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2011司法試験合格者の声(大田 耕司)

大田 耕司(おおた こうじ)

1 はじめに

大田 耕司

 私は、2006年度、本校に入学しました。そして、昨年1回目の司法試験を受験し不合格でしたが、今年2回目の受験で合格しました。
 私は、本校に入学前は、民間企業に在職しており、さらにその前は、法学研究科(修士課程)で、「交通事故における信頼の原則(Vertrauensgrundsatz)」の研究をしていました。私は、修士課程在籍時には、将来研究者になりたいという希望が強かったのですが、私の能力不足のためその希望が叶いそうもなかったので、民間企業に就職することにしました。
 民間企業在職時、待遇には全く不満はなく仕事も楽しかったので、そのまま会社員を続けていくことも考えましたが、いくら手を抜いてもいくら頑張っても同じ給料が支払われ、安定した生活に飽き飽きしており、また、定年退職後も仕事をしたかったので、一生仕事のできる資格を取ろうと思いました。そして、なんとなくですが、弁護士の資格を取っておこうかと思うようになりました。

2 1回目の受験について

 まず、初受験ということもあり、とりあえず択一試験には確実に合格したかったので、択一対策に重点を置いていました。択一対策として本試験の過去問と今まで受験したTKC模試の2点を利用しました。択一対策としては、それ以外の教材・問題集等は一切利用しません。これに対して、論文対策としては、いろいろな問題集に手を出して、答案を書く練習をしました。それに加えて、最近の判例で問題となった論点等を幅広く勉強しました。 
 さて、本試験の論文初日は、会社法からのスタートでしたが、1科目からつまずいたため、挽回しようと2科目目からは高得点を狙いにいきました。そのため、答案には、基本的事項にはあまり触れず、基本書では触れられていない最先端の学説や高度な議論を示すことを心掛けました。しかし、このような方向性が逆効果となったのか、ほとんどの科目が壊滅的な出来となり、試験終了と同時に、不合格を確信しました。最後の科目の終了後、試験監督委員が「司法修習に関する案内」の資料を配布していましたが、私はそれを即座に破り試験会場のごみ箱に捨てて帰りました。そして、その翌日から来年に向けて勉強を再開しました。
 9月に合格発表でしたが、当然、結果は不合格でした。しかし、ショックだったのは、不合格という結果以上に、その成績でした。自分の予想した得点・順位より大幅に悪かったのです。そこで、私には司法試験は向いてないから、諦めて就職しようと思いました。たまたまその時期に、本校事務職員の募集がありましたので、履歴書・志望理由書・職歴報告書等を作成しました。そして、それを封筒に入れてあとは提出するだけの状態にしておきました。
 しかし、私は、周りの反対を押し切り会社を辞めてまで司法試験を目指すことにしたのに、ここで諦めたら、ずっと後悔するのではないかと思いました。そこで、いろいろ悩んだ末、もう一度トライしてみる気持ちになり、その封筒を破り裂き、再度勉強することにしました。

3 不合格の結果を踏まえた勉強方法について

 まず、2回目の司法試験を目指すにあたり、択一の勉強は一切しないと決めました。1回目の本試験の択一では高得点を取っていたため、多少知識が抜け落ちても、足切りのリスクはないと考えたからです。
 問題は、論文対策をどうするかでした。なぜ、不合格となったのか分析するにあたり、出題趣旨に照らして、自分で答案を再度作成してみました。そして、本試験で自分の書いた答案とそれを比較してみて、何が足りなかったのかを検討しました。その上で、先生方にも今後の学習方針について相談しました。その結果、高度な議論の前提となる基本的事項の習得が不十分ではないか、従来の勉強方法を続けるのではなく基本的事項の復習をするのが合格への一番の近道ではないか、との結論に至りました。確かに、私は、法学部、法学研究科出身なので、高度な議論・学説ばかりに目を奪われ、基本的事項を軽視しすぎていた面もありました。
 そこで、初学者に立ち返り、10月~12月の3か月間は、基本書をじっくり読むことをしました。個人の尊厳とは何か?民法は何のためにあるのか?私的自治の原則とは何か?等の基本的なことから勉強し直しました。基本的事項でも、意外に理解していない部分が結構ありました。
 そして、1月から本試験までは、基本書に加えて、最高裁調査官解説ばかり読んでいました。多くの調査官解説を読むことにより、事案の特殊性や判例の射程を深く考えるようにしました。つまり、2回目の受験では、結局のところ、主に基本書と調査官解説を利用しただけであり、問題演習として受験新報を利用した程度で、特に試験対策みたいなものはしませんでした。
 ただ、勉強する上で疑問が生じたときには、必ずオフィスアワーを利用して先生と議論するようにしていました。

4 2回目の受験について

 今年の試験は、どんな問題が出題されようと基本的事項を正確に記述することだけを心掛けました。そして、たとえ出来の悪い科目があったとしても、他の科目での挽回を狙わず、必要最小限のことのみを書こうと決めていました。去年は、答案用紙を6枚前後書いていましたが、今年は、4枚前後に抑えました。科目によっては、3枚に留まったものもあります。在学中、どの先生からも、私の字が汚くて読めないから丁寧な字を書くようにと指摘されていたので、書く分量を減らすことにより、採点者が読解可能な丁寧な字を書く時間を確保する必要があったからです。また、答案の枚数を減らすことにより、自分の書いため答案を試験時間中に見直す時間が十分に取れました。ただ、40分も時間が余った科目もあり、試験時間中、退屈な思いもしましたが。
 ところで、去年と異なり、択一試験が最終日となりました。論文で疲れ切った状態での択一試験はとても辛く、普段通りの実力が発揮できませんでした。刑事系科目では、全問解くことが出来ずに5問以上も残しました。しかし、最後の科目で試験監督委員が「試験終了です。ペンを置いて下さい」と試験終了を告げると同時に、私は「今年は多分、合格しただろうな」と思いました。論文試験では、ひとつの設問を丸々白紙にする等不十分な点もありましたが、基本的事項を正確にしっかり示すことができたからです。だから、今年は、去年では破り捨てて帰った「司法修習に関する案内」を、持ち帰りました。
私は、大好きな酒を試験直前の2か月もの間禁酒していたので、試験終了後、我慢できずにそのまま走って居酒屋に行きました。普段飲むビールよりとてもおいしく感じました。

5 最後に(今後の抱負)

 合格者からいろいろ勉強方法を聞くことがあると思いますが、勉強方法に正解はないと思います。たとえば、判例百選ばかり読んでいて合格したという人がいたしても、それはただ単にその人にはそれが不足していて、他は足りていたからだと思います。ですから、自分の足りない部分を先生からアドバイスを受ける等して分析することにより、自分に足りてない部分を補うかたちで、自分に合った勉強方法を取ればよいのではないでしょうか。
 また、合格者に自分の書いた答案をみてもらい、アドバイスをもらうこともあるかと思いますが、もともと合格者であっても採点基準を知っているわけではなく、憶測の域を出ないため、あまり鵜呑みにせずに、基本的事項をしっかり答案に示すことを心掛けてみてはどうでしょうか。
 私は、民間企業在職時に、取引先とトラブルが生じた場合の折衝や、取引先との契約書を作成する機会も多数あり、司法試験で出題される科目の知識があるだけでは、全く使えないと実感していました。そもそも国内法の適用がない事案も多数ありました。弁護士として活躍できる場面を制約しないよう、語学はもちろん、司法試験以外の科目についても、これからは幅広くもっと勉強していこうと思います。そして、これから弁護士人口が増えるなかで生き残るため、従来のやり方に捉われず、新しい発想をもって、いろいろなことにチャレンジしていこうと思います。
 最後になりますが、司法試験は、大学受験と異なり、地頭の良し悪しは、全く関係ないと思います。地道にコツコツ努力さえすれば、誰でも受かる試験です。本校は、学生が努力できる施設・体制が整っていると思います。また、司法試験は、長期間コツコツと勉強することになれば、資力のある人が有利になってしまう試験ですが、本校では、来年度以降の学費が減額されますし、奨学金制度も充実しているので、恵まれていると思います。これらの本校の利点を大いに活かして頑張って下さい。

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