第8回糸賀一雄記念賞受賞
 2006年11月 第55回横浜文化賞受賞
著書 『朋はみんなの青春ステージ』1996年ぶどう社刊 
    『みんな一緒に』2004年 IEPジャパン刊

2018年10月24日(水) 英語英文学科 学術講演会

演題:The train is arriving. は「電車が到着している」か?
   -英語の進行形と日本語の「~ている」表現-

講師:高見 健一 氏
(学習院大学文学部教授)

日時:2018年10月24日(水)10:45~12:15【2限目】

場所:広島修道大学6号館【6102】教室

講義概要

【開催記録】
 2018年10月24日(水),6102号室にて,英語英文学科学術講演会が開催された。本講演会では,学習院大学の高見健一先生を講師として招き,英語英文学科一年次生対象の「初年次セミナー」の中で,『The train is arriving. は「電車が到着している」か?-英語の進行形と日本語の「~ている」表現-』という演題で講演をしていただいた。高見先生は,理論言語学がご専門であるが,一般読者に向けては『謎解きの英文法シリーズ』(全10巻,くろしお出版)を久野暲氏(ハーバード大学名誉教授)と共著で著され,学校文法からは説明できない英文法の不思議な現象を取り上げ解説されている。この『謎解きの英文法』に述べられていることの一端を高見先生から直接お話ししていただくことが,英語英文学科一年次の学生に資するところが大きいと考え,講演を依頼した。
 英語の進行形は,「~ている」という日本語の訳語と対応させて教えられることが一般的であるが,両者は対応する場合と対応しない場合がある。本講演では,英語の進行形がどのような意味で用いられるのかを,日本語の「~ている」形と比較しつつ,多くの具体例を示しながら語られた。講義の一端を以下に示す。
 「マイクはキャシーを愛している」を英語ではMike loves Cathy.と進行形で表さない。これは,日本語の「~ている」形がある動作・出来事(好きになった)の後の「結果状態の連続体」を表すのに対し,英語の進行形は,継続的または断続的動作が「一定の時間内」で進行・連続していることを表す形なので,「愛している」という状態の永続性を進行形で表すことができないからである。ところが,I am loving you more and more each week.のように「週ごとに好きになっていっている」と,進行形で,一定の時間内での変化の過程(状態の断続的連続体)を表すことができる。
 高見先生は,生まれ故郷である兵庫県の方言なども参照しながら,わかりやすく英語の進行形の意味を解説された。講演の最後には,3名の学生から挙手で質問があり,これにも丁寧に応えていただいた。この講義から,じっくりと英語や日本語に向き合うことの面白さを,少なからずの学生が感じ取っているのではないだろうか。

講師の紹介

高見 健一 氏
(学習院大学文学部教授)
 1952年兵庫県生まれ。東京都立大学文学博士号取得。
静岡大学教養部助教授、ハーバード大学言語学科客員研究員、ハーバード大学イエンチェン研究所共同研究員、東京都立大学人文学部教授を経て現職。専門は理論言語学。
著書は、『日英語の機能的構文分析』鳳書房(単著)『 Preposition Stranding』Mouton de Gruyter (単著)など多数。英文法で不思議に思われる現象を取り上げ、『謎解きの英文法シリーズ』(全9巻)くろしお出版(久野暲氏と共著)を出版。趣味は、音楽鑑賞、散策。

2018年7月19日(木) 人間環境学科 学術講演会

演題:「SDGsで自分を変える 未来が変わる」

講師:川廷 昌弘 氏
(株式会社博報堂DYホールディングス 
  グループ広報・IR室 CSRグループ 推進担当部長)

日時:2018年7月19日(木) 13:05~14:35【3限目】

場所:広島修道大学 7号館 学術ホール

講義概要

【開催記録】
7月19日、人間環境学部人間環境学科「環境教育概論」(担当:西村仁志)では、川廷 昌弘 氏(株式会社博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室 CSRグループ推進担当部長)を招いて「SDGsで自分を変える 未来が変わる」をテーマに一般公開し学術講演会を開催しました。
SDGsは地球環境問題をめぐる国際社会での議論、すなわち1972年の国連人間環境会議以来、ブルントラント委員会「われら共通の未来」などの報告をふまえ、1992年の「地球サミット(リオデジャネイロ会議)」での気候変動枠組み条約と生物多様性条約の採択、そして2000年から2015年の「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」へとつながっていくプロセスから、2015年以降の世界共通のゴールとして設定された「国連持続可能な開発目標」です。2015年9月、150を超える国連加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として採択、公開されました。17の目標と169のターゲットにより構成されています。
 川廷氏は、こうした国際会議での議論だけではなく、2011年の津波被災地である宮城県の南三陸町を訪れるなかで、牡蠣漁師や林業家との出会い、豊かな山や海の恵みが地場産業、人々の暮らしを生み出していることに着目します。海産物や木材の国際認証を取得するなどして地場産業が立ち直り、また観光や環境教育などの新しい営みもスタートするなど、持続可能な開発を地域の特性を踏まえて考えるということ、そしてSDGsは大企業だけではなく小さな企業や、市民の取り組みをもネットワークしていくことの重要性も説かれました。
 内閣府の「SDGs未来都市」では29都市が選定され、広島県も「SDGsの達成に向けて平和の活動を生み出す国際平和拠点ひろしまの取組を加速する」として選ばれています。広島修道大学としても、あるいは学生や教職員一人ひとりがどのように関わってSDGsの実現に関与していけるか、問われているように思います。
(西村仁志/人間環境学部教授)

講師の紹介

川廷 昌弘 氏
(株式会社博報堂DYホールディングス グループ広報・IR室 CSRグループ 推進担当部長)
1986年 博報堂入社。テレビ番組「情熱大陸」などの立ち上げに関わり、地球温暖化防止国民運動「チーム・マイナス6%」でメディアコンテンツを統括。2010年に「生物多様性条約締約国会議(COP10)」の教育とコミュニケーションの決議で提言し成果を挙げ、社会課題のコミュニケーション領域に専従。2013年にTEDxTohokuでスピーカーを務める。現在はSDGsが主要テーマで、2016年に国連広報センターとSDGsアイコンの公式日本語版を制作。2017年のSDGs国連ハイレベル政治フォーラムの日本政府プレゼンなどをプロデュース。2018年から神奈川県顧問(SDGs推進担当)。また、公益社団法人日本写真家協会のプロの写真家として、「地域の大切な資産、守りたい情景、記憶の風景を撮る。」をテーマに活動している。

2018年7月10日(火)  健康栄養学科 学術講演会

演題:公衆衛生学 精神保健

講師:信國 好俊 氏
(くまもと青明病院 医師)

日時:2018年7月10日(火) 10:45~12:15【2限目】

場所:広島修道大学 9号館【9206】教室

講義概要

【開催記録】
 2018年7月10日(火曜日)の10時45分より90分の予定で、9号館926号室にて、健康科学部健康栄養学科学術講演会が開催された。講演会の目的は、健康栄養学科二年次学生へ前期に開講している「公衆衛生学」の講義のうち第13回目の「精神保健福祉」部分を、精神科臨床の現役医師で医学博士の信國好俊先生を講師に迎えてご担当いただくことであった。
 当日は「平成30年7月豪雨」の直後で、少なからぬ学生の欠席があったものの、受講学生79名中66名、他学年や他学部学生8名、関心のある教員10名の聴講があった。
 講義の内容は3部構成であった。第一部では、精神疾患の要因に環境と遺伝のあることを、脳神経障害(水俣病)、先天性小頭症(ジカ熱)、認知症(糖尿病)などを例に説明があった。
 第二部では、公衆衛生の定義と守備範囲を、日本人の人口推移を基本に概説された。社会保障が包含する医療、介護および福祉について、現状の紹介があった。
 第三部では、こころの健康に関する問題の紹介があり、精神保健福祉の法制度や、精神保健指定医や措置入院といった精神科特有の職務説明があった。これは、精神障害者の人権尊重が重視され、入院医療中心から地域生活中心へと、医療改革が進められている現状の理解を促すものであった。その上で、今日的な問題である過労自殺、発達障害による適応障害、各種依存症(薬物、ネット、ゲーム)、への対策を、具体的に臨床の立場からご講義してくださった。うつの臨床像とビタミンB1、B2およびB3の関係の解説は、栄養学を学ぶ学生を対象とする公衆衛生学であることを念頭においたものであり、当該二年次学生にはとても有意義であった。
 最後に、講演に先立って当該二年次学生が提出していた質問への回答をしていただいた。

講師の紹介

信國 好俊 氏
(くまもと青明病院 医師)
1957年生まれ、医学博士(熊本大学)。
熊本大学大学院医学系研究科博士課程修了。
熊本大学医学部、金沢大学、京都府立医科大学を経て、2005年に広島大学原爆放射線医科学研究所准教授となり、2017年3月に退職。2017年4月より現職。
ゲノム障害医学の基礎と応用に関する研究に従事し、医歯薬学の学生へ社会医学、衛生学•公衆衛生学の教育を担当した。
小児の先天異常であるメープルシロップ尿症の責任遺伝子に関するゲノム解析、難聴を伴う疾患の一つであるワーデンブルグ症候群2型の責任遺伝子に関する遺伝子型と表現型の研究など、論文多数。日本精神医学会、日本小児科学会、小児科専門医。