大学広報
University Public Relations

2017作品コンテスト入賞作品

「酒の都西条」

広島学院中学校1年  柗林 右恭

 僕は、広島県の東広島市にある西条という街に住んでいます。東の酒都兵庫の灘や京都の伏見とともに、西の酒都として今日まで発展してきました。この西条の街の魅力を「酒」という観点で伝えていきたいと思います。
 広島から在来線で約40分、西条駅に降り立つと、白壁の酒蔵とレンガ造りの煙突が目の前に広がっています。半径1キロメートルほどの狭い地域に七つの蔵元が密集している、日本でも珍しい街です。江戸時代には、この東西にのびる街道沿いに細長く連なる宿場町があって、大和文化と九州文化の接点として栄えました。それが現在の「酒蔵通り」と呼ばれている街並みの元になっています。
 海抜200メートルの高所にあって、澄んだ空気と冬の仕込みに適した気候に恵まれ、また、西条盆地での夏の昼夜の温暖さと竜王山から湧き出る豊かな軟水により、質の良い酒米が作られてきました。こうした自然の恵み以外にも、明治時代に街の真ん中に鉄道が引き込まれ、物流の環境が一変したことや、精米機を開発した佐竹製鉄所が同じ町内にあったために、最先端の精米技術を取り入れることが可能だったことなども、「酒都西条」と呼ばれる一大銘醸地として発展した要因だといえます。
 毎年秋には、市をあげての一大イベント「酒まつり」が開催されます。酒蔵通り周辺は、二日間で、約20万人を超える人々で賑わいます。日本全国の銘柄が一堂に集まり、酒の飲み比べができるのも目玉のひとつです。地元の小学校や中学校も様々な演目で祭りを盛り上げます。
 僕の卒業した小学校には、37年もの間六年生に代々引き継がれている「白壁の街」という創作オペラがあります。それは酒造りをテーマとし、仕事に打ち込む蔵人たちの暮らしと喜びを歌と踊りで表現したものです。八ヶ月かけて厳しい練習を重ねて作り上げ、酒まつりの舞台で伝統のオペラを演じることは、僕たちの誇りでもあります。
 また春には、新酒ができたことを祝う、「醸華町祭り」が開催されます。新酒の香りと味を楽しみながら、春の酒蔵通りを満喫します。それぞれの酒蔵をまわるスタンプラリーもあり、子供でも楽しめる祭りとなっています。
 西条の酒蔵通りを訪れる観光客は、今や国内だけにとどまりません。おとどし、西条駅構内の観光案内所を訪れた外国人観光客は、1,780人と前の年より43パーセント増えました。これらの観光客はほとんど、酒蔵通りを訪れます。これを裏づけるように、日本酒の輸出金額も、年々増加傾向にあり、10年間で約3倍にもなっています。日本酒はすでに、海外では「SAKE」として、着実に市民権を得つつあるようです。その背景には、健康的なイメージが強い和食が世界の都市部で人気を集め、日本料理店の進出が増えていること、また、和食が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことなどが考えられます。今後、日本酒を含めた本場の日本食を食べてみたいと興味を持ってやってくる外国人観光客はますます増えるでしょう。
 特に西条のある東広島市は、世界遺産「原爆ドーム」や「宮島」などの観光地から近く、外国人を招きやすい位置にあります。さらに市内には四つの大学があり、留学生も数多く受け入れています。また昨年市の中心部に芸術文化ホールが開館したことで、海外から多くのアーティストが公演にくるようになりました。日本の文化の習慣や伝統と同時に、西条の酒の魅力も世界に広く知ってもらえる機会が広がっています。
 西条の酒が、外国人の食文化と融合すれば、日本酒の醸造の研究や技術を学びに来る人も増えるかもしれないですし、外国人の嗜好に合った新たな日本酒の開発もされるかもしれません。西条は、400年の酒造りの伝統を守りつつ、時代に合った発展を続ける街となるでしょう。
 これからも、西条という街をもっと色々な人に知ってもらうため、何か自分たちにもできることがないか探していきたいと思います。