大学広報
University Public Relations

2017作品コンテスト入賞作品

オルレ

岐阜県立大垣南高等学校1年  佐名 舞香

 私は、岐阜県揖斐郡揖斐川町の春日というところに住んでいる。父の実家があるこの地域に、私は小学校四年生の時、引っ越してきた。山や川など自然が豊かで、鳥や虫の鳴く声が響いていた。若い年代の人は都心に移り住むため過疎化が進み、お年寄りばかりの高齢化地域となっている。鮮やかな衣装を着て太鼓をたたく伝統的な行事などがあるが、跡を継ぐ若い世代がいなくて、困っている状況だ。
 今から二年くらい前のことだろうか。祖父から、「オルレ」とは何か調べてほしいと頼まれた。今思えば、すべてはここから始まった気がする。「オルレ」とは、韓国・済州島の言葉で「家に帰る細い道」という意味だ。自然を楽しみながら歩くトレッキング(山歩き。特に高山のふもとを歩いて風景などを楽しむこと)コースを指す。私は、このことを祖父に伝えて、しばらくは「オルレ」が話題に出ることはなかった。
 それから何ケ月がたっただろう。「天空の遊歩道」として、山の中に道が作られた。祖父をはじめ、地元の人達が休日を利用し、コツコツと作り完成したのだ。これが口コミで広がり、そのうちSNSであっという間に拡散して、「岐阜のマチュピチュ」と言われ、TVや新聞や雑誌で、どんどん紹介されるようになった。細い山道の「天空の遊歩道」を登った上から見る景色は、山の中にきれいな茶畑が広がり、それがペルーのマチュピチュに似ていることから「岐阜のマチュピチュ」と呼ばれるようになった。最初、一日に五人しかいなかった観光客が、今では何百人にもなった。
 そもそも、祖父ら地元の人がなぜ「天空の遊歩道」を作ったかというと、過疎化の進んだ春日地域に、人が移り住んでくれることを願って始めたのだ。こんな素敵なところだから、ぜひ一度来てほしい。そして気に入ったら暮らしてほしいと願ったからだ。
 たくさんの人に来てほしいという願いは叶った。しかし地元の人が予想していない事態が起こった。SNSでの情報の広まりがとても早く、観光地としての道路、駐車場、店舗などが整備されないまま、たくさんの人が訪れるようになった。車の渋滞、バイクの騒音、観光客のマナーの悪さ(例えば人の山の中に入って山菜を勝手に取ったり、ゴミを道路や山の斜面に捨てていく)など、たくさんの問題が起こり、地元の人たちは大混乱で落ち着かない状況だ。
しかし、悪いことばかりではなく、他県からもたくさんの人が来てくれるので、近くの観光スポットにも客が増え、マチュピチュで作られたお茶の売り上げも上がった。
 私は思う。やはり、早急に観光地としての環境整備をしないといけない。そしてこの美しい自然を壊さないように守っていかなければならない。そのためには、観光客の人に、マナーを守ってもらうよう呼びかけをしなければならない。
 「岐阜のマチュピチュ」で作っている祖父のお茶は、無農薬でとてもおいしい。私はこれを岐阜の人だけではなく、日本中いや世界中の人に飲んでほしいと思う。そしてこのお茶は、大自然の広がるとても素敵なところで作られていることも知ってほしい。
 現在、少しずつではあるが、観光地としての整備も進みつつある。私が大人になるまでには整備が整っているだろう。ぜひ一度、春日に来てみてほしい。そして気に入ったら、移り住むことも考えてみてほしい。一緒に、春日という地域を盛り上げていこう。「岐阜のマチュピチュ」から「日本のマチュピチュ」へと成長して、世界中の人が観光で訪れてくれる日も、そう遠くはないかもしれない。